2019年7月17日(水)

芥川賞ダービーは的中させたが個人的には、この個人的にはというのは何らかの予防線ではあるのだがそれはともかく、【こちらあみ子】の衝撃を今村夏子の以降の作品から見出せないというか、持ち前の醸される不穏さ以上に切実さを感じられたのが【こちらあみ子】だけで、その後の作品は手品のような手際で不穏さを見せつけられているような気がしてならなくて、何が言いたいかというと、今村さんおめでとうございます、皆さん受賞作はもちろん【こちらあみ子】も文庫で出てますので読んでね、ということだった。こちらも僅かな可能性で生じる連絡を待っているが来なくて宙吊りの気持ちで日々を過ごしている。

芥川賞とは関係なく家で読んでいたのは【プラータナー】の余韻で岡田利規で、書籍化されていない小説を読むべく過去の早稲田文学をメルカリで買うなどして読んだ【ブレックファスト】が激烈に、個人的には【三月の5日間】に匹敵する面白さだった。人称の超越&融解といった氏定番の語りの形式や、震災という「大きな物語」を生み出しうる出来事との距離の取り方が抜群に上手くて、また細かい描写もとても良くてとても良かった。

#日記 #エッセイ #コラム #小説 #創作

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