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第95回 法 - 投資法 -

世間には、様々な投資法が存在しています。
しかしながら、投資法を上手に活用することは、そう簡単に出来る事ではありません。
だからこそ、「孫子」は、「法」の前に、4つの条件を入れているのです。
なぜなら投資法そのものが、「risk management」の一形態だからです。

「risk management」は、大別すると、2つに分かれます。
「risk」そのものを除去するか、「risk」が現実になった後に素早く元に戻すかです。
災害で言えば、前者は災害予防、後者が災害復旧になります。
災害予防をし続けていれば、予算がいくらあっても足りません。
だから、発生確率が極端に低くて予算がかかるものは、予防ではなく、復旧対象とするのです。

これを投資で考えれば、銘柄選択は予防です。
その投資法に合致した上昇の仕方をする銘柄を選択できれば、下落という災害に遭うことは無くなります。
但し、上昇する銘柄を選び続けることが出来ないことは、地震や台風に遭わない人生を送り続けるようなのです。
誰でも、小さい台風ぐらいなら、何度も遭っているのと同じです。

そして、実際に投資法と言われるのは、復旧に相当するものです。
どんな銘柄でもそうですが、上昇し続ける銘柄には、投資法を考える必要はありません。
思うように上昇しないからこそ、投資法が必要になるのです。

それなら、銘柄選択の際にどうして投資法が必要になるのかということですが、それは復旧作業の際に、やり易くする為です。
例えば、何気なしに騰がると思って買った銘柄が、下落してしまいました。
さて、この時、あなたは、どんな対処法を取るでしょうか!?
端的に言えば、持ち続ける!?それとも損切りする!?

ITバブル時の4689ヤフーみたいな銘柄を持続すれば、目も当てられないでしょう。
逆に、2914JTのように高配当銘柄を直ぐに損切りすれば、何のために買ったのかということになるでしょう。
このように、銘柄選択の段階で、下落してしまった時の動きのことを考えるべきなのです。
だから、投資法に銘柄選択方法が付随してくるのです。

ところが、確立された投資法を手に入れても、その通りに売買できなかった宝の持ち腐れになってしまいます。
そうならない為にも、先ずは「目的」が重要になります。
どんな努力も厭わないから1年で大きく実績を上げたいと考えている時に、長期投資法を手に入れたところで全く役に立ちません。
同様に、投資に割く時間が無いので、時間をかけて成果を上げたいと考えている時に、相場に張り付くような短期投資法を手に入れても、全く使えません。

次に、「タイミング」が重要です。
投資法に適した「タイミング」から投資を始めると、利益を手にすることは難しくないです。
そうなれば、その利益が成功体験になり、利益が利益を呼ぶ、つまり好循環が起こります。
逆に「タイミング」が悪いと、苦労の割には利益が得られず、相場に対して疑心暗鬼になってしまって、悪循環に陥ってしまう可能性も出てきます。

更に、「環境」です。
いくら投資法が良くても、「タイミング」と同じく、「環境」も良く無ければ、利益を手にするのに苦労します。
苦労が続けば、ヤル気が無くなり、ついには無理な勝負に出たりしてしまいます。

そして、前回説明した「銘柄」です。
投資法に沿った「銘柄」を探し出すことが、成功の近道になるのです。

このように、投資法は重要ですが、その前に「道」、「天」、「地」、「将」の要素が重要になります。
自分の中で、この要素が不足していれば、いくら良い「投資法」を教えて貰っても、活用することはできません。
誰でも、こんなことは知っていると思いますが、真に理解している人が成功し、理解し切れていない人は成功できないのです。
「孫子」にも、「将は聞かざること莫きも、之を知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。」とありますからね。

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