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総合商社、(8031)三井物産の株価の見通しは? 割安株の探し方 vol.34

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 初めての方は、こちらの自己紹介記事をぜひご覧下さい。

 

 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。


 vol.32(2019年12月6日)の記事で、僕独自の基準で銘柄スクリーニングを行い、13業種35社を割安銘柄として抽出しました。

 そして、vol.33の記事では、13業種のうち卸売業(商社株)に絞って分析を行いました。

 今回の記事では、商社株のうち(8031)三井物産について、今の株価で買うべきか否か、詳細を見ていきたいと思います。




三井物産ってどんな会社なの?

 三井物産は、言わずと知れた5大総合商社の1社で、卸売業の時価総額ランキングでも3位につける超大企業です。

 ただ、総合商社という名の通り、多種多様な事業を展開しているので、具体的に何をやっている会社なのかはあまりイメージができないのではないでしょうか。

 ここではまず、セグメント情報から三井物産を紐解いていきたいと思います。


 三井物産の収益事業は、以下の7つのセグメントに分かれています。上から重要度が高い順に並べています。

※各%は、全社合計に占める割合

(1)金属資源事業 
売上比率:15.2% 利益比率:40.3%  
※海外において鉄鋼及び非鉄金属原料の資源開発。国内外において原料・製品の製造、販売及び売買

(2)エネルギー事業 
売上比率:10.2% 利益比率:23.1%  
※海外において石油・ガスの資源開発。国内外において石油・ガス、石炭及び関連製品の売買

(3)機械・インフラ事業 
売上比率:13.0% 利益比率:18.9%  
※国内外において機械・設備の製造・販売及び売買、リース、ファイナンス、発電など

(4)生活産業事業 
売上比率:30.6% 利益比率:10.2%  
※国内外において食料や消費財・生活資材の製造・販売及び売買、ヘルスケア関連、不動産関連、サービス関連事業など

(5)化学品事業 
売上比率:25.1% 利益比率:1.1%  
※国内外において化学品の製造・販売及び売買

(6)次世代・機能推進事業 
売上比率:2.3% 利益比率:4.0%  
※国内外において情報通信事業、物流関連事業、保険事業、金融関連事業及びメディア関連事業

(7)鉄鋼製品事業 
売上比率:3.6% 利益比率:2.4% 
国内外の鉄鋼製品の製造、販売及び売買

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 利益の40%を(1)金属資源が占めています。

 一方で、(1)金属資源の売上比率は全体の15%程度なので、金属だけの商社とも言えません。

 あえて三井物産を一言で表すなら、『金属資源及び石油・ガス・石炭に強い資源系総合商社』となるでしょう。




三井物産の規模ってどのくらい?

 それでは次に、三井物産の定量情報を見ていきましょう。

●時価総額:3兆4,296億円 ※2019年12月10日終値
●売上:6兆9,575億円 ※2019年3月期
●営業利益:2,597億円(営業利益率 3.7) ※同上
●当期純利益:4,142億円(最終利益率 6) ※同上
●連結従業員数:全社合計 43,993人 ※2019年3月末


 営業利益率がかなり低いですが、経済産業省が報告している卸売企業の営業利益率の平均は1.1%程度なので、平均に比べると3倍ほど高くなっています。 

 一方で、営業利益率よりも税引き後の最終利益率の方が高くなっていますが、これはおそらく、持分法による投資損益がダイレクトに利益に取り込まれているからと考えられます。




三井物産の業績と配当金の推移は?

 直近3年の実績及び今後の見込みは以下のようになっております。

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 一株利益・配当金ともに綺麗な右肩上がりと言えますね。

 非常に魅力的な推移です。

 

 以下は月足チャートになります。

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 堅調な業績を裏付けるように、株価もじわじわ上値を追っています。直近の高値は2,100円あたりなので、高値を更新する可能性もありそうです。


 

 ちなみに、2019年12月10日終値ベースで、三井物産の各種指標は以下のようになっています。

⚫︎PER:7.5倍 ※東証一部 同セクター平均   13.2(2019年11月末)
⚫︎PBR:0.8倍 ※東証一部 同セクター平均   0.9(同上)
⚫︎配当利回り:4.06%

 PER、PBRともにかなり低いですね。

 卸売業セクターの平均と比べても、割安水準になっていると言えます。


 では、なぜ三井物産の株価は割安のまま放置されているのでしょうか?

 次は、リスクについて見ていきます。




三井物産のリスクは?

 三井物産のリスクについて見ていきましょう。

 まず、前回の記事において、総合商社が割安になっている理由について以下のように挙げました。

(理由1)収益構造がわかりにくいから
(理由2)投資会社化しつつあり、利益の割に手元現金が少ないから
(理由3)資源価格等の外部要因で株価が動きやすいから

 三井物産において、これらの理由がどのように当てはまるのか見ていきたいと思います。


(割安な理由1)収益構造がわかりにくいから

 三井物産は前述の通り、(1)金属資源事業(2)エネルギー事業の2つのセグメントで全社利益の60%以上を占めています。

 ただ一方で、2つのセグメントの売上合計は、全社合計の25%にしか過ぎません。

 これは、各セグメントの利益率が異なることや、持分法による投資損益が含まれていることが要因なのですが、それ故に売上と利益の流れがイメージしにくい会社となっています。



(割安な理由2)投資会社化しつつあり、利益の割に手元現金が少ないから

 2020年3月期の第2四半期(9月末)の決算書によると、投資有価証券の合計が4兆7,775億円もあります。

 一方で現金預金は1兆1,530億円と投資額の1/4程度の額となっております。
 同時に借入金が4兆5,633億円もありますので、キャッシュを今後も継続して配当金に回せるのかという点は、多少懸念ではあります。



(割安な理由3)資源価格等の外部要因で株価が動きやすいから

 繰り返しになりますが、三井物産の主力セグメントは(1)金属資源事業と(2)エネルギー事業であり、つまり金属資源や石油・ガス・石炭の市場価格の影響を非常に受けます。

 三井物産は、鉄鉱石、原油の生産権益量は商社断トツと言われており、この価格変動リスクは大きいと考えます。




三井物産は今買うべきか否か?

 以上、三井物産について見てきました。

 総合商社特有のリスクはあれど、業績や配当の推移が堅調なので、個人的には投資対象となりうる銘柄だと考えます。

 ただ、資源の価格は諸外国の需要と供給に大きな影響を受けるので、注意する必要があります。



まとめ

 今回の記事では私独自の基準でスクリーニングをかけた銘柄のうち、総合商社の三井物産について見てきました。

 結論としては、リスクはあれど投資対象となりうる銘柄だと判断します。
 より詳細分析し、タイミングを見計らって買うのが良いでしょう。

 次回の記事では、同じく総合商社の1つ、(8053)住友商事について見ていきたいと思います。



 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください↓

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