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子どもの福祉・教育に関わるNPOで情シスすること

 子どもの福祉・教育に関わるNPOでいわゆる情報システム部門(情シス)として活動をして3年が過ぎました(ボランティアスタッフとして2年、職員として1年)。
 この間、以下のようなことに取り組んできました。

○ 基幹システムの構築・運用 → PyCon2019でポスター発表しました
○ 団体WEBページのCMS化
○ 新規事業のランディングページ作成ゆるきち
○ その他雑多なこといろいろ (。・ω・。)

 なかなかICTの分野が事業の中心にあるようなところでないと、一人情シスとか兼務あるいは外注となっていることが多いであろう中、非IT系(子どもの福祉・教育分野)の小中規模NPOとして情シスが内部にあるというのは、あまり例がある事ではないと思っています(が、他にもあるところがあれば是非情報交換とかしたいので教えて下さい!切実...)

意識されない積み重ねの作業時間

 常勤職員1~2名で、利用者数もボランティアスタッフも100名を超え、活動拠点数も片手を超え、と言う中では、運営の面で手作業でなんとかしていくというのは得策ではない部分が増えて来ます。
 特に、日ごろの活動に関わるけれど、なんとなく手作業で頑張る!で済まされがちな、活動への出欠集約は、ルーチーンとなるとなかなか意識されないけれども気がつけばすごく作業時間を取られていた!となることの一つです。出欠集約のやっかいなところは、活動前にとれれば良いというだけでなく、寄付者や助成金団体等に対して活動の報告をするときの実績としても利用するための集計も必要だったり、ボランティアスタッフへの交通費の支給だったり、活動の改善のための指標(利用継続状況やボランティアの活動継続状況など)になるものだったりと、実は多岐にわたる利用目的のあるデータなのです。

退屈なことは、システムにやらせよう

 『退屈なことはPythonにやらせよう ―ノンプログラマーにもできる自動化処理プログラミング』というPythonを使った作業の自動化に関するベストセラーがあります。なんとなく「楽をすること」に対してネガティブなイメージの強い(かった)日本社会でしたが、そんなイメージが払拭されつつあるように感じています(が、まだ道半ばかな)。

 昔ながらの出欠の集約方法「メール等で連絡をして担当者が集約をする」というのは、集約対象の人数が増えることで、感覚的には指数関数的に作業の労力が増えていくように感じます。
 出欠の確認という意味では、調整さんは、良いサービスなのですが、毎回の集約結果を蓄積して集計するというところは難しく、活動の回数が増えるに従って、過去の集約結果の集計・蓄積というところにかかる労力はやはり指数関数的に増大していく気がします。あとは、構成員が増えてくると、「名無しさん」が大量発生するという問題も......。

 利用者やボランティアスタッフの参加集約というのは、活動をする上で絶対必要でなくせないものですが、活動の本質的な部分でもなければ、作業者にとって何かワクワクするようなことでもありません。しかもやることは、定型化されていて、人間なんかがやるよりも機械にやってもらった方が良い仕事をしてくれます。

 実際、独自開発の基幹システムが動き出して3年が経ちましたが、「出欠はポータルに」「ポータルからの通知で」「(利用実績に関する考察がしたいとき)それならポータルの出欠データから」と、当たり前にあるものに育っています。

あったらいいではなく、必要不可欠なものとして

 小中規模のNPOにとっては、資源(ヒト・モノ・カネ)は潤沢にあるとは言いがたく、限られた資源の中で、対象とする社会課題に対する取り組みを進めています。なかなか情シスに関わる資源配分ができないのは仕方ないといえば、仕方のないことなのかもしれません。
 しかし、小中規模のNPOこそしっかり情シスの体制は整備した方がいいと思います。それによって得られることは想像以上のものになると、たった3年ですが小中規模NPOで情シスとして活動して感じています。最初から独自の基幹システムを作るとか大それたものでなくても、作業の自動化を簡単にできるようなサービスを少しずつ利用していくところからでよいでしょう。

エンジニア界隈の人々へのお願い

 皆さんの力を必要としている団体がたくさんあります。少しでも関心を持てる社会課題に取り組むNPOがあれば(内閣府NPOポータルサイト で分野検索などできます)、活動に参画しつつ、情シスとして活動を支える部分にも手を差し伸べてあげて下さい。システム化してしまえば、「やってよかった」が多いでしょうが、する前はルーチーンが崩されることへのなんとなくの不安があるものです。少しずつ団体の様子を見ながら手を差し伸べてあげて下さい。

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 急激にリモートワークとかICTを活用した非対面での活動を迫られることになった今日この頃。この3年スローペースでもいろいろ取り入れてきていて良かったなと思う。

 ちなみに、斉藤が関わっている認定NPO法人Kacotam(カコタム)では、情シスメンバーを大募集しています(カコタムシステム開発室)。環境に左右されない楽しい学びの場づくりを支える情シスに興味のある方は是非ご連絡ください。

いただいたサポートに応じて、「環境に左右されない楽しい学びの場をすべての子ども・若者へ」をミッションに活動する認定NPO法人Kacotam(カコタム)へ寄付をします!