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AWSのML/AIサービスの概要と特徴をまとめてご紹介!

こんにちは!
ポケモンの最新作、アルセウスが発売されましたね。皆さまはもう購入されたでしょうか?
ちなみに私はまだなのですが、先日知人に「人生で一番ハマったポケモンはポケモンコロシアムなんですよね」と話したところ「だいぶ変わってるね笑」と言われてしまいました、KeepAlive株式会社 エンジニアのまるやまです(笑)

今回は、AWS内のML/AI(機械学習、人工知能)に属するサービス各種の概要調査を実施したのでそちらをまとめて紹介したいと思います。独断と偏見で「○○系」にカテゴライズしていますので、そちらを参考にご覧ください。

また、本記事の起源となる社内資料の調査とまとめを実施してくださったささきさんに大感謝です!ありがとうございました!!

開発者体験上げる系

コードレビューやワークフローにML/AIを取り入れたサービスの紹介です。

・Amazon Augmented AI(A2I)

機械学習の結果に対して、実際の人間によるチェックを含めたワークフローを提供するサービスです。例えばAmazon Textractで文字認識をした結果に、人のチェックを入れるワークフローを作ることなどが可能です。

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/augmented-ai/

・Amazon CodeGuru

機械学習を活用したコードレビューサービスです。

レビュー対象のコードをCodeGuru に関連付けることで、以下のような仕組みを使い、コード品質向上のためのレビューや、コストが高いコードを特定できるようになります。

2022/02/10現在はJava/Pythonのコードのみが対象です。

・Amazon CodeGuru Reviewer

機械学習および自動推論を使用して、アプリケーション開発中に重大な問題や見つけにくいバグを特定し、コードの品質を向上します。

・Amazon CodeGuru Profiler

実稼働状態のアプリケーションにおいて、最もコストが高いコード行を特定しパフォーマンスを最適化することで、運用コストを大幅に削減します。

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余談ですが、 Guruは「達人」とか「教祖的存在」を指すそうです。(老師的な意味合いかな?)コード老師…頼りがいのある名前ですね…!

【参考】
https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-codeguru-profiler-1/
https://aws.amazon.com/jp/codeguru/

サービス構築系

チャットボットやパーソナライズなどの機能を構築するサービスの紹介です。

・Amazon Lex

音声やテキストに対応するチャットボットの構築サービスです。

2021年に日本語対応を開始したので、下記サンプルコードを使ってお手軽に検証が可能です。

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/lex/
https://github.com/aws-samples/amazon-lex-customerservice-workshop

・Amazon Personalize

アプリケーションを活用したユーザーのログ情報などから、独自のレコメンデーションを構築するためのサービスです。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/aws-aiml-tokyo4/
https://aws.amazon.com/jp/personalize/

・Amazon Kendra

機械学習による高精度なエンタープライズ検索サービスです。

データソースからインデックスをKendra内に作成し、非構造化データからより関連性の高い回答を提供します。

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データソース(コネクタ)

AWS内のAmazon RDS・Amazon Simple Storage Service (S3)のみならず、外部コンテンツリポジトリからもコネクタを用いてインデックス集約が可能です。
【例】
・Microsoft SharePoint
・Salesforce
・ServiceNow
・Google ドライブ
・Confluence

また、Amazon Kendra Web Crawlerを使用することで、Web上にあるコンテンツのインデックスの作成・検索を行うことも可能です。

2022年1月時点では東京リージョンで使用できませんが、日本語検索の対応自体はされています。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/kendra/
https://aws.amazon.com/jp/kendra/features/
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/kendra/latest/dg/getting-started-webcrawler.html

MLモデル構築系

MLモデルの構築に役立つサービスの紹介です。

・Amazon SageMaker

あらゆるユースケース向けの機械学習 (ML) モデルを構築、トレーニング、デプロイできるサービスです。

Amazon MLの後継サービス的存在となります。

関連サービス
SageMakerを使う人のレベル感に合わせて関連サービスを活用することが可能です。
・SageMaker Canvas
ビジュアルインターフェイスを使用して機械学習予測を行います。(データ投入後ボタンぽちぽちでモデルが作れる)
・SageMaker Studio
SageMakerの開発環境です。データを準備し、モデルを構築・トレーニング・デプロイします。
・SageMaker MLOps
MLワークフロー自動化のためのサービスです。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/sagemaker/
https://dev.classmethod.jp/articles/getting-started-with-amazon-sagemaker/

