自身にのみ向けられた指針

二〇一七年の十二月、池袋の居酒屋にて会社の同期に同人誌でも作ろうではないかと誘われて小説を書き始めてからちょうど二年が経ち、二〇一九年の十二月に五本目の中編小説を拵えた。いわば今の私は、「切りがいい」とか「一段落」とか、要は単なる数字上のことでしかないのであるから取るに足らないようなものに思えるけれども、人間である以上何らかの意味を見出したくなる、何らかの総括めいたものをしたくなるのが人情、という時季にある。むろん年の瀬ということも、関係していないわけではない。ついでにnoteで日記を書き始めてから一年、という節目でもある。

で、どうでしたかこの二年間の活動は? というと、誤解を恐れずに言えば同人誌は副次的なものになりつつあって、今の私にとっては「公募の新人賞に応募する(そして受賞する)」というのが、小説を書く行為に含まれる楽しさ――むろん難しさも包含されている――そのものの純粋な追求、ということを除けば第一の目標となっている。

で、どうでしたかこの二年間の戦績(戦績?)は? というと、一次やら二次の予選通過を勝利と数えるのも気恥ずかしいことだけれども、そしてここにそれを書くということにはその気恥ずかしさの裏でいくらかの承認欲求が待ち構えているのは重々承知しているのだけれども、当座の目標を新人賞の受賞に定めている人間にとっては書かないわけにはいかない、ので書くと、二勝一敗(二本は結果待ち)ということで、正直に言うと予想していたよりもはるかに高い数値で、それまで小説など書いたこともなければ作家を志していたわけでもないずぶの素人だったのに三敗でないのが不思議、という感じだ。

で、どうするのですかこの先は? というと、まあ長いスパンで見ればまた書き続けていくのでしょうけれども、一旦は小説を、少なくとも百枚~二百枚程度のそれなりの分量を応募に向けて本腰を入れて書く、というのは、中断する。とは申せ一旦は、とここで言うときの一旦の長さは恐らくはそんなに長いものにはならなくて、来年の秋に〆切がやってくる賞のいずれかには出したいと思っているので遅くとも三月くらいには書き物を再開しているだろうし、もっと早く、それこそ一週間後くらいには、この一旦、が終了している可能性だってある。しかし今の私は、当座のところは小説を書かないぞ、と宣言しておくことにする。

で、どうしてそんなことを決心するのですか? というと、むろんこの先小説を書き続けていくうえで、今は一旦書かないでいたほうが得策だ、という考えに、六本目の小説を書き始めるもどうにもしっくりと来ていない状況下において、以下を根拠として至ったためである。

①あまりに小説(芸術)に触れてこなかった人間なので、小説(論)に触れ、並行して映画(論)・演劇(論)・漫画(論)に触れる時間を多く持ちたい。特に古典、と呼ばれるものを私は、国内外問わずほとんど触れずに生きてきてしまった。

②①を受け、「(私にとって)面白い小説とは何か」ということを、はっきりと文章化まではできないまでも、ある程度立ち戻れる基準を心のうちに作る。

③現在結果待ちの二本が、それまでに書いた三本とは書き方が大きく異なっているため、客観的な評価としての予選結果を待ちたい(むろん一次通過すらしない可能性もかなり高いと、謙遜や予防線の意味合いなしにふつうに考えている)。

④ポケモンの新作が出た。

ただし文章を書く、という行為は極力中断期間を挟みたくはないので今まで通り(今まで以上に)日記をきちんと書いていくし、日記以外の放置され続けているマガジンのほうも何か書いていく所存でいます。

で、どうして「自身にのみ向けられた指針」をわざわざ公開しているんですか? というと、こうでもしないと小説を書いていない自分、というのに耐えられなくなってしまう気がしてならないから、というのと、日記以外の放置され続けているマガジンのほうも何か書いていきます、という宣言を一応しておくことによって、退路を断つとでもいえばいいでしょうか、そういう状況に追い込みたい、というと切迫した印象になりますがそういうわけでもない、しかしまあそんな感じです。

#日記  #エッセイ #コラム #小説 #創作

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