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【C-001】営業からマーケティングに異動になったけど…

 20代~30代で、営業からマーケティング部門に異動になるという方、いらっしゃると思います。Bto Cのメーカーなどで‘あるある’な人事です。しかし、いざ新しい部署へ赴くとかなりの確率で戸惑います。
今までと環境もやることも変わるのですから、それは当たり前ですが…。

日本の会社は、新卒社員へは手厚く研修がありますが、社歴を重ねると、個々の異動の際に、いちいちそれに沿った研修などありません。マーケティングと書いた書籍を買い込んでみるものの、その内容を理解し、実務とシンクロしてくるのは、やはり仕事をしてからになります。

まぁ、多くの人が、異動先の先輩、上司から‘OJT’と称して、何となく仕事の流れを聞いて、部署の雰囲気に慣れていくのです。何となく慣れていくことで、不思議と戸惑いも消えて、何となく仕事をしている感じになります。そう、何となく…。

かくいう私は新卒で、とあるメーカーに就職し、すぐに営業に配属されました。4年間を地方の営業所で過ごし、本社のマーケティング部門へ異動後は、マーケティング業務を20数年担当しました。

実は大学は商学部で、ゼミは「マーケティング管理論」という内容でした。なので「大学での専攻は?」とか「大学で何を勉強していたの?」という質問には、「あっ、マーケティングっすね」とちょっと格好つけた感じでいました(苦笑)まぁ、勉強をした風になっている大学生が、小難しい本を数冊読んだところで、マーケティングなぞ理解も習得も出来るはずもありませんし、会社で即戦力として通用するはずもありません。

営業マンとマーケティング担当者の違い

Bto Cのメーカーにおける営業マンとマーケティング担当者の違い
をひとつだけ上げると、それは対象とする顧客の違いです。

Bto Cのメーカーですから、顧客は小売店で自社の商品を買ってくれる消費者です。ただ実際のところ、営業マンにとっての顧客は消費者の手前の小売店のバイヤーや卸会社の仕入れ担当者になっています。

ここが、営業マンとマーケティング担当者との違いです。ここが、戸惑う点なのです。ここを最初に話してくれないので戸惑うのです。モヤモヤしてしまうのです。

もちろんマーケティング担当者にとっても、小売のバイヤーや卸の仕入れ担当者は大事なお客さんではありますが、製品の企画をしたり、プロモーションの計画を立てる際に想定するのは、最終的な消費者になります。

バイヤーや仕入れ担当の意見ももちろん重要な意見ですが、最終的に判断する基準は、全て消費者におかなければなりません。この感覚が切り替えられないとマーケティング担当になるのは難しいです。

営業経験が長いほど、流通の意見を尊重しがちになりますが、マーケティング担当者は、もっと俯瞰した広い視点で考えなければなりません。

日本は、長い間「就職」ならぬ「就社」文化です。その企業に就職したら、ジョブローテーションという格好良い響きによって、様々な部署に配置替えされます。それに伴い転勤という悪習にもさらされます。家を買ったとたんに単身赴任、という洒落にならない状況も普通に存在します。これは「就社」ならではの慣習です。海外は文字通り「就職」です。マーケティングならマーケティング職を一生貫きます。まぁ、そうでなければスキルもくそもありません。

日本でも、働き方が大きく変わってきています。従来の「就社」がしっくりくるタイプの方は、これから厳しくなるのではないでしょうか。自分はこれが得意、これを活かして働いてくということがより重要になっていくことでしょう。

営業とマーケティング部門の架け橋に

社歴を重ねてマーケティング担当になったあなたは、戸惑いついでに、是非営業とマーケティング部門の架け橋になってください。営業マンの気持ちが分かるマーケティング担当者ということです。ベテラン営業マンからも「わかっているじゃないか…」と一目置かれるようになります。

マーケティング担当者をよく思っていない営業マンは多いです。
まぁ、そうでしょうね。常に上からプレゼンされて、「さぁ、売って来て下さい」と言わんばかりに見えてしまいますから。
プレゼンするのが入社2~3年の若手で、聞く側が、ベテランの営業マンだったりすると、一層わかりやすくなります。質問のあたりも強くなります(苦笑)そして「そうは言うけど、お前現場を分かってないねぇ」というボヤキに集約されることになります。

営業の得意先は色々あります。提案されたプロモーション内容と相性が良い得意先もあれば、よくない得意先もあります。‘よくない’得意先を担当する営業マンは、徹底的にボヤキます。

