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蕪木 夏芽
2022年5月27日 08:04
降り注いだ雨粒は、 道端の草花に纏う。 土壌を湿らせる。 アスファルトを跳ねる。 空気中の排気ガスやほこりを包含する。そうして巻き上げられた匂いが、何だか心地よく感じた。そう、雨はそんなに嫌いではなかった。傘を忘れて家を出たとして、雨に打たれながら帰路を急ぐのも悪くないと思っていた。その日は、うんざりするような梅雨