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ジャワカレー辛口を手軽に本格カレーにする方法 〜あるいはカレーの苦味について

やあ、みんな。ケイチェルおじだよ。

昨日のつぶやきでジャワカレー辛口を使ったお肉ごろごろポークカレーをアップしたら、割と皆さん興味津々のようだったので詳しく書くことにしたよ。

おいたんのnoteの読者なら、この数ヶ月おいたんがずっとカレーの苦味にこだわって、その正体を研究してることはご存知かと思う。実はまだ確証を持ってるわけではないのだけど、これまでに分かったことを書いておこう。4000字を超える長文になってるのでテキトーに読み流してくれ。

ちなみに、苦みのあるカレーは苦手だという人にはこの記事は何の価値もないと思うので、ブラウザをそっ閉じすることをおすすめするよ。

おいたんが「カレーの苦味」というのを明確に意識したのはほんの3〜4年前のことで、これまでnoteに何度か書いてきた松屋のオリジナルカレーがきっかけだった。
その頃、「オリジナルカレーが生まれ変わりました」という触れ込みで登場した松屋の新オリジナルカレー。おいたん的にはど真ん中ストライクな、とにかく辛くてスパイシーなカレーだった。SNSなどを見ても評判は上上で、「カレー好きにとって松屋は牛丼屋ではなくカレー屋である」というツイートがバズってたくらいだ。
ところが他方で、「とにかく苦すぎる。まるで鍋の中でカレーを焦がしたみたいな味がする。しかもカレーが辛すぎて一緒についてくる味噌汁が飲めなくなるレベル」という意見も散見された。もしかしたら世間の大半の人はそう思ってたのかもしれない。なにせ、リニューアルされた3ヶ月後くらいに、再び「オリジナルカレーがまた新しくなりました」という触れ込みで、今度は苦さと辛さが抑えられたカレーとして再びリニューアルされてしまったのだから(そしてさらにその3ヶ月後くらいにオリジナルカレーは廃止になり、新たに「創業カレー」という名のカレーが登場し、今に至る)。

そうした経緯はさておき、おいたんがそのとき思ったのは、「こういうカレーを『苦い』と感じる人がいるのか」ということ。言われてみれば確かに苦みがあったことは間違いない。自分が美味しいと思うカレーは「苦味の効いたカレー」なんだということを初めて自覚したわけだ。

そして、どうも苦味の効いたカレーというのは世間では忌み嫌われがちということも分かってきた。Googleで「カレー 苦味」で検索すると、「スパイスカレーを作ったら苦くなってしまいました。どうすればいいでしょうか」「苦くなってしまったカレーを中和する方法」みたいな見出しばっかり出てくる。

しかし他方で、苦味の効いたカレーを好む人が常に一定数いることは確かであろう。松屋のオリジナルカレーを絶賛する人はたくさんいたし、何よりカレーの隠し味としてコーヒービターチョコレートを入れたりするのは昔からポピュラーな方法だ(おいたんのnoteでは「ビールを入れる」というアイデアも教えて頂いた。他にもカレーの苦味についてコメント欄でご提案を下さった方々にはこの場を借りて感謝いたします)。

コーヒーにせよビターチョコにせよビールにせよ、やはりカレーに苦味を足したいと思う人は昔から多くいて、そのための工夫に他ならないと思う。しかし、なぜ人はカレーに苦味を足したいと思うのか?おそらく、コーヒーやチョコを入れるアイデアが生まれる前に、日本の一部のホテルやレストランにおける「本格的なカレー」のなかに、苦味のあるカレーが存在していたからではないのか。

カレーの苦味はどのようにして生まれたのか?とりあえずおいたんが考えた仮説は今のところ2つある。

①カレールーを焦がし気味に炒めて作る
これはnoteのコメント欄でまみげプロから教えてもらった手法。レストランなどではカレールーを作るときに小麦粉とカレー粉を炒めるわけだけど、そのとき焦がし気味に炒めることで苦味が出る。ちょうど先日YouTubeのGenさんが「きみたちは黒いカレーの秘密を知っているか」というタイトルで動画をアップしていた。

↑まさにこのように小麦粉とカレー粉を焦がすことで黒いカレーが出来るというわけだ。確かに、黒っぽいカレーって本格的な感じするもんね。そしてそういうカレーは苦味の効いたカレーであることが多い。松屋の新オリジナルカレーもかなり黒かった。

②スパイスを焙煎して焦がす
ではなぜ、日本のレストランでカレールーを焦がすという手法が取られるようになったのか。1つ考えられる理由は、S&B赤缶の誕生秘話と関わりがある。S&Bの創業者山崎峯太郎氏は、スパイスを焙煎・熟成させるという独自の手法によって、ようやく納得のいくカレー粉を作り出すことができたらしい。おそらくそうした話もあって、日本では「スパイスは焙煎するもの」という認識が浸透したのではないか。調べていたら、noteで水野仁輔氏が次のような記事を書かれていた。

↑S&B赤缶誕生秘話との関わりは明確には触れられていないが、日本のカレー専門店などでパウダースパイスを焙煎する手法がポピュラーだったことが伺える。

で、この「スパイスを炒めることで苦味の出たカレー」が日本独自のものかというと、そうではないと思う。前の記事にも書いたけど、おいたんがこないだ調布のインドカレー店で食べたマトンカレーが苦味の効いたカレーだった。

