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【エッセイ】その場所はいつかみた夢

正夢をそこそこみる方だった。過去形だ。
正夢と言っても本当にささやかで、特定の会話をする場面や、初めて来た場所を夢で見た覚えがある程度だ。なぜ夢で見たのか不思議になるくらい瞬間的な正夢ばかりで、「これから大きな災害が訪れるわ……みんな逃げて!」と叫ぶような、漫画の予知夢みたいなのはみたことがない。

そんなささやかな正夢さえ大学を出てからはみる頻度が凄まじく減り、30を過ぎてからはほとんどみなくなった。もしかして前世で人間だったときは30までしか生きられなくて、これ以降どんな人生を歩むのか、魂レベルで予測不可能だから正夢をみなくなったのかなあ、なんて考えたりもしている。

しかし何度か夢で見た場所で、まだ訪れていない場所がある。そのうちのひとつは、ものすごくキレイとか映えるとか、そういう場所ではないのだが、もし実在するのならあそこへ行ってみたい。概して夢とは妙にリアルなものだが、あそこはその中でも実在感がある。そこを訪れる自分が、どんな状態の自分なのかも気になる。

もし遠い将来訪れる場所なら、まだこの世に存在していないのかもしれない。それも面白い。

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