クラロワリーグ | アマテラス - 私のCRLベストゲーム
2018年5月13日、CRL Asia 2018 Season1 Week3のKING-ZONE戦。
「完璧にデッキを読まれた不利な状況下で相手のミスを見逃さず1発で決め切れたので、とても感情が高ぶりました」
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2021年、『クラロワリーグ』の仕組みが大きく変わって、3年間続いた”チーム戦”の歴史が終わり、全く新しい”個人戦”の年間大会が始まることになりました。新しいものは新しいもので楽しんでいくにしても、そうは言ってもさびしいなあ、という感情がファン的には残っています。
そこで、このタイミングで、3年間のプロリーグ団体戦の思い出だったり”CRLでのベストゲーム”だったりという共通のテーマで、プロ経験者の方々にお話をうかがってみたいと思いました。
第8回は、アマテラス選手編です。
アマテラス(Amaterasu、Yosoro Master) Twitter
「クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ(CRL)」で活躍した日本人プロ選手。2017年の公式大会「クラロワ日本一決定戦」で準優勝し、ロンドンの世界大会へ出場した。その実績を買われてプロ入りし、日本のeスポーツチームGameWithで2018年の1年2シーズン、”リーグ最年少チーム”を引っ張った。選手としてはゴレやラヴァの”重量級デッキ”を得意とし、1v1でも2v2でもトータルに結果を残した。
合言葉はヨーソロー(Yosoro)。同じ開発会社Supecellのゲーム「クラッシュ・オブ・クラン(クラクラ)」の腕前もマスタークラスである。
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1.プロリーグでチーム戦を闘ってきて
――クラロワリーグ(CRL)の仕組みが今年2021年に大きく変わって、3年間続いたチーム戦が終わり、個人戦の全く新しいフォーマットになりました。
プロチームに所属してリーグ戦を闘ってきたプロ経験者として、この大きな変更をどう受け止めていますか?
アマテラス:
チーム戦が見られなくなるのは正直寂しいです。
ですが、個人戦ではこれまでアマチュアだったプレイヤーにもチャンスがあるので、プロ相手にどこまで食い込んでいけるか注目したいです。
――プロチーム所属の経験者として、チーム戦と個人戦にはどのような違いがあると思いますか?
アマテラス:
チーム戦では誰かが負けてもカバーし合えますし、事前の準備でもみんなで意見を出し合って相手のデッキの予想をしたり出来ました。2018年のGameWithにはアナリストがいなかったこともありまして。
チーム戦ではチームとしての分析力、個人戦では個々の分析力でデッキを用意することになるので準備段階から差が付きやすいかもしれません。
――思い返せば、CRL初年度2018年はアジア3拠点を転戦、2019年は韓国開催で外国暮らし、2020年はコロナ禍のオンライン開催と、同じリーグ戦と言っても毎年コロコロ仕組みが変わる中で選手の皆さんはリーグを闘ってきました。
いまふりかえってみて、あれは特に大変だったなーという思い出はありますか? 逆に、あれは最高に楽しかったなという思い出はありますか?
アマテラス:
私は2018年しか経験していないですが、1週間おきに東京、韓国、台湾へ移動していたので大変でしたし、大学の単位も厳しくなりました。
ですがプロとして活動していた間はとても楽しかったです。
――毎週アジアを飛び回っていたあの年は見るからに大変そうでした。しかも、大学に通いながらでは尚更です。進級は大丈夫でしたか?
アマテラス:
留年しました!
――ちょっ!公表してしまって大丈夫ですか?
やはり2018年は響きましたか・・・
アマテラス:
響きましたねw
――プロリーグの団体戦を長期間のシーズンにわたって行っていくと、練習などでチームメイトと過ごす時間は非常に長くなります。また、対戦相手とも試合会場などで何度も顔を合わせるため、敵でありつつ好敵手のような存在になっていったのではないかと思います。
一番印象に残っているプレイヤーをチームメイトから1人、対戦相手から1人挙げるとすればどの選手ですか?
アマテラス:
チームメイトではユイヒイロ選手です。
彼はマイペースで不思議な人で部屋やエレベーターの中などでよく奇声を発していました。ですがクラロワでは研究熱心でとことん立ち回りを極めることを重視していました。
――よく奇声、ですか笑。(そう言えばKK選手も似た事を仰ってました)
2018年のGameWithは、2v2ペアを2組(アマテラス・ユイヒイロ組、shun・KK組)使い分けられるのが強みのチームでした。アマテラス選手とユイヒイロ選手はプレイ面の息はぴったりなのに、勝利パフォーマンスだけは最後まで合わなかったところがこれまた微笑ましかったです。
――対戦相手からはいかがでしょう?
