組織は頭から腐る

その構造的原因

インパールの地で
五万の兵士の命を畜生のように屠った
それは　あまりにも無謀で　あまりのも幼稚な作戦だった
それを強行した軍司令部は　早々に安全な地域に撤退し
取り残された兵士たちには徹底抗戦を指示し続けた

七十五年後　東京で
パンデミックの危険を心配する民意を無視し
コンパクト五輪などと標榜する当初の理念などなかったものとし
倍増の勢いで膨れ上がる経費に歯止めをかけることもせず
後世の子供たちにその負担を負わせ
スポンサーから多額の賄賂をもらい
後の子のことなど知ったことではないと
感染被害などどうでもいいと
自分の私利私欲　自己欺瞞　名誉欲のために　やりたい放題

この事実を　正しく正確に　世間に知らしめ
原因を見極め　責任を追求するべきはずの　マスメディアは
そろって五輪協賛スポンサーに名を連ね
組織委員会の広報機関に成り下がり
マスメディアとしての使命
権力への挑戦　真理の追及　埋もれていた真理の探究
忘れられた弱者へスポットを当てる仕事
これらすべてを放り投げた

楽しければいいじゃないかと
お祭り騒ぎを盛り立てる
学級新聞のような　お目出たい記事を連発

それでも中には　一人や二人
本当の記事を書きたい記者もいただろう
マスメディアとしての真の使命を知っている人間もいただろう
それを社として許さないのは
トップすなわち　頭が腐っているから

いつだって日本という国は　下のものはよく働く
七十年前　飲まず食わず眠らず　無補給　無援軍の孤立の中
ふらふらになりながら　日本の未来を確信して
敵の銃弾の雨の中　バンザイ突撃していった

批判精神は大事だ　これを失ったら人間とは言えない
これが真理を追い求める原動力
これが陽の当たらない人たちを　権力から守っていく盾

それなのに　いつだって組織には
評判のいい奴　おもねるやつ　ごまをするやつ
上の人の顔色ばかりを見ているやつらがいるものだ
血の匂いを嗅ぎつけるハイエナのように
権力の匂いに惹きつけられて　すり寄ってくる
上の言うことには　何の疑問も抱かず　尻尾を振って寄ってくる
そんな奴に限って
引き立てられ　可愛がられ　出世していく
組織の上にいけばいくほど　そんな輩の巣窟だ
そのなかの妖怪中の妖怪がトップに君臨する
そしてその妖怪が
今日もまた　そこかしこで
無謀な　幼稚な　名誉欲にまみれた指令を下している