バツイチ女がマッチングアプリで2000いいねを獲得するまでの話.15〜ウクレレ編５ じゃあ歌いますか！〜

パチン！
わたしの赤い実がはじけた音だ。
（あの作品はもっとピュアなんだが、重ねていいものかどうかはさておき…）
「あ…マコトさん、暑いですか？すごく手あったかいですね」
「あ、いえいやその、ちょっと暑いですね、ハハハ！！！」
何度も言うが、ウクレレは窪田くんを30回殴った顔なので、別にイケメンというわけではない。
でも、長身×きれいな指という組み合わせにちょっとクラッと来てしまっていた。
初対面の殿方にやらしい妄想を悟られてはならぬので、雑念をかき消し、ウクレレの練習に励む。
中島みゆきの「糸」が練習曲だった。

「なーぜー、いきーてーいーるーのーかをー」
カラオケが趣味なだけあって歌が上手い。
歌うまはポイント高いなー。
珍しくここで加点して持ち点50へ。
「うん、そうそう！マコトさん上手ですね！ウフフッ！」
ところが、ウクレレ自身も別に教えるプロではないのでお互いに1時間くらいですっかり疲れてしまった。
と言うかわたしの邪念が舞い戻ってきてしまった。

「じゃあ歌いますか！ウフフッ」
待ってましたとばかりに我先にとマイクとデンモクを手に取るウクレレ。
十八番が決まっているのか、ものの10秒ほどで曲を転送し、ウクレレはすっくと立ち上がった。
どうやらウクレレはわたしの邪念には気づいていないようだ。
ほっと胸を撫で下ろすと、モニターにはウクレレが選んだ曲の映像が映し出されていた。

「さくらんぼ　大塚愛」

思わず画面を二度見した。