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あの痛みがあなたの魅力を作ったんだね

誰かと接する際に、勝手に相手の方の良いところを探そうとするセンサーが発動します。

例えばこんな風に。

☆なんて相手に伝わりやすい話し方をされる人なんだろう。
☆声がいいんだなぁ。ずっと聞いてたい優しい声だな。
☆この人の語彙は独特で素敵だなぁ。

と言う感じで。

そして、少しずつその人と会う機会が増えたり、距離が縮まってくると、
魅力だと感じたことを、相手の方に伝えることもあります。
意思を持ってお伝えすることもあれば、ふとした瞬間に意図せず漏れてしまったり。


でも、最近、痛感したことがあります。
それは、こちらがいくら良かれと思って、相手の方に感じたその魅力を伝えるとしても、最大限の敬意、そして思いやりを込めて伝えないとな、ということです。
そこには、思わぬ危うさも孕んでいることを知りました。


魅力をお伝えした際、ご本人にとっては、ごくごく当たり前だと受けとめていて、それがまさか「魅力」だなんて自覚してないこともあります。
そのケースはまだセーフかな、と思うのですね。

「そうか。他者から見ると、私の●●の部分って、魅力や強みだって思われるのかぁ。」
と、割とポジティブに受けとめてもらえるので。

・・・・・・・

少し例として逸れてしまうのですが。
母方の田舎の沖縄には、親戚や知人が多く住んでいます。
時折、時間ができると羽を休めに訪れるのですが。

ある時、ヨガのインストラクターをしている従姉妹に、
「私が滞在している間に、海辺で朝ヨガのレッスンしてよ!綺麗な海を見ながらの早朝レッスンなんて夢みたいだよ。」
とお願いすると、とても素っ頓狂な顔をして、
「へ??!! 海見ながらヨガすることが楽しいの? なんで?」
と彼女は答えました。

また、プライベートビーチを眼下に望む小さなペンションを営んでいる知人のおじいと、昼間からビールを飲みながら二人で海を見ながらユンタク(おしゃべり)してた時に、
「毎日、この海を見ながらボーッと時間を過ごせるって、最高だなー」
と言うと、やっぱりそのおじいも
「でも、飽きるよ。」
とボソリと言うので、思わず笑ってしまいました。

確かに、最高に美しい癒しの存在そのものだと感じるほどの偉大な海に、たまにしか触れることができない私と、その景色が日常である従姉妹やおじい達とでは、その「魅力」の度合いがあまりにも違いすぎるんだろうなぁ、と。

このケースは、二人にとって「まぁ、そんなもんかね」と受けとってはもらえる言葉だろうと思っています。

でも冒頭に書いた、気をつけて伝える必要があるケースと言うのは、その魅力が築かれるプロセスで、苦労や悲しみ…などの痛みを伴った結果、作り出されたものである可能性もあるからです。

・・・・・・・

知り合いの方で、とても感性が研ぎ澄まされていて、繊細で、独特な世界観・オーラを纏っているな、と感じさせてくれる方がいます。
私には持ち合わせてないその感覚は、私にとってはとても魅力的に映っています。

ある時その方が、判断・決断をする際にとても迷っている様子でした。
なので、背中を押すつもりで、
「●●さん、大丈夫ですよ。どうぞご自身の感覚を大事にして、信じてみてください。」
とお伝えしました。
その方の持つ感覚・感性の素晴らしさを最大限信頼しているし、尊敬しているからこそお伝えした言葉だったのですが。

その方は、その言葉に大いに動揺されたと、後ほど聞かせてくれました。

幼少期、その方はご家庭で辛い思いをされて育ったそうです。
親の顔色を伺い、周囲の空気を敏感に感じとって、生き抜いてきた。
その方にとって、そうやって周囲にアンテナを張り巡らし、繊細に空気をキャッチし、うまく反応していく…
それは生き抜く術そのものだったのかもしれません。
そうやって築かれた、繊細で、優しく、どこか儚げな感性は…
その方にとっては「魅力」「武器」だなんて、思えずにいたそうです。
むしろ、自分では、周りに自分を同調させることでやってこれたのだ、と。
自分の中の感覚には、目を背けてきたと。
だから、ご自身の感覚を信じろ、と言う私の言葉は、その人にとってはとても衝撃的だったようなのです。


お話を打ち明けてくれた時は、とても驚きました。
そして、その痛みのプロセスを通して作られたその人の感性は、やはり私にとっては、痛みも含めて素晴らしいし魅力的だ、ということも改めてお伝えしました。


誰かの外側に現れている魅力は、氷山の一角であることもあって。
表に現れている魅力の底には、もしかしたら、決して美しいプロセスだけを通して作られたわけではないものがあるのかもしれない。
これからは、これまで以上に丁寧に、大切に思う相手の方の魅力をしっかりと見つめていこうと思った今日この頃です。

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