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米ナイキ30週年キャンペーンの顔は、NFL追放の元選手

いよいよ東京オリンピックまであと2年になり、「スポーツマーケティング」「スポーツビジネス」という言葉を目にする機会が増えてきましたが、本日、興味深いニュースが飛び込んできました。

米スポーツアパレルブランドの「Nike」の30週年キャンペーンの顔として、アメリカン・フットボール選手の「コリン・キャパニック」が採用されることが判明。
ですが、同選手は、今現在、NFLのどのチームにも所属していない選手なのです。

以下、キャパニック選手は、同日、こんなツイートをしました。

Nikeが30週年という節目のキャンペーンに「現役ではないアスリート」を起用した、その背景と狙いをマーケティング視点で考察してみたいと思います。

コリン・キャパニックとは?

コリン・キャパニック選手はNFL(米アメリカン・フットボール)で活躍していた選手で、ポジションはQB(クオーターバック)。選手としての詳細な経歴は割愛しますが、2016シーズンにある出来事でも有名になりました。

彼はある試合中の国家斉唱の際にひざまずき(座ってしまう)、国歌斉唱を拒否します。

これは、米国内で白人警官が黒人を射殺するなどの事件が後を絶たず、人種差別が、強く残る国の国家は、斉唱できないと言う彼の意思表示でした。
その後、同選手に賛同する形で同じ行為を行う選手がでるようになります。

この一連の騒動は社会問題にもなり、トランプ大統領も、Twitterで同選手を批判。NFLも国家斉唱の際は、必ず起立するようルールを設けるなど、この問題は様々なメディアでも取り上げらました。


その後、コリン・キャパニック選手はシーズン終了後にフリーエージェントになり、今はどのチームとも契約できていません。


強烈なNikeのメッセージ

このような経緯があったので、今回のNikeのキャンペーンに同選手が採用された事は非常に驚きを与えたと思います。

冒頭に紹介した、彼のツイートには、ナイキのキャッチコピーでもある”Just do it”と、彼のメッセージが投稿され、半日で50万回以上もリツイートされ、その反響の大きさが伺えます。

そのメッセージは、

Believe in something, even if it means sacrificing everything

たとえ全てを犠牲にしてでも、何かを信じろ。


ご存知の通り、アメリカンスポーツでは多くの黒人選手が活躍しています。

・トランプ大統領=国
・NFL=プロリーグ(トランプの姿勢に同調し同選手と契約していない)

これらの国や団体がなんと言おうとも、

「スポーツを守る」「スポーツを支える選手を支持する」という、
Nikeの強いメッセージが伝わってきます。

そして彼の権力に屈しない行動力と、Nikeのコピー”just do it” が、
重なります。

社会問題に対して、企業として明確な意思を表示することで、そのナイキのメッセージがより一層強いものとなりました。


企業と社会とのコミュニケーション

スポーツコンテンツに限ったコトではありませんが、
企業と社会とのコミュニケーションは非常に多様化されています。

情報が溢れていく社会の中で、企業は社会に対して、どんなメッセージを伝え、どんなストーリーを作り、どんな認知を消費者へ与えるのか、とても重要になります。

今回のナイキのキャンペーンは、賛否両論も出そうですが、
強烈なメッセージとともに、ユーザーの心に気づきを与え、心を動かしたマーケティングと言えます。

昨今の日本のスポーツ界はネガティブな話題がメディアを賑わせていますが、こういう時が、企業にとって社会に刺さるメッセージを残すチャンスとも言えるのかもしれません。

ナイキの今後の同キャンペーンの展開にも、非常に期待したいて見ていきたいと思います。


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