・Amazon Forecast

時系列予測(※)のためのサービスです。

事前構築されたアルゴリズムか、自動機械学習(AutoML)のいずれかの方法でデータの予測トレーニングを行えます。

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こちらはAmazon Personalizeとの併用事例のハンズオンです。
https://resources.awscloud.com/aws-summit-online-japan-2020-on-demand-self-paced-hands-on-85234/hol-19-aws-summit-online-2020-ai-personalize-720p

※時系列予測: 時系列データを分析することで得られた傾向や特徴から、将来の姿(データ)を予測する手法

【参考】
https://docs.aws.amazon.com/forecast/index.html

・AWS DeepLens

深層学習の学習に最適化されたプログラム可能なビデオカメラです。

サンプルプロジェクトが豊富なので10分程度のセットアップで深層学習を開始することが可能です。以下はサンプルプロジェクトとして使用できるものです。
・物体検出
・画風変換
・顔検知
・ホットドッグ認識
・猫/犬認識
・行動認識
・頭部姿勢検知
・鳥の分類

SageMakerとの連携することも可能です。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/deeplens/

データ・ネットワーク監視系

データ・ネットワークの監視にMLを取り入れたサービスの紹介です。

・Amazon DevOps Guru

Amazonが20 年以上収集してきた運用専門知識によって構成した機械学習モデルを以て、監視対象のリソースの異常(アプリケーションが平常時と逸脱した動きをした場合・または逸脱しそうな動き)に関する情報を通知するサービスです。

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インサイトについて

DevOps Guru が重大な問題を特定すると、アラートを自動的に送信し以下の情報をインサイトとして提供します。

・関連する異常の概要
・考えられる根本原因
・および問題が発生した時期と場所に関するコンテキスト
・可能な場合、問題を修正する方法に関するレコメンデーション

連携するリソースについて

AWSアカウント内のすべてのリソースを対象とするか、一部リソースを対象とするかを選べます。

関連サービス

・DevOps Guru for RDS
・DevOps Guruの機能をRDSに最適化したサービス
・RDSに関する問題(リソースの過剰使用や特定の SQL クエリの動作不良など)を検知してインサイトとして通知する
・AWS Systems Manager
・AWS でインフラストラクチャを表示および制御するために使用できるサービス
・AWSリソースをグループ化して運用中のデータをダッシュボード化したり、直接リソース間でのタスク実行ができるサービス
・環境変数の運用をセキュアに実行できる
・パラメータストア(キーを暗号化して保存)
・DevOps Guruで検知したインサイトをOpsCenterにてダッシュボード化できる

【参考】
https://ap-northeast-1.console.aws.amazon.com/devops-guru/home
https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-devops-guru-ga/https://aws.amazon.com/jp/devops-guru/features/devops-guru-for-rds/https://ap-northeast-1.console.aws.amazon.com/systems-manager/home?region=ap-northeast-1#
https://aws.amazon.com/jp/devops-guru/features/devops-guru-for-rds/https://ap-northeast-1.console.aws.amazon.com/systems-manager/home?region=ap-northeast-1#
https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-180.html

・Amazon Lookout for Metrics

機械学習(ML)を使って運用データの異常を自動検出するサービスです。Lookout for Metricsを使用すると、以下を自動で実施します。

・様々なデータソース(Amazon S3、Amazon Redshift、Amazon Relational Database Service (RDS)、Salesforce、Servicenow、Zendesk、Marketo など)に接続してデータを収集
・機械学習を用いて異常を検出
・関連性の高い異常をグループ化・重大度の順にランク付け

クレジットカードの不正利用の検知や売上データの異常(いきなり下がった/上がった?!)の検知などに使われているとのことです。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/lookout-for-metrics/features/

・Amazon Fraud Detector

機械学習を使用してオンライン不正をより迅速に検出するサービスです。

オンライン決済での不正やなりすまし、偽アカウントの作成、ポイント付与サービスアカウントやプロモーションコードの不正利用などの行為を、「ミリ秒単位」で素早く簡単に識別できます。

