2020年4月29日(水)

歯肉炎の日に生まれたんだね。という下らない言葉を学生時代に放った記憶がどうにも頭から離れずにいて、毎年この日になるとその人々(二人いたのだ)の顔がもれなく浮かぶ。学生の頃に出会っているのでもう十年が経っている。そんな馬鹿なという気持ちだ。実家からの配給が届く。ありがたい。私が韓国海苔をかなり好んで毎日のように食していたのはもうずいぶん前のことだが、それから母の記憶が更新されていないことが窺える。久々に食べるとうまい。明らかに身体に悪い味。配給された野菜でポテトサラダをつくる。ポテトサラダにうるさい人間になりたいので、それには自らのレシピも研鑽していく必要がある。

買い物に出るついでに横切った中野セントラルパークにはそれなりの量の人間が犇めきあっていた。皆、気持ちよさそうな顔をして連れ立っている。避けるべき三つの密のうち密閉をのぞいた二項目について基準値を悠々クリアしていると思しきその光景を目の当たりにした私の「オイオイ」という感情をすごく掘り下げていけば、底でぶち当たるのは嫉妬・羨望の類いだろう。そもそもあんな清々しい表情がこの顔を覆ったことなんて、この禍の前でもありやしないのではなかったか。

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