アマテラス:
対戦相手ではX-Bow Master選手です。
2017年の世界大会に出ているプレイヤーなのでクラロワリーグ初期の頃から注目していました。クラロワリーグの日程が進むにつれ他のチームの選手との交流も増えていき、彼を含めたKING-ZONEの選手とホテルで同じ部屋に集まって練習したこともありました。
――そんな交流が。ホテルは全チームおなじところだったのですか?
アマテラス:
ホテルはどうだったかあまり覚えてないです…。
ホテルで部屋に集まったのはクラロワリーグ中ではなく、香港に行った時(ACGHK2018)だったかもです。
――アマテラス選手と言えば、いつでも誰とでも「ヨーソロー!」と笑顔でコミュニケーションを取れてしまうムードメーカーな印象がありました。海外選手とも「ヨーソロー!」ポーズで記念写真を撮られてましたよね。写真も交流もファン的に最高でした。
アマテラス:
ヨーソロー(*> ᴗ •*)ゞ
――ヨーソロー!
――アマテラス選手は、1年間2シーズンをGameWithでプロ選手活動されました。選手だけでなく、監督・コーチや他部門の選手、社員さんをひっくるめた「GameWith」というプロチームは、あなたにとってどういう場所でしたか?
アマテラス:
とても居心地の良い場所でした。
関わってくださった皆さんに感謝しています。
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2.私のCRLベストゲーム
――アマテラス選手が出場したCRLの試合の中から、一番印象に残っている”ベストゲーム”を選ぶなら、いつのどの試合になりますか?
アマテラス:
2018年シーズン1序盤のX-Bow Master選手との試合です。
負けた試合でもよければ、2018年のシーズン1プレイオフ決勝のフチさんとの試合も捨てがたいです。
――X-Bow Master選手との試合について伺っていきましょう。2018年5月13日、CRL Asia 2018 Season1 Week3のKING-ZONE戦の最終セットですね。
アマテラス:
はい。
――あの試合を”ベストゲーム”に選んだ理由をおしえてください。
アマテラス:
クラロワリーグで自身初めての海外プレイヤーとの対戦でしたし、相手も事前に注目しているプレイヤーだったのでとても気持ちが入りました。
――あの試合に臨むにあたってプロとしてどんな準備をされたのか、くわしくおしえてください。
アマテラス:
何を考えていたかはあまり覚えていませんが、3戦目でX-Bow Master選手が確実に出てくると予想していて対策を練っていたと記憶しています。
――あのシーズンは、最終セット(Set3)の直前に「選手選考タイム」がありました。試合前に提出するのはSet1・Set2の出場選手だけで、Set3の選手はその場で決める形だったと思います。アマテラス選手があの試合のSet3に行くことは事前に決まっていたのでしょうか?
アマテラス:
事前に決めていました。
――X-Bow Master選手に対しての巨大クロスボウBANは鉄板だったと思いますが、相手にエリポンをBANされるのは想定内でしたか?
アマテラス:
BANはどういう想定だったかあまり覚えてませんが、多分想定内だったと思います。
――試合本番のことをくわしく教えてください。試合中はどんなことを考えていましたか? 勝敗を分けた要因は何だったのでしょうか?
アマテラス:
1戦目2戦目と結構ミスを連発してたと記憶してます。
特に2戦目は有利に試合を運んでいたのに途中の三銃士のセパレートミスから一気に持っていかれたので、メンタル的にはとてもキツかったです。
アマテラス:
しかし、3戦目は完璧にデッキを読まれた不利な状況下で相手のミスを見逃さず1発で決め切れたので、とても感情が高ぶりました。
――Game3はゴーレムのミラー対決になりましたが、相手のデッキにはインドラが入っていて不利な形勢。しかし、橋前ゴレ展開からの攻めトルネがクリティカルに刺さって勝負ありとなりました。重量級使いとして会心の試合運びでしたね。
アマテラス:
なんとか決め切れて良かったです。
――試合に勝った時の気持ちを覚えていますか?
アマテラス:
思わずガッツポーズを連発してしまうくらいに、とても嬉しかったです。
――”ベストゲーム”候補に挙がった、フチ選手との試合についても少しだけお伺いします。
2018年7月15日、CRL Asia 2018 Season1 Playoff FinalsのPONOS戦。クラロワリーグアジア最初のシーズンの優勝決定戦であり、BO5の0-2とGameWith的には後のない状況であり、フチ選手との対戦は2017年の日本一決定戦の決勝戦の再現でもあり、ファン的には盛り上がりどころの多いセットでした。
「負けた試合ながら捨てがたい」とのことですが、どういったところが印象に残っているのでしょうか?