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/fraud-detector/

・Amazon HealthLake

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自然言語処理 (NLP) から成る、個人または患者の集団のヘルスデータ(処方箋、処置、診断を含む)を完全に可視化し、大規模なクエリと分析を行うサービスです。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/healthlake/

モノ監視系

工場など、実際のモノを作る場所における監視にMLを取り入れるためのサービスの紹介です。

・Amazon Lookout for Equipment

機械学習(ML)を使って機器のセンサーデータから異常な動作を自動検出するサービスです。

センサーから得られたデータ(例えば、発電機の圧力、コンプレッサーの流量、ファンの 1 分あたりの回転数)の分析によって自動機械学習を行うことで、使用者はMLの知識を要せずに機器の異常を迅速かつ正確に検出するのに役立ちます。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/lookout-for-equipment/

・Amazon Lookout for Vision

機械学習(ML)を使って、画像データ(コンピュータビジョン※)から不具合を特定し、品質検査を自動化するサービスです。

部品などの製造における製品のラベルずれや、傷もの検査などに使われているとのことです。

※コンピューター・ビジョン: 人工知能(AI)の下位分野であり、視覚的な世界を解釈および理解できるようにコンピューターをトレーニングする取り組み。

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/lookout-for-vision/

・Amazon Monitron

装置モニタリングのためのエンドツーエンドシステムです。

専用の機器を監視対象の産業機器に取り付け、予知保全と機械学習で計画外の機器のダウンタイムを削減します。

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左:Amazon Monitron Sensors 右:Amazon Monitron Gateway

※ 2022年1月時点では東京リージョンでは使用できず日本のamazonからは機器の購入も不可

(モニトロンって名前、中ボスっぽくてかっこいいですね。エイジオブ…)

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/monitron/

・AWS Panorama

通常のネットワークカメラ(オンプレミスカメラ)を、コンピュータビジョン化して、高精度かつ低レイテンシな自動予測の実施を可能にするサービス。

派生して、AWS Panorama Applianceというデバイスも発売されているとのことです。

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/panorama/

おもしろデバイス系

AWSのデバイスを使ってML/AI楽しく学ぼうぜ!なサービスの紹介です。

・AWS DeepComposer

AWS DeepComposer キーボードを使ってシンプルなメロディを入力するだけで、AIによる作曲ができるGenerative AIサービス。

デモ:https://youtu.be/XH2EbK9dQlg?t=454

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【参考】
https://aws.amazon.com/jp/deepcomposer/

・AWS DeepRacer

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機械学習による完全自動運転の 1/18 スケールのレースカーです。

レースカーを動かしながら強化学習(※)を学べるコンテンツです。育てたモデルでAWS DeepRacerリーグで対戦もできそうです。

※強化学習… Reinforcement Learning。機械学習の一種であり、コンピューター エージェントが動的環境と、繰り返し試行錯誤のやりとりを重ねることによってタスクを実行できるようになる手法。DeepRacerだと、ある道や障害物に対してどのように走るのが効率が良いかをトレーニングするイメージ。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/deepracer/
https://youtu.be/tgH4636q6qU

ツール系

翻訳や文字認識、音声読み上げなどにML/AIを取り入れたサービスの紹介です。

・Amazon Comprehend

機械学習を使用して、テキストからインサイトや関係性を発見するための自然言語(※)処理 (NLP) サービスです。

カスタム分類、キーフレーズ抽出、感情分析、エンティティ認識などの API を使用することにより、アプリケーションに自然言語処理を簡単に統合することが可能です。

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※自然言語…人間が意思疎通に日常的に用いるような、自然な言語を指す。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/comprehend/

・Amazon Transcribe

自動音声認識 (ASR、automatic speech recognition) と呼ばれる深層学習プロセスを使って迅速かつ高精度に音声をテキストに変換するサービスです。

カスタマーサービスの通話の文字起こし、字幕の自動作成、完全に検索可能なアーカイブを作成する際におけるメディア資産のメタデータの生成に使用できます。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/transcribe/

