2019年10月25日(金)

文筆を生業としている人間以外に、その独特の言葉遣いを魅力に感じている人が二人いて、一人はご存知滝沢カレンなのですけれども、もう一人はおそらくご存知でない職場の人間なのですね、しゃがれたという形容を軽々超えるべらんめえ口調で、埼玉の山奥で育ったから視力が5.0あると豪語している、そしてそのことにそれなりの現実味を感じられる、人生で一度も眉毛を弄ったことがないと思しき野性味溢れる彼は、入社以来二十年以上一貫してシステムエンジニアをやっていて、だから今日もシステムエンジニアだった。彼の中において「システムトラブル」は「どんちゃん騒ぎ」で、「重大」は「スーパースペシャル」で、今日は「スーパースペシャル」な「どんちゃん騒ぎ」で「お手上げでございます」という一日だった。

給料が振り込まれたので新宿紀伊國屋で本をいくらか買う。物心ついてからこの方常にどこかで工事がなされている新宿駅の、東口改札から構内に入るとき、近頃の工事による形態の変化によって、ぼんやりしていると中央線の下りホームに辿り着く階段を通り過ぎてしまい、結果として総武線に乗ることを選んでしまうことが頻繁にある。

(尿意について)ウチのもそうだな、現状三等星くらいの、四の五の言わなくていいレベルに留まってるかな。
岡田利規【NO SEX】(新潮 2018年9月号)
というか、ウチが問題にしたいなと思ったのは、〈ヒトという種〉って、ときどきそういうふうに〈未来〉って言葉を使う傾向があるなっていうことなんだけどね、つまり、現在すでにそういう状況に実はなってるんだけど、そのことはまだちょっと認めたくないかな、それはまだここには存在してないってことにしておきたいかなっていうとき、それを〈未来〉って名付けて今はまだここにはないものってことにしておくっていう傾向のことなんだけど。

岡田利規がする、感覚や状況や状態を物質みたいに扱う描写がとても好き。

noteをもう少しだけきちんと活用していこうという決意がなされた、具体的にはちまちま小説を載せて行きます。

#日記 #エッセイ #コラム #小説 #創作

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