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カエデが子育て中に言われて嫌だった言葉とは?

 私には男女2人の成人した子どもがいます。息子は小さい時から勉強が嫌いで運動が嫌い。一言で言えば頑張ることが嫌いでした。また、言葉での説明が上手でなく、人に自分を理解してほしいという気持ちが薄い、1人遊びが好きな子でした。息子を心配し、誰かに相談したり愚痴をこぼしても、返ってくる言葉に傷つくことがありました。そんな言葉をシェアしてみたいと思います。


ほうっておけば自分からやるようになる


 これは小中学校の何人かの先生に言われました。放っておけば困って自分からやるようになると言うのですが、息子には当てはまりませんでした。息子は、授業がわからなくても、テストで低い点数を取っても気にしないのです。興味のない時やつまらない時は空想の世界に入っていきました。先生の話など聞かず、自分の好きな戦争ごっこの空想をしていました。

 放っておくと息子の学習はどんどん遅れるだけでした。小学校高学年ともなると、カナダの学校は親に宿題を知らせてくれません。「宿題が提出されていない」と先生から連絡が入るたびに、夫と私は息子を問いただしますが、彼は宿題が何かも覚えておらず、連絡帳にも書いていません。親が尋問口調になると、息子は口を閉ざしてしまいました。やっと宿題の全容がぼんやりわかる頃には、親子ともども疲れ果ててしまいました。

 このような状態は、息子がカレッジに入ってからも続きました。
 

学校は女子の成長速度に合わせている


 これは、言われたというより、学校システムが女子の成長速度に合わせて作られているように感じ、男子の、特に精神的な成熟の遅い子の親としてはとても辛いものでした。

 性差を話題にしてはいけない風潮がありますが、男女で脳の部位の発達の順序が違うという研究結果があります。女子は、一般的に言語認知力と情緒面の発達が男子より早く始まり、男子は、空間認識力が女子より優れる傾向があるらしいのです。25歳くらいで男女とも脳の成長は完成しますが、その途中の学校教育のカリキュラムが、言語力の高い女子に合わせて作られているようにずっと感じていました。

 医学部入試で男子に有利な不正操作をした順天堂大学は、「女子のコミュ力のほうが高く、20歳を過ぎれば差がなくなるので補正した」というのです。男女の成熟の速度に差があるのは、両方を育てた親として実感はありますが、だからといって不正操作は短絡的すぎです。ならばシステムを変えるべきです。カナダでは4年制大卒でないと医学部に進学できないため、22歳以降に受験するのは年齢的に理にかなっていると思います。ちなみにカナダの医師の数は男女ほぼ同数です。
 

娘と比べるな


 娘は優等生気質で、ある程度勉強もできてリーダーシップもありました。もちろん親を心配させることもありましたが、周りの人には順調なよくできる子に見えていたようです。

 娘と息子はまったく別の人格ということは、親の私が一番よく知っていて、彼らそれぞれに長所もあり短所もあります。しかし、私がつい周りの人に息子の勉強の愚痴を言うと、すかさず、「できる娘と比べるな。彼にも良いところはある」と言われました。

 気持ちの優しい息子に良いところがあるのは十分知っています。しかし、優しいだけでは世間は渡っていけません。勉強嫌いな息子に、どうしたら自分の力で生きていけるスキルや学力を身に着けさせることができるのかを心配しての愚痴なのに、子どもの良さを理解していない教育ママのように見られることに、とても悲しい気持ちになりました。
 

他の学校に変わったらどうですか


 これは、息子の勉強のことでどうしようもなく困って相談した時に、2人の補習校の校長先生から言われた言葉です。学校に残りたいから相談したのに、彼の成績を調べもせずに、面倒くさそうにこのように言われました。私が女性だから軽くあしらわれたという側面もあるでしょう。

 この時に、学校の先生たちにとって、息子は通り過ぎていく他人なので、親の自分がどうにかするしかないと思いました。医師や弁護士が玉石混合であるように、校長にも権力を使いたいだけの人がいます。ならば、自分で情報収集をして知識を増やし、上から物を言う人の言葉に惑わされずに、自分と子どもを信じて最良の方法を取るしかないと強く思いました。
 

楽観しすぎても心配しすぎてもいけない


 親は、子どもの現在の姿で将来を心配します。勉強嫌いであったり、他の子とどこか違っていると、将来もっと悪くなってしまうかもしれないと思いがちです。しかし、息子は、今では自分に合ったキャリアを見つけて資格を取り、人のために働くスペシャリストになりました。

 子どもが成長してから分かったことは、「楽観しすぎても心配しすぎてもいけない」といういうことです。いずれ自覚が出るだろうと親が何もしなければ、息子は成功体験が少なく、自己肯定感の低い大人になっていたかもしれません。しかし、心配ばかりしていては、子どもも辛いだろうし親の身が持ちません。

 私は、息子は勉強嫌いだが、頭が悪いと思ったことは一度もありませんでした。自分も若い時に全くやる気が出なかったことがあるからです。ただ、スイッチがいつ入るのかは、親にも本人にもわかりません。親ができることは、その日を信じてサポートしていくことだけです。
 
参考:
Sex differences in early communication development
Scientists Identify Why Girls Often Mature Faster Than Boys 


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