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季節労働のまち

2022年10月。
八幡浜市内の各戸に、郵便局のアルバイト募集の案内が配られました。
10月から八幡浜は“みかんの季節”に入ります。
愛媛県内の温州みかん生産量の半分を生産する八幡浜市では、秋から冬にかけて郵便局もほかの運送業者もみかんの発送取り扱いで大忙しです。
それに備えた求人だったのでしょう。

この時期、ハローワークの求人もみかん関連のもので大きく増えます。
地域の主要産業の書き入れ時に人手を確保するため、官民一体となって地域の外からの“みかんアルバイター”募集にも取り組んでいます。
その重視のされ具合は、市議会の一般質問で議題に取り上げられるほどです。

朝早くから山の斜面に作られたみかん畑で収穫作業をしたり、収穫された大量のみかんを運搬したり。
雇う側からすれば、なるべく体力のある若い労働者に集まってほしいものです。
しかし集まってほしいのは繁忙期だけ。
年間を通じてずっと雇い続けるのは、固定費が増えてしまうから避けたいというのが本音でしょう。
一方で雇われる側からすれば、特に若い年代ほど、年間を通じてなるべく安定した収入を見込める仕事に就きたいもの。
そうした仕事の求人は、人口減少と高齢化の激しい“地方”では介護系など特定の分野に限られます。
ゆえに八幡浜のような季節労働のまちでは、あの手この手で一時的な労働力の確保に奔走することになります。

このミスマッチを緩和できれば、全国各地の地域振興に繋がると思うのですがいかがでしょうか。
農業など一次産業の繁忙期には“地方”で季節労働に従事しながら、ほかの時期には別の仕事で収入を得るようなライフスタイルを選びやすくする仕掛け。
どんな形があり得るだろうかと考えています。

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