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D・カーネギー、そして魔性の女(風 ふう)な母から学ぶ「人を動かす」能力

母は魔性の女なのだろうか?
いや、違う。(だからタイトルにも<風>と入れています。)
秀吉並みの人たらしなのだろうか?
いや、それも違う。

少なくとも、何十年も一緒に過ごしてきた身内としては、全くもってそのような印象を母には抱いていない。

だけど、母には、相手の方も、恐らくは母本人でさえも気づいてない、ナチュラルに備わっており、時折繰り出される才能がある。

それは、かの世界的ベストセラー著者であるD・カーネギー様の著書タイトルでもある「人を動かす」才能


ある時私は、母の背後にいる「おじレンジャー」の存在に気づいた。
例えば、こんな感じ。

母の趣味であるカメラ撮影。撮影するまでは良いけど、我が家にある安物のプリンターでは、なかなか良い色味で写真出力ができない。
そう言う時に母は、

うぅーん。やっぱり今回も "カメラのおじさん" にお願いしてみようかな

と言う。
カメラのおじさんとは、母が通っている趣味のカメラサークルのメンバーのお一人で、カメラに詳しく、何十台も持っており、また高価で色鮮やかな出力が可能なプリンターも所持していらっしゃるお方。
おじさんは、母が撮影した写真データを、綺麗に色味補正して、出力までしてくれて、カメラ教室の際に持ってきてくれるのだと言う。

他にも、

"パソコンのおじさん"
パソコンの不具合が出た時に、わざわざ我が家にPCの状態を見に来てくれて、直してくださる方。

"木工のおじさん"
こちらは3名のブレーン集団。母が作りたい木工プロダクトの、図面起こしから組み立ての全ての工程をバックアップをしてくれる。
おまけに木工教室に通う際の送り迎えまでしてくださる。

などなど、心強いおじレンジャーがいらっしゃるのだ。
しかも無償!なんてPEACEな!!

時々、母から、私が地方の出張などに行く際に、「その県に行くなら、美味しい●●って日本酒があるはずだから、買ってきて」と、日頃お世話になっている、そのおじレンジャー様たちへのお土産を買ってくるよう、ミッションが下される。
まぁ、でも、母をいつもサポートくださっている方々に、直接感謝をお伝えする機会がない娘からすると、それくらいのお礼はさせてください、お安い御用です、と言う感じなのだけど。

で、ふと考えた。
なぜ、おじレンジャーの皆さまは、ごくごく普通のこの未亡人おばさんである母に、これほどまでに親切に世話を焼いてくださるのだろうかと。

そして、気づいた。
母は、カーネギーの著書にある「人を動かす」ための原動力となる行動をとっていたのだ。
それは、「自己重要感を満たす」ということ。

おじレンジャーの皆さまは、聞くところによると、
・元大企業の重役でおられた方
・奥様が他界され、一人暮らしを長年されている方
など、かつては組織や家庭で、とても優秀で必要な存在、支える存在としておわした方々のようで。

ところが、今は、引退されたり、お一人で暮らしてらしたり、あまり社会から「必要とされている感」「重要な存在だと認められてる感」を感じにくい日々を送られているのだと思う。
以前が、偉大であったり、幸せであったりされただろうから、なおのこと。
そこに対するある種の欠乏感?のようなものも、ひょっとしたら、おありなのかもしれないなぁ…なんて、推察してしまった。

そんな時に、母から、「ヘルプ♡」の連絡が入り、
詳しい!
すごい!
頼りになる!
助かります!

なんて、興奮気味に大絶賛されたら、自己重要感がジャブジャブに満たされるのだろうなぁ、と。

カーネギーの、この「人を動かす」を読まれた方は、多くいらっしゃるかもしれませんが、改めて読んでみたら、こんなことが書かれていた。

人を動かす秘訣は、間違いなく、一つしかないのである。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること
人を動かすには、相手の欲しがっているものを与えるのが、唯一の方法である。
人は、何を欲しがっているのか?

普通の人間なら、次に上げるようなものを欲しがるだろう。
1)健康と長寿
2)食物
3)睡眠
4)金銭及び金銭によって買えるもの
5)来世の命
6)性欲の満足
7)子孫の繁栄
8)自己の重要感

そして、上記の欲求はたいていは満たすことができるものだが、一つだけ例外がある。
その欲求が、8番目の「自己の重要感」であり、心理学者のフロイトや、他の哲学者、アメリカ大統領のリンカーンなども、その重要性を述べている。そして、他の欲求に比べて、この欲求はとても根強く、その割にめったに満たされることがないため、人は渇望するのだ、と。


うぅむ。
やるやん、母。

これからも、母をバックアップしてくださるおじレンジャーの皆さまに感謝しつつ、家族には、ヒットラー並の独裁的な態度で、こちらを動かそうとするのはやめていただきたい、と切に願う。

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