そこで色々調べてみたら、こういう苦めのカレーはマトンカレーに多いようだ。日本のインド料理店は実はほとんどがネパール系であることが多いので、「ネパール マトンカレー」などのキーワードで検索してみたら、ようやく苦味の正体らしきものが見えてきたのよ。

最初に見つけたのは、こちら↓の「旦那様はネパール人」という方のcookpadのレシピ。

↑最初にマトンをターメリックパウダーと一緒に焦げ目がつくまで炒める、とある。これを見たとき、ようやく答えを見つけた!と思ったね。他にもYouTubeでネパール人がマトンカレーを作ってる動画も見たけど、やはり最初にマトンや玉ねぎをターメリックパウダーで炒めてるのよね。

実は「苦味のあるスパイス」として真っ先にターメリックのことは考えてたんだけど、ターメリックと言えばあの真っ黄色の蛍光色が特徴だ。分かりやすいところで言えばカレーチェーン店のC&Cのカレーみたいに、食べたあとのお皿が蛍光塗料をぶちまけたみたいになるやつだけど、決して苦味の効いたカレーではない。それに苦味の効いたホテルカレーなどは黄色というより黒っぽいイメージだから、ターメリックは完全に候補から除外してたのよ。しかし、「そうか!ターメリックを焦がせばいいのか!」と気づいたわけ。そう言えば松屋のオリジナルカレーも黒っぽいカレーではあったけど、食べた後のお皿は蛍光塗料ぶちまけたみたいな色になってた気がするな。

そんなわけで、冷蔵庫に余ってたジャワカレー辛口を使って試してみたのが昨日のこと。材料はこちら。

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↑お肉は、これまたチャジャンミョンを作って余った豚肩ロースをぴちっとシートしておきました。

さっそく豚野郎をターメリックで炒めていくよ。普通のスパイスカレーではターメリックは4人分の分量で小さじ1らしいけど、ここは2人分に小さじ1入れてみよう。

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とりあえずこれくらい、テフロンが死にかけのフライパンに焦げがこびりつきつつ、豚肉に焦げ目がつくくらい炒めてみた。

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元々パウダースパイスは焦げやすいらしいので、こんなもんで充分だろう。

玉ねぎのみじん切りを加えます。

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強めの火で水を足し足ししつつ飴色玉ねぎになったら、生姜とニンニクのすりおろしを投入。(圧力鍋にかけるから玉ねぎを飴色にする必要はないと思うけど、一応)

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香りが立つまで炒めたら、辛味の調整。カイエンヌペッパー小さじ1/2と、パウダー黒胡椒を小さじ1/2ずつ。辛いのまあまあ得意って人にはまずこれくらいをオススメ。苦手な人はカイエンペッパーなしでもいいかも。

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しばし炒めたら圧力鍋に移し、ローリエを入れます。そこに水300ccをフライパンをこそぎながら投入。

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肉を柔らかくするため、25分加圧します。加圧が終わったらジャワカレーの固形ルーを2皿ぶん。

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ルーをよく溶かして、再び点火。弱火で10分ほど煮て、カレーはできあがり。こちらが昨日食べたもの↓

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さて、今日は残りのカレーでハンバーグカレーを作ろう。先日まみげプロがハンバーグのレシピをアップされてたので、そちらの作り方で。

材料はこちら。

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↑まみげプロが、「必ず生パン粉を使うべし。さもなくば死あるのみ」と書いてたような気がするので生パン粉を買ってきました。

詳しい作り方はまみげプロの記事を見てね。

ただ、おいたんの合挽肉はパッケージに118gって書いてあったから、レシピの3分の1(1個ぶん)くらいでちょうどいいかな?って思ったんだけど…

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↑どう見てもデカすぎない!?

とにかくレシピ通りに焼きました。やっぱデカいよなー。巨大ハンバーグカレーになったよ😂

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いやー、1日寝かせたカレーが昨日よりさらに美味しくなって、ますます本格カレーの味になってる!めっちゃ美味い。おいたんの「理想のルーカレー」になったよ。

元のジャワカレー辛口って、少し尖ったスパイシーさもありつつ、万人受けを狙ったような甘味と酸味があるけど、そのいかにも市販カレーっぽい甘酸っぱさを上手く抑えて、スパイシーさが際立つカレーになってるわ。ターメリックを焦がして黒胡椒とレッドペッパーを少し入れただけなのに、見事に大変身を遂げてくれたよ。個人的にはもう少し苦味があってもいいかなと思うけど、ほとんどの人にはこれくらいがちょうどいいのではないかな。

そしてまみげプロのハンバーグ。これがびっくり!生パン粉を挽肉と同じカサになるくらいたっぷり入れるので、ステーキ屋さんのハンバーグみたいな肉肉しいものではないけど、かと言ってさつま揚げみたいなフニャっとした昔ながらのハンバーグとも違う。柔らかいのに少しサクッとした食感で、こういうハンバーグはどこかのお店で食べたことあるぞっていう感じ。苦辛いお肉ごろごろカレーと合わせると、まるで「カレーが名物になってる喫茶店のハンバーグカレー」という趣きだな。

さて、次はインドカレーでこの苦みを再現しなくては。前に作ったときはトマト入れた後くらいから苦味が消えたんだよねえ。ターメリックと一緒に別のホールスパイスも焦がした方がいいのかなあ。

おわり。

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