その日々 「今日はどうだった」

 嵐のような毎日だった。例えて言うなら、複雑に絡み合い締め付け合った糸の塊を解きほぐすようだった。時間が迫ってもハサミで切り刻むことは許されなかった。緊張のなか、頼り甲斐のある笑顔の娘でなければならなかった。

 忙しさのあまり、受験を控えた二人の子供達に手も目もかけられないことが心苦しかった。

 そんな苦しい毎日を支えてくれたのは夫だった。家事や子供の世話をしてくれたのはもちろんのこと、何より私の心に寄り添ってくれた。 

 帰宅するといつも、夫の書斎のソファに寝転んだ。しばらくすると彼が「今日はどうだった」と聞いてくる。私は、「こんなことがあって」とか「あれをしなくちゃいけなくて」と相談したり、「もう疲れちゃったよ」と泣いたりした。夫は黙って話を聞いて、私の言い分を全て肯定してくれて、背中をさすってくれた。

 そうして私は、その日眠りにつけるだけの安らぎを取り戻した。夫がいなければ、あの日々を乗り越えることなど、できなかっただろう。