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最期を支える人々  −母余命2ヶ月の日々−

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#家族

その日々 「今日はどうだった」

 嵐のような毎日だった。例えて言うなら、複雑に絡み合い締め付け合った糸の塊を解きほぐすようだった。時間が迫ってもハサミで切り刻むことは許されなかった。緊張のなか、頼り甲斐のある笑顔の娘でなければならなかった。

 忙しさのあまり、受験を控えた二人の子供達に手も目もかけられないことが心苦しかった。

 そんな苦しい毎日を支えてくれたのは夫だった。家事や子供の世話をしてくれたのはもちろんのこと、何より

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