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全体研修を通して伝えたかったこと〜学習支援のNPOにて〜

 札幌市を中心に、ひとり親世帯や生活保護世帯等を主な対象に、「環境に左右されない楽しい学びの場をすべての子ども・若者へ」を使命として、学習支援や居場所づくりをしているKacotam

 新型コロナウイルス感染症の大流行もあり、しばらく対面での実施ができていなかった、全体研修(必修)が、先日久しぶりに開催できた。
 今回、研修を主幹する中で、研修に込めた想いを記録として綴っておこうと思う。

代表講話

 代表から、最近のKacotamのことこれからのKacotamのことを紹介。

 毎年何らかの新しい活動・拠点が動き出している一方、その全体を知れるタイミングはあまりない。新しい活動・拠点が動き出すこと自体は、都度都度流れてくるけれども、全体を俯瞰して見るタイミングは、全体研修の代表講話か、ボランティアとして活動を始める前の代表面談での団体説明ぐらい。

 活動・拠点が増えていく中で組織としても大きくなり、日々の活動の中で、一人一人のボランティアメンバーが団体への貢献度(≒必要性)が感じにくくなっているという感覚があった(団体としての走り始め時期と比べて)。
 職員は常勤が3名(と、数名の非常勤)で、様々な活動は、200余名のボランティアメンバーが活動の中心を担っている構造なので、明確に感じられる以上に、一人一人のメンバーが団体(≒利用する子ども)に与える影響は大きい。
 代表の言葉として、研修参加のメンバーらへ、そのことが伝えられたのがどう利いてくるか。

外部講師講話

 昨年、受験カコタム(中3・高3向け受験対策学習会)のメンバー向けのミニ研修でお世話になった、杉山さん(家庭教師がつくる塾Base/札幌の家庭教師屋さん)から、昨年のミニ研修での内容をベースに全体向けに調整したものでのお話をしていただいた。

 Kacotamに常勤職員として関わる様になって、気をつけていることの一つに、「学習の機会格差の解消を目指している(≒学習支援の団体だ)」という認識を忘れないこと。もう少しいうと、「学習支援」という武器があった上で、「居場所」とか「ソーシャルワーク」とかの「学習の機会」を子どもが利用できる状態をつくるために必要なものも可能な限り対応していくということ。

 2016年11月「中高生のオープンスペースゆるきち」ができて以降、特に「居場所」というキーワードが団体内で強く出てくることがしばしばになった。それはさらに「私たちは子どもにとっての安全基地である」という原則ができて、「居場所」とか「寄り添い」ということが、団体内で色濃く(≒目的化している)ような気がしている。

 今回、全事業のメンバー対象の必修研修である全体研修で、「学習」に振り切ったテーマ設定をしたところには、そういう危機感があったのが大きい。

 ただ、実は今回は「学習」に振り切ったテーマ(学習シーンでの話が中心)とはいえ、「子どもを観察する視点」という意味では、全事業に共通することだと、斉藤は確信している。
 もちろん、講話での話をそのまますべての現場に適用できるわけではないけれど、視点の持ち方や他から得られた情報の使い方、そもそも子どもと対峙するときの大枠については、応用し得る(≒講話を元に自分の活動の中での在り方を考えられる)ものだった。

 子どもとの関わりについては、いろいろな実践を知り、それを自分のものとして、咀嚼して、日々の活動の中で反芻して、次に活かすというサイクルを回し続けるしかないと思う。
 そもそも、Kacotam(か・こ・たむ)は、「んがえる」→「うどうする」→「のし」という団体なので、「すぐ明日使えるテクニック!」みたいなものより、「こういう考え方、やり方があるよ、あとはお考え下さい」ぐらいのお話の方が外部講師講話としては、団体に適合するとも思っている。

交流会

 コロナ禍で、団体内での感染症まん延防止と各拠点の活動が広く止まってしまわないようにするために、対面での活動は、一人一拠点を原則とするのが、しばらく続いていたこともあり、コロナ禍以前のように活動をまたいだメンバーの交流の機会が、失われていた。
 「Kacotamとは」、「カコタムらしさ」というのを感じる上で、自分が参加している活動以外について知ることは、要素の一つとして大きい。

 例年だとグループワークで参加者同士が話すタイミングがあるけれども、今回は運営事情もあり割愛していた。

 日ごろの各自の活動を共有してもらったり、外部講師の講話について振り返ってもらったりするタイミングとして、交流会までを研修のプログラムに組み込んだ。どこまで有効に活用してくれたかは、微妙な感じがあるが……。 

◇◆◇◆

 今回は、最小限の運営労力で得られる全体研修を模索した。組織体制にもう少し余裕が出れば、運営労力を増やせる気もするが、現状の体制としての全体研修(全員必修型)としては、今回のが一定の完成系かなと(細かい運営上のカイゼン事項はあるけれども)。
 全体研修に絡めて、日々の活動の中でのOJT的な部分の充実が、人の出入りタイミングがバラバラしているKacotamには重要なんだろうと思われる。

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