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シーソーシークワーサー 【45 神るの向こう側 】

【45 神るの向こう側 】

  来た時と同じ道を辿ると、思い出すことがある。
 かつて母が口にしていた言葉より、今はさっきの絢の「すぐに帰ってくる?」が反芻している。改札の向こう側に見えない境界線があるみたいに振り返らずに雑踏に紛れていた絢の適応能力は、やはり東京向きなのだろう。

 同じ、逆向きのバス。
 成田に戻る。そのあとは、故郷に帰る。すべてを捨てて出てきた。いくつか忘れたままにしてある春未時代の案件も、帰って部屋を開ければ、思い出すことだろう。

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