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【WSJ有料記事】米インフレ鈍化へ、でもFRBが安心できない訳

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米インフレ鈍化 へ、でもFRBが 安心できない訳
米インフレ率が2カ月連続で8%を 突破したことは耳の痛いが、向こ う1年のある時点でおよそ半分にな る可能性が極めて高いとみられる ことは朗報だろう。
By Greg Ip
Read this article in ――筆者のグレ ッグ・イップはWSJ経済担当チー フコメンテーター*** 4月の米 インフレ率が2カ月連続で8%を突 破したことは耳の痛いニュース だ。ただ、インフレ率が向こう1年のある時点でおよそ半分になる可 能性が極めて高いとみられること は朗報だろう。これはそれほど大 胆な予測ではない。消費者物価指 数(CPI)の各項目、物価連動国債 (TIPS)利回り、賃金動向を個別 に検証していくと、いずれもイン フレ率が約4%前後で落ち着きそう なことを示している。 もっと重 要な問題は、その後にどうなるの かということだ。米連邦準備制度 理事会(FRB)も含め、FRBが目 指す2%の水準に向かって自然に鈍 化し続けるというのが多くが望む 展開だろう。しかしながら、イン フレ率が4%前後にとどまったり、 むしろじりじり上昇に転じたりす ると考えるべき十分な理由も存在 する。これはFRBにとって許容で きない展開であり、金融市場が現 在想定している以上の金利引き上 げに扉を開き、さらなる相場急落 や景気減速を招きかねない。 イ ンフレに影響を与える要因は遅々 としたペースで進む傾向があり、 2021年初頭以降に物価が未曽有と も言える跳ね上がりを見せている ことは、何か特異な現象が起きて いることを示唆している。実際、 ここ1年ほどインフレが急ピッチで 高進したのは、1940年代終盤以降2 回しかない。しかもその両方と も、現在のように過熱気味の経済 が供給ショックに見舞われたタイ ミングで起きている。 米経済が すでに活況に沸いていた1951年、当 時のトルーマン政権は、朝鮮戦争への兵力動員で「男手と原料、工 場を奪う」ことは、物価高をあお る要因になると警告した。JPモル ガンのエコノミスト、マイケル・ フェロリ氏は、個々のセクター間 で雇用の伸びがどの程度異なるか に基づき、経済混乱の影響を測る 指数を開発した。それによると、 朝鮮戦争と新型コロナウイルス禍 の双方で、混乱の度合いが異常に 高かったことが分かった。朝鮮戦 争との比較は安心感を与える。な ぜなら、FRBが金融引き締めを実 施したものの、リセッション(景 気後退)には陥らなかったから だ。しかも、インフレ率は1950年 半ばの2%から翌年4月に9.6%まで 跳ね上がった後、1952年12月には 1%を割り込んだ。 アラブ諸国が 原油輸出を禁止した1973年も、経 済はすでに食品価格の高騰と旺盛 な需要への対応を迫られていた。 現在との比較という観点からいう と、この事例は1951年よりも気掛か りだ。インフレ率は1974年に12.3% でピークに到達。FRBは急激な利 上げを断行し、深刻な景気後退に 陥った。にもかかわらず、インフレ 率は1976年に5%に戻っただけで、 その後は再び加速した。 では、 今回はどうなるのだろうか? 4月 のCPIは前年同月比では3月の8.5% 上昇から8.3%上昇に鈍化したもの の、航空券(燃料費高騰も一因) や新車の価格が大きく値上がりし たことで、前月比の上昇率はなお 高止まりしており、アナリストはこの点を警戒している。

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