【詩】別離

不遇の子は覚え慣れなければならない
「裏切りではありません。ただ去り行く人です」

道を踏み誤った若人は覚え慣れなければならない
「不当な仕打ちではありません。ただ去り行く人です」

病んでしまった人は覚え慣れなければならない
「ただ去り行く人です。去り行く人です」

けれどまだ一つだけ
覚え損なっていたことに気づいた
その分からぬたった一つが
私をどこまでも弱らせ　荒れ狂わせ　病ませてしまった

闇の中にあってさえ
心優しく　麗しく　光り輝いていた恋人
去り行く時は何も言うな
捨てておきながらそれへの慈悲まで乞うのか
追い剥ぎと同じだ
君ほどに無慈悲な人間はいない

君の心も私と同じ闇に蝕まれ　踏み荒らされていたようだ
去れ毒蛇め！
私の側から！私の胸の内から！