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「ヤミ」

わたしはヤミを飼っている

大抵じっとしているが
忘れた頃に動き出す
酷い時にはそこらじゅう
引っ掻きまわして傷つける

いつものヤミは蹲り
こちらの方をじっと見ている
その瞳は深い漆黒で
見つめ返すと墜ちそうで
わたしはそっと目を逸らす

ヤミなど飼いたくなかったと
独言めいて愚痴ってみても
ヤミを捨てれるはずもない

一度、飼ったら最期まで
責任もって飼いましょう

今ではヤミもわたしの一部
病んで闇夜を歩くみち
ヤミとわたしの二人連れ
月の仄かな明かりが頼り

わたしはヤミを飼っている


【詩集】「月の道標」つきの より

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