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僕の世界観を広げてくれたブランド 「ARIAKE」 -3-

今回は、ARIAKEブランドが、僕の世界観を変えてくれた3つのことの2つ目「デザインとブランディング」について書きたいと思います。

前回の記事は、こちら。


固定観念という悪。

ARIAKEメンバーとのワークショップを通じて一番感じたことです。

いかに僕らが、狭い世界で生きているかということに気付かされました。


今までの僕らは、なんとなく業界内の流れに沿って、商品の形や、大きさ、パーツ構成、塗装など、すべてにおいて、固定観念にとらわれ、その範囲内で商品開発を行ってきました。

当然、業界としても非常に長い歴史があるので、試行錯誤した結果、ある程度のところで、落とし所を見つけているのだとは思います。

この材料と、この金具を組み合わせて、こういう構造で作れば、ある程度この価格に収まる。そこから先の付加価値は、どれだけ製作に手間がかかったか。

デザインも見た目ありきで、なんとなくかっこよく、シュッとしたものを他社が取り組んでない、新しい材料でつくろう!

といった感じです。

商品を紹介するときも、機能面を一通り説明して、ここに製作の手間がかかっているから価格が高いんですよ。というやり方です。正直、なんの魅力もありませんよね。

これでは、価格競争に巻き込まれてしまうのも無理ありません。

そんな業界の定型的な商品開発に、なんとなく違和感を感じていました。


ブランディングに必要な、ストーリーテリング。

そんな中、ARIAKEチームが佐賀にやってきました。彼らは一週間という短い期間の中で、最初の2日をメンバー全員での佐賀巡りに費やしました。

正直僕は、1週間しかないのにこの人達はなにをやっているんだ?これで本当にだいじょうぶなんだろうか。と思ってましたが、彼らは最初の2日間を使って、佐賀の風景や自然を感じ、人々と交流するなど、目一杯佐賀を体感してから、ブランドの立ち上げ、デザインに取り掛かったのです。

すると彼らは、とんでもないことを言い出します。

有明海の干潟の色が美しいから、あの色を表現するために、墨汁を家具の塗装に使用してみよう。とか、藍色は日本の伝統的な色だし、有明海の朝焼けの色にも似ているから、家具を藍で染めてみよう。といったように、僕らの常識を次々とぶち壊していきます。

できるできないは別にして、まずは、「家具」というプロダクトで何を表現したいのか。からスタートしているように思えました。

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また、プロダクトデザインでは、佐賀で開催される熱気球の世界大会、「SAGAインターナショナルバルーンフェスタ」より、バルーンから垂れ下がっているはしごをモチーフに、シェルフがデザインされたり、日本の旅館の障子のフォルムと構造からインスピレーションを得て、キャビネットがデザインされたりと、すべてのプロダクトにおいて、こうしたストーリーがあります。


さらにARIAKEは文字フォントもオリジナルです。佐賀の人、工場の職人との交流で、スイス人のグラフィックデザイナーは、控えめだけど、どこかかわいらしい。というような印象を受けたそうで、このロゴとフォントが生まれました。

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ブランド名も、その名の通り「有明海」から来ています。ARIAKEとは、日本語で夜明けを意味し、佐賀県のわずか人口1万2千人の町、諸富町から世界へ羽ばたくブランドになるようにとの意味も込められています。


サラッと書きましたが、これを5日間で進めていくのには、かなりのボリュームです。僕らも、なんとかデザイナーのデザインを忠実に再現させようと、とにかく必死にプロトタイプ製作に取り組みました。


そうこうしているうちに、あっという間に、異次元のスピードで「ARIAKE」というブランドが立ち上がってしまいました。


その後も、日本での活動というよりは、海外での活動に重きを置いてきました。シンガポールで2回、ストックホルムで3回の展覧会を実施。これもブランディングの一環として取り組んで来ました。

ブランド立ち上げから5年目を迎えた今では、インスタグラムのフォロワーは、2万人を超えています。



こうして、僕らの常識を次々に壊しながら立ち上がっていった「ARIAKE」

しかし、これがきっかけで、ブランディングというものに興味を持ち、現在も勉強中です。


デザインとブランディング。

これまでの経験と学んだことを踏まえて、デザインをする上で大切な考え方、定義とは

今あるものを破壊し、新しいものを定義すること

これは、プロダクトデザインでも、ワークデザイン(働き方)でも、ライフデザイン(暮らし方)でも、すべてのことに共通することです。

既存の常識に "WHY" という疑問を持ち、それを壊して、新しいものをつくりだす。それがデザインだと思います。


そしてブランディングとは、

その商品やサービス以外の価値を伝えること。体験していただくこと。


そのために、ブランドのストーリーを伝えたり、体験していただいたり、商品そのものを気に入っていただくことはもちろんですが、そのブランドの世界観、取り組みに共感していただくことが大切です。

「ブランド」とは、お客様のものです。それを育てていくが「ブランディング」です。

ブランドエクスキューションと言われる、お客様がこのブランドから受ける印象、体験を一貫していかなければなりません。

ロゴや、カラー、印刷物、ブランドの取り組みや、デザイン。どこで買えるかや、ショップでの接客態度、言葉使いも含まれるでしょう。

一流と言われるブランドは、上記のようなことを、一つ一つ、細かい部分までこだわり、高いクオリティで実行しています。


モノや情報で溢れているこの時代に、どうすればお客様に、僕らの作る商品を、想いを届けることができるのか。

その答えがブランディングにあるような気がしています。


彼らとの出会いをきっかけに、学び始めた「ブランディング」

まだまだ道半ばですが、今後も彼らと一緒に成長していけたらと思います。


次回は、僕の世界観を広げてくれた3つのことの3つ目、「成長する環境」について書きたいと思います。

読んでいただけますと幸いです。


ARIAKE COLLECTION


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