【短歌】枯木逢春

まだ暗いまだ寒いまだしんとした朝である 二月になった
 
街路樹にまきつけられた電飾が神経細胞みたいに光る
 
遠隔でつけておける暖房も君がつけていると温度が違う
 
題詠のように言葉が与えられるタイムラインなら良かったのにな
 
金を稼げるようになった体には受けつけられなくなってたカルビ
 
起きたとき布団から出ていた右の手を尻に敷いて温める
 
気が付けばカゴに入ってる柿の種わたしの管制塔に異常アリ
 
38.2℃ハチドニブあるときは眠りについていてやっと起き出してきた空腹
 
羽折れた妖精を世話するように育ててみたい金蘭之契
 
いさなとり千年過ぎたる海にもおさまりきらない銀鱗躍動
 
言葉とは楽しいものと教えらる 発寒、発寒、旅中言えり
 
常識を外れてはいるが常軌を逸してはいない表現手法
 
甘やかしている人の胸にじゅわじゅわと広がる甘やかな熱
 
卒業後の君のローズピンクのコート 染め直されるいつもの公園
 
ゆるくなっている腕時計 学生のたくわえを削り詩を書く
 
未来への願いを込めて写真撮る きみのうしろは桜梅桃李
 
炎天に曝されても一葉落ちても凍えても枯木逢春



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