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スペインの旅番外編① 刹那的だからこそいい「一期一会」の触れ合い

巣篭もりGWに、せめて脳内tripを!をテーマに、2019年スペインの旅振り返りシリーズ。今日は、その番外編です。(写真は少なめです)

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わたしが一人で旅をする時に、特に良いなぁ、と感じている点が2つありまして。

1つ目は、「一期一会」の出会い
一人で旅をしていると、時折話しかけてきてくれる(またはこちらからそうする)機会に恵まれる。
その瞬間だからこそ出会えた、その人との交流。
その一瞬の交流が、時に自分の価値観を揺るがしたり、大切な気づきを与えてくれたり、と。
その後、ずっと記憶に残り続けることだってある。


2つ目は、思う存分「内省」を炸裂させることができること。
日常過ごしている「当たり前」の環境から一歩出ることは、わたしにとって、安全な箱から、それまでの常識が通用しないかもしれない、心許ない外へ出る感覚になる。
でも、だからこそ。
普段当たり前に入っている箱の中を、自然と外から客観的に見つめられる。
そうすることで、また自分の中で発見や気づきが起きたり、内省が深まっていく。

そして、今、書きながら感じたのは。
時に、わたしは、いつもいる安全な箱から敢えて飛び出してみたくなるのだろうなぁ、と。
箱の外は、見えないこと知らないことも多い。怖いし、危険だってありそうだ。
でも、そのリスクの向こう側にある、味わったことのない果実を得たいのだ。
その新しい感覚、刺激、それを求めたくて、安全な箱の中と外を、行ったり来たりしたくなるのかもしれない。

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今日は、その1つ目の「一期一会」のちょっとしたエピソードを書いてみたいと思います。

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Renfe(例えると日本の新幹線)で、移動をしていた車内でのこと。
わたしの隣の席に、40,50代くらいのダンディーな男性が座った。
しばらく経つと、PCを取り出して、時折、カチャカチャと打ち込んでいる。
不思議と落ち着く人だった。

しばらくして、そのダンディーが話しかけてきた。
「さっきから、何を撮っているの?」

わたしは、Renfeが駅のホームを出る時から、携帯で車窓の外の風景を、所々動画におさめていたのだ。

街の壁にアーティスティックに描かれる無数のグラフィティ。
次第に長閑な住宅街の風景から、さらに家々もポツポツとまばらになり。
やがて茶褐色の大地に広がるオリーブの樹々たち。

ダンディーにその動画を見せて、「好きなアーティスト ケミカル・ブラザーズの ”StarGuitar” のPVみたいに編集したいなぁ、と思って」と言うと。

とても嬉しそうに、「面白いね、僕も好きだよ。」とダンディー。
どうやら彼は、ストックホルムを拠点とする作曲家だそうで、今は仕事でクライアント先へ向かう移動中だ、とのこと。

「こんな風に、移動をしたり非日常のことをしている時ほど、アイデアが浮かんで来るんだ」
だからこそ、彼は、利便性よりも、敢えてスムーズではない交通手段を時に取るそうだ。

「そうなんですね。わたしも、以前はデザイナーをしていましたが、確かにシャワーを浴びていたり、自然の中を散歩してたり、そう言うなんてことない時に、突如アイデアが"降ってくる”ことがありました」

話が弾むが、ふと、彼のインスピレーションが降りてくる邪魔をしてしまっているんじゃないか?と思い、会話をやめて、また静かに車窓の外へ目をやった。

静かで穏やかな沈黙が続いたが、また彼が「キャンディー、いる?」と、小さな可愛い飴を手渡してくる。

また会話が始まって邪魔してしまうと悪いな、と思いつつも。
もしかしたら、こうして、異国の日頃接点がないようなわたしと会話する、と言うこと自体が彼の何かの刺激になっているのかもしれない?と図々しくも思い直し、彼が向けてくれた水に、遠慮なく乗ってみることにした。


彼はわたしを学生だと思っていたようで。
いやいや、ガッツリ、アラフォーなのだ、と。
仕事でオーバーヒート気味で、旅に出たのだ、と。
そんな情報を開示するたびに「嘘だろ!」と笑ったり、静かな笑顔で話を聞いてくれたり、と。楽しいひとときだった。


彼がどんな音楽を作る人かは分からない。
でも、その一瞬の交流が、彼のクリエイティブに1mmでも反映されることがあったとしたら…そう考えるだけで、軽い興奮を覚えて、その素敵な出会いに感謝しつつ、終着駅で彼とハグをし別れた。

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