武器を楽器に-セルビアの芸術家-
セルビアのアーティスト
昔から争いの絶えないセルビアという国で、武器から楽器を作り、演奏をしているアーティストがいる。
そもそもセルビアという国について知っている方はどれくらいいるだろう。
バルカン半島に属する旧ユーゴの1国である。第一次世界大戦のきかっけとなった国であることが示しているように、昔から争いが絶えず、多くの民族が混在している。
そんなセルビアで、スクラップヤードの使われなくなったライフルやヘルメット、ミサイルなど集め、楽器に作り替えているのが、芸術家のニコラ・マツラさんだ。マツラさんは、セルビア北部ノビサドの芸術学校で助教を務めるかたわら、この活動を進めている。
これまでに完成させた楽器には、バズーカ砲と燃料タンクを使ったチェロ、ライフル「ザスタバM70」と兵士のヘルメットを使ったギター、アサルトライフルの弾倉と救急キットを組み立てたバイオリンなどがあるという。
マツラさんの今後の目標は、元兵士らも奏者として参加するオーケストラの編成と、そのオーケストラで地域を回り演奏することだという。
紛争と芸術
紛争や戦争が起こっている国々では、生きるか死ぬかの瞬間が身近に迫り、人々の生活そのものが脅かされている。
そんな中で音楽や芸術に触れる余裕などほとんどないだろう。
しかし、それが落ち着きを取り戻した時、ふと素敵な音楽が聴こえたら、心に少しでも潤いや余裕が生まれるのではないか。
そしてそれが、「武器ではなく楽器を」と多くの人が感じることができたら、争いというものが減るのではないか。
芸術で世界を平和に
そんな理想を抱いていても、実際の問題はそんな簡単なものではなく、政治や経済、人種問題、様々なものが複雑に絡み合い、いまも世界では争いがなくならない。
それでも、ニコラ・マツラさんのように、武器から作られた楽器で音楽を奏でるという素敵な活動をしている方の存在が知られれば、それだけで、人々の考えが少しだけ平和に近づくのではないだろうか。
わたしはそれを信じている。
だからこそ、音楽・芸術・アートに興味がない人にも、少しでも触れてもらう機会を作り、少しでも多くの人生に潤いを与えたい。そしてそれが、"平和"につながれば、争いの絶えない今の世界に、違った彩りが加えられるのではないか。
これが、わたしが生涯かけて成し遂げたい"夢"である。
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