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三月に読んだ本まとめ

はじめに

まくらことば

外を歩けば春爛漫、風に誘われ桜の花弁が散るなり、という感じで、非常に良いお天気・良い景色の日々が続いている。ところが私は生憎花粉症であり、桜を愛でたくとも鼻や喉、目や肌にいたるまで全てがかゆく、正直早く初夏になってくれんかなという感じがする。ちなみに私が一番嫌いな季節は夏だ。最悪。

エクスキューズ

よくSNSに、「『~~~』読了。云々かんぬん……」といった、本の写真やURLを付記した投稿がある。本を読んだことなど、まあまあしっかりした感想文を書くわけでもないのなら、別にSNSに載せる意味もなく、ただの自己顕示欲のあらわれだろう、と私は思っていた。つまり、そういう投稿が私は嫌いだった。

ところが本格的に本を読み始めると、そういう気持ちがよく分かった。もちろん、記録や、あるいはシンプルに共有したくてやっている人もいるだろうとは思う。私が言いたいのは、「本を読むのは案外大変だった」という事だ。

3月、私は基本的にずっと時間をフルに使えた。院に進学する前の、つかの間のお休み期間だった。そこで私は読書にこの3月をささげた。そして読んだ冊数は8である。フルに時間を使えて8。いや~~~~~もうね、自分が恥ずかしい、ホントに、、、

というわけで私の記録・そしてちょっとの自己顕示欲(というより自分への慰め)を込めての、この1か月に読んだ本を如何にちらっと載せる。

キーワード:社会学,社会構成主義,ナラティブ,自殺予防,動的平衡,ありふれた心理療法,ポスト構造主義

3月の読書履歴

『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』上間陽子

  • 文章、行間から上間さんの怒りというものが、彼女特有の文学的表現(ex:「暴力が少女たちに降り注ぐ」)からふつふつと伝わる。沖縄の(夜の街に生きる)少女たちの置かれた状況に、読み始めると非常にショックを受けるが、同じようなエピソードの記述に終始するので、中盤からは良くも悪くも慣れてしまう。もう少しacademicな本、主義主張の深化がなされているかと思ったので、その点は読んだ私が悪かったように思う。

本とは関係なくなるが、上間さんのインタビュー記事で、「インタビューはテクニカルなもの」という言葉があり、印象的だった。

『現代思想入門』千葉雅也

  • とても分かりやすい、これ以上分かりやすくしようがないのではというくらいに易しいポスト構造主義の入門書。後半の、リアルタイム的フランス思想の話は正直全く分からなかった。おすすめの入門書一覧が書いてあるのがうれしかった。

『ナラティブ・セラピー・ワークショップ BookⅠ:基礎知識と背景概念を知る』国重浩一

  • 著者の国重さんが実際に開いたワークショップの書籍版らしく、ナラティブ・セラピーの入門書。確かにわかりやすく、理論面だけでなく、おそらく臨床家の人にとっても助けになるだろうテクニック・クライエントへの態度的なことも書いてある。国重さん自身のものの考え方がゴリっと出る時がたまにあり、それが私には少し合わなかった。

『自殺の対人関係理論 予防・治療の実践マニュアル』Thomas E Joiner

  • 自殺予防において大切な概念であるらしい本。太刀川さんの自殺の経路モデル? を少し思い出した。いろいろと興味深かったのだが、何故自殺に自己決定理論を用いたのか? というところに関する記述はなかった(と思う)ので、それが知りたかった。

『ソーシャル・コンストラクショニズム ディスコース 主体性 身体性』ヴィヴィアン・バー

  • 社会構成主義の入門書。理論的な話のウェイトが重く、難解というよりは複雑。でも読んでいて面白かった。難しかったけど。訳文がきれいでありがたかった。この8冊の中で一番好きだったかもしれない。めっちゃ難しかったけど。

『新版 動的平衡』福岡伸一

  • academicというよりはエッセー。生命とは何なのか? ノックアウトマウスの事例より導き出される論考には、人文の畑の片隅で座る私には驚かされることばかりだった。分解と再生、というよりも、分解と均衡? というのか、、、 すごく面白い。あと福岡ハカセの文章が上手過ぎてそっちのほうにも衝撃を受けた。

『日本のありふれた心理療法 ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』東畑開人

  • 東畑さんのバックグラウンド、あるいは臨床心理に対する考え方が私とかぶる部分がかなりあり、親近感というよりは気恥ずかしさを覚えた。自分のケースに関する論文で占められており、それならそれで、もう少し系譜的な視点が欲しかったかなという気はする。ボーダーやシャーマニズムが渦巻く事例は個人的にインパクト大だった。後半のエッセーパートは東畑さんの筆が嬉しそうに飛び跳ねていた。

『デリダ 脱構築と正義』高橋哲哉

  • ジャック・デリダの思想の中でも正義に関する部分に力点を置いた入門書。入門書ですら難解で、読むのに1週間以上かかった気がする。正直5%も理解できていないので、また別のデリダ本を読もうと思う。前半のデリダの生い立ちに関しては、私はなぜかモロッコが妙に好きという事もあり、かなりスルスル入ってきたし、面白かった。

まとめ

下旬、ドゥルーズのとある入門書を読んでいたのだが、月末に祖父の不幸があり、帰省だなんだと読む時間が全く取れず、タイムアップとなってしまった。

私はこの春から臨床心理学徒になるわけだが、今回読んだ本の中で心理学に直接関係するのは、ナラティブセラピーの本と東畑さんの本だけだ。あとは哲学・思想だったり、社会学だったりする。これからもそういう読書傾向は続いていくと思う。

ところが心理に関して、何も知りませんではまずいと思う。いや何も知らないわけではないのだが、最低限、もう少し心理に関する本を読みたい、つまり4月以降はもう少し心理領域の本を増やそうと思う。あと、そろそろ書籍だけでなく、論文も読んでいきたい。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

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