鬼になれる人
最近ある人から、
「白井さんみたいに、自分のやりたいように仕事をしていけるようになるには、何をしたらいいですか?」
みたいなことを聞かれました。
それは、今まで自分が他の人を見てて思っていた事だったので、
「まさか自分が、いつの間にかそうなれていたとはなぁ」
と感慨深かったので、これはちょっとした自慢です。
でも考えてみたら、前にプラントの仕事をしていた時も、
「そんな風に楽しく仕事ができるようになるには、どうすればいいですか?」
と聞かれたことがあるのをのを思い出しました。だから、多分今まで自分は、仕事を楽しんでこれたのだと思います。
では、仕事を楽しむにはどうすればいいのでしょうか。
●雑用を極める
もちろん仕事ですから、楽しい事ばかりじゃありません。
私も大学を卒業後に技術営業に配属となり、営業補助のような仕事をしていた頃、最初は楽しくない事の方が多かったです。しかし、その時に思ったことは、
「やりたい仕事ではないからといって、中途半端にやっていたら余計面白くない」
という事でした。
営業補助の最初の仕事は、
お客様に提出する図面を必要部数コピーして、印を押して、決められた通りに折って封筒に入れて・・・
という、一般的には「雑用」みたいな仕事でした。しかし、営業の先輩の動きを見ていると、そういった作業もすごくテキパキと、しかも正確にこなすんです。
特に、図面の折り方は慣れないと難しいのですが、さっさと折っていくのを見て、
「よし、まずはこの作業を極めてやろう」
と練習して、図面を発送する作業は積極的に受けるようにしました。
そのうち、見積書や仕様書を作る仕事を任されるようになりました。その時も、今までそれぞれの営業の人が使っていた Excel のフォーマットがあったのですが、丁度同時並行で、ISO9001の認証取得を進めていました。その関係で、
「フォームを統一して作成した見積をデータベース化したい」
という事が言われていました。
いい機会だったので、当時会社で使っていた Access から、フォームに客先名や仕様、単価を入力すると、決まったフォーマットで見積書と仕様書が出力できるシステムを作って、大幅に手間を少なくできました。
それで学んだのは、
業務の効率化を進めると、業務全体がよく把握できる
という事でした。そして、
とにかく与えられた役割で、期待される以上の成果を出す
という意識で取り組むうちに、たいていの仕事を楽しく進められるようになりました。
●目の前の作業に集中するために
その後、設計の仕事でも、検査の仕事でもそうでしたが、
「まず、今取り組んでいる仕事の成果を形にすることに集中する」
という事を意識していました。ただ、初めはやみくもにかじりつこうとしても、うまくいきませんでした。
本当に集中を持続するためには、
①ゴールは何かを明確にする
②ゴールからタスクを明確にする
③一つ一つのタスクに対して締め切りを決める
④集中できる環境を整える
この4つが必要です。
①②については、これをやらないと「やるべきこと」が沢山目についてしまい、集中できません。
③は、いわゆる「お尻に火が付く」状態を自分で作り出して、集中力を高めることが出来ます。
④は、下準備というやつです。これは、研修で装置の組立の仕事をした時に学びました。作業が早い人は、部品の準備や片付けなど、次の作業のための段取りを完璧にこなします。それにより、メインの組立の作業に集中することが出来ます。
●評判が良い人と悪い人の特徴
また、今までいろいろな会社で、いろいろな仕事の仕方をする人を見てきましたが、仕事への評判が良い人と悪い人の特徴が、どこでも共通している点がある事がわかりました。それは、
評判が良い人の特徴は、
・自分の仕事に集中して取り組んでいる
・その仕事にとにかく詳しく関連知識が豊富
という点です。逆に、評判が悪い人は、
・自分の仕事が中途半端なまま他の人に口出しをする
・話は旨いが知識が乏しくて中身が無い
という特徴がありました。
日本の多くの会社組織では、後者の方が評価が高く、出世している例が多いです。しかし、仕事を形にしているのは前者の方です。だから、
出世 = 仕事への評価
と考えている人もいるようですが、その評価基準が明確でない組織では、あてにならないと考えています。
そして、自分は
「とにかく自分の能力で稼ぎを出せるようになりたい」
と考えているので、前者を目指すことにしています。
●オフの時間にどれだけ学べるか
仕事に集中するためには、仕事をするための材料が必要です。設計の仕事で必要なのは、もちろんCADの操作などのスキルも必要ですが、それ以上にものづくりに関する知識が必要です。
最初は、私も「いつ勉強するか」に悩んでいました。
「仕事は進めないといけない」
「でも知識が無いと進めることが出来ない」
「勉強する以上は納得したい」
そこで、
「やはり勉強にもゴールが必要だ」
という事に気が付きました。そして、
①仕事中の調べ物は、「今必要な情報」を明確にしてから行う
②資格取得は、とにかく過去問を通じて知識を得る
③納得するための勉強は、自分で説明出来るまで
という風に決めました。
その上で、仕事中は①まで。②は通勤や移動の時間メインで。③はプライベートの時間でという風に、メリハリをつけることで、時間をうまく使えるようになったと思います。
ところで、この中で人と差がつくのに一番効果的な勉強はどれだと思いますか?それは、③です。①②は、必要になればだれでも調べます。しかし、得た知識をアウトプットしたり、仕事に活かすには③の積み重ねが必要です。
何故なら、ある物事を説明して納得してもらうには、関連する知識も必要になりますし、具体的な事例も豊富に知っておく必要があります。何より、数字の感覚をつかんでいる必要があります。
私も、今自分が取り組んでいる仕事については、誰よりも詳しくなることを目指してきたので、仕事以外の時間をできるだけ勉強に充てるようにしてきました。そうする事で、「考える習慣」が身につくため、普段の仕事の中からも気づきが得られるようになり、「わからない」ことへのストレスが減りました。
●とにかく鬼になること
こうして考えると、結局「今取り組んでいる事」に集中してきた積み重ねの結果だと思います。
「仕事の鬼」とはよく言ったものだと思いますが、一度そうなってみる覚悟が必要だと思います。「鬼」と言っても、他人に厳しくするという事ではなく、とになく自分でやりきる覚悟で取り組むという事です。
もちろんそのために、人に愛想よくするのが難しく、嫌われてしまう事があるかもしれません。でも、人づきあいは一時かも知れませんが、仕事とは人生の大半の時間付き合っていくものです。
仕事をしていなければ、その人づきあいも無いわけですから、つきあいを優先して仕事をないがしろにするのはナンセンスです。
私は、好きな事を仕事にしてきたというよりは、仕事を好きになるように取り組んできたという方が近いと思います。最初は苦しい時があるかもしれませんが、ノってくると楽しくなります。
これから社会人になる人、転職される人に、少しでも参考にしてもらえたら幸いです。
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