2019年8月16日(金)

今日から三泊四日で沖縄に行く。とりわけ二泊以上の旅行、すなわち丸一日自宅に帰らない日を挟む旅行というのは得てして、楽しさだけでは構成されない、様々なシーンで発生する待ち時間、旅先でサービスを受けることに伴う些細な行き違いに起因する苛立ち、財布の紐をそれなりに緩めてはいるもののそれでもお金は際限なくあるわけではないからどうしても必要になってくる妥協、に対する若干の哀切、みたいなものが存在していることを、二十七歳になった私はどうしようもなく知ってしまっているのだし、それが連合いとの初めての旅行であるうえに私にとっては私以外の人間と二人で長期の旅行に行くこと自体が初めてであるから、そういう意味でも、心中に占める心境のうち確実に最大なのは楽しみという気持ちだけれども、必ずしもそれ一辺倒ではない、ということを自覚して若干不安に思いながら、中野駅で連合いを待った。私はかなりがっつりと散髪していて、その旨を事前に報告しておくかずっと悩んでいたけれども、結局言わなかった。連合いは大量の荷物を持参していて笑った。空港までは浜松町から東京モノレールを使った。東京モノレールの座席配置は、本当にこれが最適解なのだろうか? という、乗るたびに抱く疑問を、今日も欠かさず抱いた。空港に足を踏み入れると無条件に高揚する気持ちが残っている程度にしか、私は人生において空港には来ていないし飛行機にも乗っていないから、今日も高揚がもれなく訪れた。飛行機の離着陸へのささやかな恐怖心も同様だ。

沖縄に着く。レンタカーの送迎を待つ。この日のためにこの四ヶ月間、実家に帰るたび地道に運転の練習をしてきたと言っても過言ではなかった。預かる命は二人分、責任は二倍では済まないですよ、みたいな紋切り型を口にすることを自分に許してあげることにした、その甲斐あってか、恩納村の道の駅&万座毛を経由して無事名護のホテルに到着した。いわゆるオーシャンビューというやつだ。海が見えることに対してひとしきりはしゃぎ合ったのち、テレビと窓の設置されている方向が同じだったから、だらだら甲子園のついでにひらけた海を視界に収めていた。夜は悩んだ末、もはや観光スポットと化している古民家チックな豚料理屋に行く。観光スポットであることにかなり自覚的な設備、たとえば無人カートや手裏剣体験、民族衣装を着て(というか「着せられて」という印象)郷土的な音楽を弾く自動人形のような老人などが配されていて、沖縄の観光ムードを否が応でも高めていた。料理は想定よりも美味しかった。半年間で(恐らくは)初めての連合いと私のツーショットがここで撮影されて、照れる。夜は部屋で一杯やって眠りにつく。

#日記 #エッセイ #コラム #小説 #創作

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