アマテラス:
ここ1番でフチさんと当たるのは縁のようなものを感じました。
試合も引き分けを挟んで4戦目までもつれこむ熱い戦いでしたので、印象に残ってます。
――ファンとしても120%同意します!
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3.プロ選手経験から得たもの
――「eスポーツ」という言葉が新語・流行語大賞のトップ10に入ったのは2018年のことで、男子中学生のなりたい職業2位が「プロeスポーツプレイヤー」になったのは2019年のことです。CRLはクラロワにとって初のプロリーグでしたが、そもそも日本ではプロゲーマーという存在自体が黎明期で今も発展途上のあたらしい職業です。
そんな「プロゲーマー・eスポーツ選手」を実際に経験してみて、なる前の予想通りだったことと、予想と違っていたことを挙げるとすれば、どんなことでしょうか?
アマテラス:
プロになる前はゲームは趣味という感じで、それを仕事に出来るとは考えたことも無かったのでとても新鮮な感じでした。
プレイを見たいというファンの方々が大勢いてくださったのもとても新鮮でありがたかったです。
あとは予想通り楽しかったです。
――2017年の日本一決定戦の際のインタビューか何かで「将来の夢は安定した職業です」とおっしゃっていたのが記憶に強く残っていて、前年の日本準優勝ながらアマテラス選手のプロ入りはないのだろうなと予想していたんです。でも、2018年のリーグ発足時にお名前があったのでびっくりしました。
プロをやってみようと決めるまでに何か心境の変化があったりしたのでしょうか?
アマテラス:
学生をやりながらなら将来にはあまり響かないし、良い経験にもなると思いました。
将来のこととは別に「やりたい」という気持ちが強かったのもあります。
――プロとしての活動には、公式戦や試合に向けた練習はもちろん、写真撮影や取材対応に、チームの動画撮影やイベント参加なども含まれ、多岐にわたり忙しかったことと思います。
プロ選手としてのありとあらゆる活動の中で、「今、自分はプロゲーマーをやっている!」ともっとも実感できたのはどんなときでしたか?
アマテラス:
やっぱり試合中が1番実感できました。
――プロとアマチュアの大きな違いの1つは、注目度の大きさとファンの存在だと思います。アマテラス選手にとってファンとはどういう存在でしたか?
アマテラス:
ファンがいないとプロは成り立たないですし、応援してくださることに感謝すると同時に「期待を裏切れない」という義務感もありました。
応援のメッセージをいただいたりすると、とても嬉しかったです。
――プロとして活動していくということは常に結果を突き付けられることでもあるので、緊張感や重圧は大きいでしょうし、結果のよしあしによって周りの評価が180度かわるようなアップダウンも激しかったことと思います。
難しい状況や苦しい時に心がけていたことや、何が支えになって乗り越えることができたのか、おしえてください。
アマテラス:
緊張には弱い方なのでしっかりメンタルを保てた自信はないです。
それでも応援してくださるファンの方々やチームメイトの期待に応える為、チームの勝利だけを考えてやってこれました。
――最後の質問です。「プロゲーマー・eスポーツ選手」としての冒険で持ち帰ることができた”宝”や、この経験から得られたものがあるとすれば、アマテラス選手の場合、それは何でしょうか?
アマテラス:
プロゲーマーとして経験したこと全てが宝だと思います。
誰でも経験出来ることではないですし、これからの人生においても自分だけの宝になると思います。
――読者の方にメッセージをお願いします。
アマテラス:
最近はクラクラ(クラッシュ・オブ・クラン)をやっていて、こちらでもトッププレイヤーを目指しています。
ポンコツのぼんクラ(※1)や、JWC13(※2)に出場しているので応援よろしくお願いします。
▽※1「ポンコツのぼんクラ」
(プレイヤー名「Yosoro Master」でレギュラー参加中)
▽※2「JWC13」
(クラン「ネコふんじゃった」の一員として参加中)
アマテラス:
あと、ぼんさんのクリエイターコードの行方に注目です。
――それは確かに注目です笑。本日はありがとうございました! ■
【取材日:2021年2月16日。DMでのやりとりをインタビュー形式に編集】
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Information
アマテラス(Amaterasu、Yosoro Master)
・CRL: GameWith(2018)
・Clan: HAYUIKOTO
・Best Trophies: 7405
・Best Season: 1049th (2019/02)
・Titles: 「クラロワ日本一決定戦2017」準優勝,「クラロワ世界一決定戦2017」ベスト16, 「CRL Asia 2018 Season1」準優勝
・SNS: Twitter
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