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《宇宙人》を知らぬ人たち

(画像はいらすとや様よりお借りしました)

話が通じない《宇宙人》

 ユダヤ教には、「10人の人間がいれば、1~2人は自分に好感を持たない」という考えがあるらしい。(参考:https://diamond.jp/articles/-/73732?page=2) その原因としては各人が持つ嗜好の問題が真っ先に思い浮かぶが、一部は愛着障害/パーソナリティ障害/精神疾患によるものだと私は考える。特に一部パーソナリティ障害の傾向が強い者は、「人間としての話が通じない」ゆえに《宇宙人》とでも喩えられるだろうか。より具体的に言えば、毒親/毒家族、犯罪者、ハラスメント加害者、ストーカー、そして私の祖母のような人間の多くはこの《宇宙人》に該当すると私は認識している。
《宇宙人》には一般的な常識や感覚が備わっておらず、彼らは「自分こそが正しく、自分には一切の責任がない」と思い込んでいる。つまり《宇宙人》による誹謗中傷や罵り、嫌がらせといった攻撃に対して“誤った”反撃をしても暖簾に腕押しであり、むしろ攻撃が激化する一方である。あるいは必要以上に《宇宙人》の言動を受け止めてしまうのも彼らの思う壷だ。皆の声に耳を傾けてすべてを等しく理解しようとすると、自分自身を見失ったり、強い自責の念にとらわれる事態を招いてしまうからだ。
 では《宇宙人》からの攻撃に対する最適解は一体何なのか。その答えは「相手にしない」ことだが、そこに至るには健全な自己愛、安定した愛着スタイル、そして《宇宙人》の存在を正しく認知することが必須である。その概念を理解している人間が、この社会に果たしてどれほど存在するだろうかと私は疑問に思う。


善良過ぎると《宇宙人》を知る機会がない

 一般的に善良な市民とは、比較的愛着スタイルが安定している人間と言える。しかしその善良さも“過ぎる”と思考が性善説に偏り、「《宇宙人》とも話し合えば分かり合える」という誤認に陥る可能性がある。そんな彼らが《宇宙人》に触れるとたちまちその毒牙の餌食となり、「自分が悪いのではないか」という自責の念を植え付けられる。かく言う私もかつて同じ状態であった。毒祖母の身勝手な言動に辟易しながらも何処か自分にも責任があるのではないか、と大きな勘違いをしていた。「こんな祖母ともいつの日か分かり合える。家族なんだからきっと上手くいく」とさえ考えていたが、それはあくまで話が通じる”人間”に限ったことであり、《宇宙人》とは決して遂行できない事象である。
 
私の学生時代の一部友人らは、家族仲は良好、友人や恋人にも恵まれ、アルバイト先の同僚とも親しく、《宇宙人》の存在などまるで知らぬ存ぜぬといった典型的な善良な市民だった。そんな彼らの平然と男女混合で雑魚寝をする、同サークル内で交際をする、交際相手を互いに紹介し合うなどの行為について、当時私にはとても理解できなかった。それは私のパーソナリティにも過分に原因があるが、それ以上に「この世には《宇宙人》という存在が蔓延っている」と察していたからかもしれない。


無駄な自責の念は不要

《宇宙人》という者が存在すること、そして彼らには「人間としての話が通じない」ことに気がつけるかは、現代社会を生きる上で必要であると私は強く主張する。その概念を知れば無駄な自責の念を捨てることができ、それは毒親/毒家族問題や家庭内問題、ストーカー問題、ハラスメント問題などの改善にも通ずるからだ。

 それに気がついた後は、《宇宙人》である毒祖母から攻撃や嫌がらせを受けたとしても「あーまた自己愛(性パーソナリティ障害の症例が)発動してるわ(笑)」「親と愛着築けなかった可哀想な人でちゅね~」と心内で小馬鹿にするくらいの余裕を持てるようになった。
 あのまま《宇宙人》の存在を認知せずに自責の念に苛まれ続けていたら、私は今頃命さえ擲っていたかもしれない。それほど《宇宙人》は他人を苦しめ、傷つけ、時として命さえ奪うのだ。しかし直接手を下していないゆえにほとんどケースで“お咎めなし”であることは、《宇宙人》の末恐ろしい性質の一つである。


《宇宙人》は絶滅しない

 誹謗中傷を含んだメッセージを当事者に送りつける、私利私欲のために他人を陥れる、子供や家族を支配したり傷つけたりする──《宇宙人》である毒祖母を長年見続けた私からすると、それらが絶滅する兆しは残念ながら皆無と言えよう。  
 例えば昭和時代には芸能事務所に剃刀を送付したり、執拗に誹謗中傷の電話を掛けたりする、“かなり重度な”《宇宙人》が確かに存在した。しかし現在ではSNSやインターネットの発達にともない、“指先一つだけ”でそれと同等の行為を成し遂げられる。つまり一昔前ならば何とか《宇宙人》にならずに踏み止まっていた人間たちが、今ではいとも簡単に《宇宙人》へと変貌してしまうのだ。何よりも毒親が一人存在すれば、その子供もまた毒親あるいは毒子供になる蓋然性は否めず、彼らこそが《宇宙人》の正体そのものだと私は解釈している。

 かように《宇宙人》とは至る場所に存在しており、彼らの毒牙を回避するのには、《宇宙人》からの誹謗中傷や罵りなどよりも、大切な人の言葉を優先することに尽きる。具体的には、「《宇宙人》には触れない、気にしない、近づかない、煽らない、反撃しない」ことである。 
 
繰り返しになるが、まず《宇宙人》には人間としての話や一般常識がまったく通じない。次に一度(ひとたび)標的にされれば、それが覆ることは絶対にない。つまり和解や謝罪はあり得ないものと思うべきであり、たとえどんなに思いに駆られても反撃しないことだ。

 長々と書き連ねたが、これこそが本心以外何物でもない。すべての《宇宙人》を駆逐したい所存だが、それは無理難題である。彼らが存在する限り、周囲の人間はある程度の対策を施す他ないと私は思う。


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