【読書の秋2021】戦国ベンチャーズから、アイドルという組織を考えてみた
今、noteでは#読書の秋2021という企画を開催中です。
僕も最近読んだ本から1冊ピックアップしたいと思います。
今回紹介するのは、北野唯我さんの『戦国ベンチャーズ』です。
北野唯我さんといえば、『天才を殺す凡人』の著者でもあります。
『戦国』も、『天才』の理論を踏襲しつつ歴代の戦国武将の事例に触れてゆくなかで、
組織がイノベーションを起こすための人材配置
について述べた良書です。
僕にとって最も身近な組織とは何か?
そう、アイドルグループです。
そこで、アイドル界で起きた「ある事件」と絡めつつ、『戦国ベンチャーズ』の内容を紹介したいと思います。
はじめに
事件の発端は10月28日に発表された、アイドルグループ「転校少女*」からメンバー佐藤かれんさんの脱退でした。
そのあとすぐ11月2日には、なんと転校少女*自体の解散も発表されました。
別にグループとメンバーが揉めることは、アイドル業界では日常茶飯事です。
しかし気になるのは、発表の端々から感じ取れる異様な雰囲気です。
佐藤かれんさんの脱退は、契約違反による一方的な契約解除と発表されました。
佐藤さんのコメントは以下のとおりです。
佐藤さんも、
「重大な契約違反」は、私と運営サイドとの契約書の認識の違いによって起こったもの
と説明しています。
佐藤さんと運営側の会話を知る方法はありません。
しかし、もしかしたら組織と人材のミスマッチがあったのではないでしょうか?
そこで、このnoteでは『戦国ベンチャーズ』を参考に、
・アイドルはなぜグループになるのか
・アイドルに重視される強みとは
・組織に収まれない人材とは
・アイドルグループが変わり続けるには
について考えたいと思います。
アイドル「グループ」の存在意義
そもそもアイドルはかつてソロが主流でした。
松田聖子、中森明菜、西城秀樹、郷ひろみ・・・
昭和を彩ったアイドルたちはほとんどソロアイドルです。
それが今では地下も地上も関係なくグループアイドルが全盛です。
これはどうしてなのでしょうか?
『戦国ベンチャーズ』では、
組織特有の機能とは、強みを組織内で交換することで弱みを無効化すること
という説明があり、これはアイドルにおいてもそのまま当てはまります。
アイドルがソロで生きてゆくには、1人で沢山のスキル(歌、ダンス、トーク、MC)を身につける必要があります。
かつてのように、メディアがテレビのような一方向的なものであれば、養成所のようなところでスキルをじっくり育成することも可能でした。
しかし、現代ではそれは難しくなりつつあるように感じられます。
・双方向のメディアが主流で、ステージ外での露出が増えつつある
・世間のトレンドが目まぐるしく変化するようになった
こんな環境でアイドルを育成するには時間が圧倒的に足りません。それができるのは資金力のある一部の事務所のみです。
その結果、必然的にアイドルは組織化しました。
弱みを無くせないなら、他の人の強みで補えばいいのです。
平成・令和のアイドルは、グループありきなのです。
アイドルと「強み」
しかし、て現代にソロアイドルがいなくなったわけではありません。
例えば、寺嶋由芙さんは古き良き昭和のアイドルを現代に遺しています。
これ以外にもアイドルを見ていると、
「この子は乃木坂っぽいな」
「あの子は地下に行っても生きてゆけそう」
みたいなのを感じることはありませんか?
これはアイドルの「強み」を無意識に評価しているのです。
『戦国ベンチャーズ』では、事業には3つの強みが必要だとされています。
・創造性系:「意志」と「構想する力」
・再現性系:「戦略性」「規律性」「達成性」「最高性」「回復性」
・共感性系:「コミュニケーション性」「ポジティブ性」「アレンジ性」
織田信長・徳川家康・豊臣秀吉のそれぞれの武将が大活躍できた裏には、
・織田信長・・・創造性系の強み
・徳川家康・・・再現性系の強み
・豊臣秀吉・・・共感性系の強み
が隠れていたからだと言われています。
そして、組織は個々の才能を見抜き、さながらパズルのように強みを組み合わせる必要があるわけです。
アイドルグループならば、オーディションで原石の中から、グループに必要とされている人間を採用しなくてはなりません。
組織に収まらない人材とは
必要な人材がいるということは、残念ながら、地下アイドルという組織に収まらない人材も存在します
それは、「天才」です。
天才とは『天才を殺す凡人』で紹介されている、創造性系の強みをもつ人材です。
イノベーションを起こして状況を一変させる力を持つ、ゲームチェンジャー的存在です。
しかし、天才の思考は多くの「凡人」には理解されません。
このため天才は、既に完成された組織では調和を乱す存在となり、居場所を失うのです。
ここでやっと、冒頭の事件の話に戻ります(長かった。。。)
おそらくですが、佐藤かれんさんも「天才」に近い人材なのではないでしょうか?
・「佐藤かれんの私利私欲フェス」を開催
・ミスiD2022に立候補
これらの実績からも、彼女の行動力は際立っています。グループに少なからず影響をもたらしていると言えるでしょう。
しかし、転校少女は結成7年を経過した、もはや老舗とすら言えるグループです。
もしかしたら、運営側の秩序を乱しかねず、「余計なことするなよ」という一面があったのかも知れません。
アイドルグループが変わり続けるためには?
それでは、人材を生かしきって、アイドルグループがイノベーションを起こすためにはどうしたらいいのでしょうか?
それを『戦国ベンチャーズ』では「抜擢」であると言っています。
なぜなら、組織やシステムというのは平均点を上げるだけの存在だからです。
強みを見つけて伸ばすには、組織のトップが「天才」を引き抜いて前に立たせるしかありません。
これを大得意としているのが秋元康です。
彼は手がけたグループにおいて、幾度と無い大抜擢を行ってきました。
・前田敦子
・松井珠理奈
・生駒里奈
・遠藤さくら
・平手友梨奈
これでも、ほんの一例に過ぎません。
抜擢への嫉妬が、組織を成長させる事になるのです。
もちろん抜擢には痛みを伴います。時には短期的な利益を捨てなければいけないし、程度の資金力のあるグループでないと難しいかも知れません。
しかし、未来の価値に投資できない組織には、果たして生き残ってゆけるのでしょうか?
おわりに
まとめます。
歴史の授業、もっと真面目に受けとけばよかった。
以上です。
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