関連サービス

Amazon Transcribe Medical 
医療関連の音声をテキストに変換する機能を臨床ドキュメントアプリケーションに追加できます。

・Amazon Translate

高速で高品質かつカスタマイズ可能な言語翻訳を手ごろな料金で提供するニューラル機械翻訳(※)サービスです。

APIコールでのリアルタイム翻訳によるWEBサイトのローカライズや、Word文書やスプレッドシートなどのコンテンツ形式に対する翻訳も可能です。

※ニューラル機械翻訳…深層学習モデルを使用して、従来の統計ベースやルールベースの翻訳アルゴリズムよりも正確で自然な翻訳を提供する言語翻訳自動化の一形態。

【関連サービス】

・Custom Terminology

ブランド名、モデル名、およびその他の固有の用語がどのように翻訳されるかを定義できる。カスタム用語集的な機能。

例:Onemiler & Detransなどの造語で作られたブランド名

・Active Custom Translation

ドメイン固有のニーズに合わせて調整されたカスタムの機械翻訳出力を生成する。

イメージ的には、言葉のニュアンスや書き方をカスタマイズしてより原文に近い表現を実現するのがActive Custom Translation…という感じ?

【例】
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/translate/latest/dg/customizing-translations-parallel-data.html

Hello, how are you?
How are you?
Hi, how are you?
How are you doing?
↓ カスタムなしだと 文法的に正しい翻訳結果になるところが、
Bonjour, comment allez-vous ?
Comment allez-vous ?
Salut, comment allez-vous ?
Comment allez-vous ?
↓ カスタムを入れると ちょっと砕けたニュアンスを取り入れられる
Bonjour, comment ça va ?
Comment ça va ?
Salut, comment ça va ?
Comment ça va ?

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/translate/

・Amazon Textract

スキャンしたドキュメントからテキスト、手書き文字、およびデータを自動的に抽出する機械学習 (ML) サービスです。(OCRの上位互換)

文字認識+データを元の文脈に沿って整理(構造化データを抽出)するところまでできます。

Amazon Augmented AI を使用して人間によるレビューを追加し、モデルの監視と機密データの確認を行うことも可能です。

※ 2022年1月時点では東京リージョンでは使用不可

https://aws.amazon.com/jp/textract/

・Amazon Polly

高度なディープラーニング技術を使用したテキスト読み上げ (TTS) サービスです。

標準 TTS 音声に加えて、新しい機械学習アプローチによる音声品質の高度な改善を実現するニューラルテキスト読み上げ (NTTS) 音声を提供します。AlexaやAmazon Lexでも使用されています。以下がユースケースとしてあげられます。

・コンテンツの作成(記事を音声に変換して MP3 でダウンロードする)
・e ラーニング(音声の再生および発音されるテキストのハイライト)
・テレフォニー(電話システムでのテキスト読み上げ)

【関連】

・標準 TTS 音声

https://d1.awsstatic.com/product-marketing/Polly/HelloJapanese_Takumi.f172ca299ddade79739786444319b34254e2f1dd.mp3

・ニューラルテキスト読み上げ (NTTS) 音声 ※めちゃくちゃすごい。

https://d1.awsstatic.com/product-marketing/Polly/voices/Takumi NTTS_main page.8831ccf757ad2e67fef4641d9358788c054c4b85.mp3

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/polly/

・Amazon Rekognition

事前トレーニングされたカスタマイズ可能なコンピュータビジョン (CV) 機能を提供して、画像と動画から情報とインサイトを抽出できるサービスです。

危険または不適切なコンテンツをすばやく正確に特定したり、オンラインでの本人確認などに用いられます。

【参考】
https://aws.amazon.com/jp/rekognition/

所感

意図せず9000字を超える大作となりましたが、いかがでしたでしょうか?
私を含めML/AIに明るくないWeb系のエンジニアでも、すでに構築されたAWSのML/AI基盤を利用できるこれらのサービスであれば、アプリケーションへの導入ハードルはかなり低くなります。ぜひユースケースにあうサービスを探して利用してみてください。

最後に

KeepAliveでは、社内部活ことインターナルワーク活動があります。その中で「社内MA」というインターナルワークでは、Amazon Pinpointを中心に本noteに記載したML/AIサービスも活用して社内独自のMAツールを構築しています。ぜひこちらもご注目ください!

社内MAについてはこちらをご覧ください!

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KeepAlive株式会社 丸山侑稔
会社ホームページはこちら ⇒ https://keep-alive.co.jp/

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