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第93回 天 -タイミング-

「孫子」では、勝利するためには5つの条件を確認するよう説いています。
それが、「道」、「天」、「地」、「将」、「法」です。
今回は、その中で「天」、つまりタイミングです。
目的の次、環境の前に大事なのが、タイミングと言うことです。

実は、「孟子」が出典とされる言葉に「天の時 地の利 人の和」というものがあります。
この言葉は、戦国武将の上杉謙信が「天地人」と言って有名になりました。
武田信玄の「風林火山」に敵対心を燃やした結果なのかどうかは分かりませんが・・・・。

この「天の時 地の利 人の和」は、「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」ということで、「天の時よりも地の利、地の利よりも人の和の方が大事だ」という意味です。
つまり「孟子」では、「道」→「地」→「天」になっており、「孫子」の「道」→「天」→「地」とは入れ替わっています。
これは、同じ「risk management」でも、具体的に対象としたものの違いだと思われます。

「孟子」では、普段の生活の中での「risk management」的要素が強いのに比べて、「孫子」は明確に戦争です。
つまり、常時と非常時の違いで、常時ではタイミングという要素に対する意識は多少低くても大丈夫だと言うことです。
ただ、どちらも、「道」、「天」、「地」を重要視していることに間違いないことは確かです。

さて、話を戻します。
「天とは、陰陽、寒暑、時制なり。」と説明されています。
陰陽とは、影日向ではなく、陰陽道のことであり、天地を司る天然自然の理のことです。
寒暑とは、四季の変化や寒暖差のことです。
時制とは、過去、現在、未来のことで、時間であり、それこそタイミングのことです。
つまり、いくら各種条件が整っていても、タイミングが外れていては成功しないということです。

投資でも、タイミングは非常に重要な条件になっています。
特に、投資期間が短くなればなるほど、重要な要素となってきます。
なぜなら、株価は、投資家の需給によって決まるからです。

前にも書きましたが、1日の中でも株価が高い時、低い時が存在します。
寄り付き後、上下どちらかに移動し、約30分後を目途に反転するというヤツです。

また、週の中でも、高い曜日、低い曜日があります。
月曜日は、週の初めで買いが強く入りそうですが、時差の関係で外国は日曜日なので、国内からの買いだけが入りやすいです。
火曜日は、外国では月曜日になるので、一番買いが入りやすい曜日になります。
水曜日は、週央ですが、思ったほど買いははいりませんが、それほど売られる訳ではありません。
木曜日は、売られ気味の曜日になります。
金曜日は、手仕舞い売りが出ますから、当然、売られやすい曜日になります。

更に月でも、高い週、低い週があります。
第1週目は、週初で買い気が強く、騰がりやすいです。
特に、新甫(1日)は、非常に強い日になることが多いです。
逆に第2週は、週末にSQが控えている為、売買が手控えられることが多いです。
特に、2週目の水、木曜日は、先物の残額によっては大きく荒れることもあります。
第3週目になると、安定して買われる傾向があります。
また、売られている時は、大底を形成しやすい時期でもあります。
第4週目も、安定して買われる傾向があります。
ただ、週末に近づくと、月末に近くなるため、買い意欲は減少傾向になります。
第5週目は、月末まで殆ど日数が無いため、手仕舞い売りが多く出て弱くなりやすいです。

そして、1年間の中でも、高い月、安い月があります。
1月は、月初は高いですが、中旬以降売られやすいです。
2月は、中旬まで下値模索の動きになりやすいですが、底打ちすれば大きく買われます。
3月は、月末にかけてじっくりと買われやすいです。
4月は、3月に引き続き買われやすいですが、中旬から売られ易くなります。
5月は、売られ易いですが、底打ちすればゆっくりと戻します。
6月は、余り方向感が無いことが多いです。
7月は、サマーラリーと言われ、ボーナス原資の買いが入りやすいです。
8月は、外国人は長期の夏季休暇を取ることが多いため、夏枯れ相場となり、じり安傾向になります。
9月は、余り方向感が無いことが多いです。
10月は、方向感が無いところに、徐々に売りが出やすくなります。
11月は、中旬まで下値模索の動きになりやすいですが、底打ちすれば大きく買われます。
12月は、クリスマスラリーと言われて、年始に向けて買われる傾向があります。

これらのことは、あくまでアノマリー程度のものです。
ですから、今みたいな強い相場環境では、逆の動きになることもしばしばあります。
それでも、全体的な傾向として知っておくくらいは良いと思います。

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