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人生フラフラロンドン日記 ~Week 43~

ロンドンに来てから43週間。いよいよ冬が本気? 0度も当たり前になってきた。アイルランドにいた時もそうだったけど、こっちの冬は足元からやってきては、骨が軋むような寒さ。朝、家を出て「寒さエグ…」とつぶやくのが日課になっている。早くスペインとか暖かく温暖な地域に逃げ込みたい。

角田光代「いつも旅のなか」を読み終えた。「覚えていられるものなんて何もないから、文章を通して架空の旅をすること」という言葉通り彼女の書いたエッセイは、どんな秘境だとしてもその場に立ち合わせているかのような温度がある。その中に出てきたアイルランドのコーク回。エッセイ中では「たいへんちいさい」と書かれていたので、笑ってしまった。何故ならコークは、僕の住んでいた街の人が遊びにいくような街だったから。僕の住んでいた街はどう書かれるんだろう。ロンドンに住んでから、今はその何もなさが無性に恋しくなったりする。空気の匂いとかだけは同じだから無性に。来年はアイルランドにも行けたらいいな。

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友人が日本に帰ってしまう。まだビザの期間は残っているので、帰ってこようと思えば帰ってこられる、が未定とのこと。待ち合わせになっていたパブは、常々噂には聞いていたフジロックおじさんたちが集うパブだった。ドリンクカウンターの棚にゴンちゃんがいた。Paddingtonにあるとは聞いていたが、まさかここだとは。友人とは会って日は浅いが、気さくな良い男だった。ただでさえロンドンには同い年の日本人が少ない。しかも男の子なら尚更だ。少し寂しい。彼の誰からも気に入られるひょうきんさには憧れすらある。素敵な人に巡り合うたびに、自分ももっと頑張らないといけないな思う。

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土曜日は友人とW杯の観戦に。この日はイングランドvsフランスという屈指の好カード。好カードどころか因縁までも渦巻いてそうな。元々はSohoで飲むつもりだったが、どこのパブも人で溢れ、1時間前にはもう入店さえ厳しそうな雰囲気だった。また、先の試合でW杯アフリカ勢初のベスト4という歴史的快挙を成し遂げたモロッコのサポーターで街中とんでもないことになっていた。花火、発煙筒、なんでもござれの大騒ぎ。少し危なかったので、Victoriaまで移動。さすがロイヤルファミリーのお膝元と言ったところか、中心地からたったの20分少し歩いただけで、随分と街は静かで落ち着いていた。試合はフランスが先制するも、イングランドが取り返し同点というハラハラな展開。当たり前だがイングランドのサポーターしかいない店内で、1人フランスを応援していたのでひやひやとしていた。ロンドン在住ながら申し分けございません…。ただこの日、スポーツカジノでフランス、モロッコと予想をブチ当てて3万円儲けました。2022年の運を使い果たした気がする。賭け事はほどほどに!

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日曜日の夜はOxford Circusに向かうバスに乗っていた。うつらうつらと寝かけてると、バスの通行止めでPiccadillyあたりで途中下車。小雨かなと思っていたものがコートの裾に止まると色が白い。雪だった! なんというタイミング。しかもその勢いはどんどんと増していく。なんとかThe Socialにたどり着いてPet Deathsのライブを観ていた。23時前にライブが終わ利、外に出ると、雪はすっかり積もっている。大人になっても雪が降ると嬉しい。日曜の深夜にかかわらず、街ゆく人たちは雪合戦を始めていたり、小さい雪だるまを作ったりと様々に過ごしていた。やることは海を超えても何も変わらない。こうやって雪まで降ると、いよいよクリスマスが楽しみになってくる。キラキラとしている魔法の季節。何か良いことが起きそうな予感がする。

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この1週間は内容が濃かったのか、たった数日前の出来事さえ数ヶ月前のように感じていた。落ち込むことは多々あれど、結局自分が一番最高なので特に落ち込まなくなってきた。自分を大切に出来てない人が、自分をとても大切にしている僕に敵うわけないだろうが。僕は自分に自信しかないのに、自信がないやつに負けるわけなかろう、ガハハ。ともかく自分に自信を持ってからやって来る話は良い出来事が多い。いよいよ一時帰国するので、この日記も年内更新は残り1回。

以前、日記に書いたが「私の人生って上手くいくようになってんだな〜」と言っていた友人の言葉を思い出す。それがたとえ虚栄だとしても、たとえファイティングポーズだとしても、同い年の彼女から捻り出されたその言葉に「なんて素敵な人なんだろう」と衝撃を受けたことを覚えている。やはり自信がある人は美しい。向上心のある人はカッコいい。だからこそ負けてられない。今はそのマインドで生きている。憧れているうちはずっと憧れだから、叶えたいことは叶えていく。だからイギリスに来たし、イギリスにいる。ビッグベンの横を歩くたびに、深く息を吸い込む。イギリス生活はまだまだ続く。

茶柱が立つ

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