優秀な営業マンは、与えられた情報に自分でプラスし、アレンジして立ち回りますが、まぁ、世の中そうでない人の方が多いので、必然的にボヤキが多くなります。

こういう空気感を調和出来るのは、営業経験があるマーケティング担当者なのです。ボヤくおじさんも、そんなあなたにすがるように「お前なら分かると思うけどさぁ…」と前置きをつけて話してくるはずです。‘こっち側(営業側)の人間’としてみるので、ここは上手く味方につけるべきです。

マーケティングの仕事は、全体を俯瞰した内容になるので、地域や顧客の特性を全て反映することはもちろん難しいです。そこを補完するのが営業の仕事になります。マーケティングの効果が最大限になるように、営業マンとマーケッターは連携しなければなりません。

営業から見れば、現場を見ようとする姿勢がある担当者は好意を持たれます。営業と一緒に現場に足を運び、得意先の要望を取り入れるような動きが出来ればさらに良いでしょう。周りの意見をきちんと聞き入れ、営業マンとも密なコミュニケーションを取ることが出来れば、もう完璧です。

さらに相手の側に立って考えることが出来るようになると、人としても1ランク上がるのではないでしょうか。これは相手を思いやるということなので、仕事ではもちろん、それ以外の日常の様々な場面でもとても大事になります。
 営業からマーケティング部門への異動を希望されているならば、以下のことを自発的に勉強しておくと良いと思います。関連書籍等を参考にまずは知識を習得することをおススメします。

1.マーケティングの基礎知識の理解

いわゆる4P(Product, Price, Place, Promotion)やSTP(Segmentation, Targeting, Positioning)などの基本概念の理解は早めにしておきましょう。今どきは、デジタルマーケティングの基礎知識の習得(SEO、SEM、SNSマーケティング、メールマーケティングなど)も必須科目ですね。

2. データ分析の種類、方法の理解

ExcelやGoogle Sheetsを使った基本的なデータ分析、データを視覚化するためのツールの知識、その使用方法(Tableau、Google Data Studioなど)が分かっていると、メチャクチャプラスではないでしょうか。

3. 顧客理解について

顧客のニーズや行動を理解するための市場調査の手法(アンケート、インタビュー、観察など)についても知っておくと良いと思います。営業時代に自社の製品を販売している小売店は把握しておくべきです。全国チェーンもあれば、地方のチェーン店もあります。個人経営の小規模の小売店、ネットショップもあります。それぞれの商流(どこの卸を経由しているか等々)とセットで調べておきましょう。ペルソナの作成方法も関連書籍を読むことをおススメします。

4. コミュニケーションスキルの向上

効果的なプレゼンテーション資料の作成は重要です。何は無くともPowerPointでサクサク資料作成が出来る、それが苦にならない精神力が求められます。
もちろん社内での円滑なコミュニケーションも必要で、味方は多い方が良いです。

5. プロジェクト管理について

マーケティング計画や実行の管理はやはり大変です。こういったことが苦手な人の方が多いと思いますので覚悟が必要です。計画は長期的なものから、今月締め切り、みたいな短期のものまで様々にあります。

6. 最新のマーケティングトレンド

自社の属する業界の最新ニュースやトレンドは常にチェックしておきましょう。競合他社の情報も大事です。デジタルの世界は、常に新しいツールやテクノロジーが出てくるので、この辺もチェックしておいて損はありません。

7. 実践的な経験

社内の小さなプロジェクトやサイドビジネスで実際にマーケティングを実践する、体験する機会があれば是非参画することをおススメします。あなたのやる気アピールにもなります。本を読んで知識を蓄えることも重要ですが、身近な先輩、上司から経験談を聞くことも有効です。自社の話しであれば、理解もしやすいはずです。

 弊社代表は玩具メーカーに20年以上勤務し、マーケターとして様々な製品に関わりました。ロングセラー製品や全くの新規商材、プロモーションにおいて異業種とのタイアップ等々、様々な経験をしてきたので、これらの経験談で良ければ、いつでもお話しします。異業種とのタイアップは、そのまま人脈となっており、お付き合いが続いています。興味がある方は、弊社ホームページのお問い合わせフォームから、その旨ご連絡ください。ZOOMでお話します。

 営業からマーケティングへの異動は、理にかなった人事なので、そうなった方は、誇りを持って是非頑張ってください。

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