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仕事に役立った禅語7選

「禅語」は、古くから語り継がれ、磨かれ、残ってきた、叡智の結晶とも言えます。

そこから学べるもの、気付かされるものは、本当に多い。

私も、仕事に家庭に悩んだ時に、いつも禅語に救われています。

そこで今日は、私が起業して13年の間に、「これは特に、仕事に役立ってくれた」という禅語7つを、ご紹介します。


(1)大地黄金(だいち おうごん)

【大地黄金】

自分が置かれている場所で、精一杯力を尽くすこと。
そうすれば、その場所が黄金のように輝いてくる。

私は、自分自身が「好きなことを仕事にする」を実践し、また、セミナーなどでも、そのノウハウをお伝えしています。

一点、注意してほしいことがあります。

それは、「好きなことを仕事にする」というのは、「今の仕事ではない、全く別の、自分が輝ける仕事がある!」という意味ではない、ということです。

これを端的に示した、石工のお話をご紹介します。

【石工のお話】

あるところに石工が住んでいた。
仕事から帰ってきて酒を飲みながらつぶやいた。

「石工ほどつまらぬものはあるまい。こんな馬鹿馬鹿しい仕事はない。同じ人間に生まれているのに、王様は国の主、おれはその日暮らしの石工だ」

こう不平を言いながら徳利を枕にゴロリと横になった。
すると長くて白いひげをたくわえた老人が現れて言った。

「石工よ。お前の望み通りにしてやる。この杖をやろう。お前がなりたいものの名を三度唱えて、この杖を三度ふれ」

老人の姿が消えていなくなると同時に、石工は目を覚ました。
すると枕元には杖が置かれていた。

さっそく石工は「王様になれ、王様になれ、王様になれ」と唱えて、杖を三回ふった。
石工はそのまま寝てしまった。

「王様、王様、王様」
という声で目を覚ました。
気がつくと、目を見張るばかりの御殿で寝ていた。
たくさんの女官や家来が代わる代わるご機嫌伺いにやってきた。

ある日のこと、広い庭を散歩しながら天を仰ぐと、そこには太陽がさんさんと輝いていた。
それはまぶしくて見ることができなかった。

「王様ほど偉いものはないと思ったら、太陽のほうがもっと偉い」
今度は太陽になりたいと思って杖を使った。
体がふわーっと浮き上がり、太陽になった。

やがて男は、雲が自分を簡単に隠してしまうことに気づく。
「太陽ほど偉いものはないと思ったら、雲のほうがえらい」
男は雲になりたいと思って杖をふった。
男は地球にたくさんの雨を降らせ、何もかも押し流してしまう自分の力に満足した。

ところが、ものすごい強い風が吹いてきて、押し流されてしまった。
「雲ほど偉いものはないと思ったら、風のほうが偉い」
男は風になりたいと思って杖をふった。
風になった男は、西に東に北へ南へと思うがままに吹いていると、大きな岩にぶつかった。
どれだけ強く吹いても岩はびくともしない。

「風よりも岩のほうが強いんだ。今度は岩になれ」
岩になってみると、雲や風のように思い通りに動けやしない。
同じ所にこびりついたまま、百年でも千年でも居続けなければならない。

ある日のこと、一人の石工が道具を背負って近くにやってきた。
道具を使ってコツコツと岩を壊しはじめた。
岩は痛くてたまらない。
でも人間ではないので「痛い」なんて言葉は出ない。

「岩がもっとも強いと思っていたら、この男のほうがもっと強いんだ。この男になれ!」

石工はもとのあばら屋の中で徳利を枕に寝ていた。

「もう決して余計なことを思うまい。自分はやはり石工がいい」

それからその男は自分の仕事に精を出した。

本「人生の道しるべになる座右の寓話」より

上述の石工も、「自分が置かれている場所(石工という職業)以外のもの」を追い求めましたが、結局、石工であることが一番だと気づきました。

「好きなことを仕事にする」のも、これと同じこと。

実は、今のあなたの仕事の中に、あなたの才能を発揮できるチャンスが隠れているのです。

その具体的な方法については、以下のnoteで解説しましたので、ぜひこちらもお読みください。

(2)結果自然成(けっか じねんなり)

【結果自然成】

できる限りのことを精一杯やったのであれば、あとは自然に結果が実るのを待てばよい。

この禅語は、「目の前の仕事に集中することの大切さ」を示しています。

今から約14年前。
起業した当初の私は、細かい数字のことばかり考えていました。

利益率、クリック率、ホームページの反応率、などなど。

確かに、これらの数字は大切です。
しかし、最も大事なのは、「目の前のお客様が、笑顔になっているかどうか?」なんですよね。

起業してしばらくして、やっと「目の前の仕事に集中する」大切さに気づけました。

例えば、セミナー。
セミナーを開催するには、けっこうな手間がかかります。

  • どんなセミナーをやるか?ネタだし

  • セミナーで使うレジュメ作り

  • セミナー参加者の集客

  • セミナー後のフォローアップ

  • セミナー動画を編集し、会員専用サイトで提供

以前は、この「手間がかかる」というのを、ネガティブにとらえていました。
「手間がかかる=効率が悪い」のように感じていました。

しかし、今はある意味「手間をかけたい」のような気持ちでいます。

  • 良いセミナーを作ろう

  • こんな事例を入れたら、もっと分かりやすくなるかもしれない

  • ワークも入れて、参加者さんが実践しやすくしよう

そうやって改善を繰り返してきた今、継続してくださる会員様が増え、今では当社の売上の柱になっています。

まさに、結果自然成、ですね。

(3)日々是好日(にちにち これ こうじつ)

日々是好日は、ただ単に「毎日がいい日なんですよ」という意味ではありません。
実際には、以下のような意味の禅語です。

【日々是好日】

毎日を生きていれば、いいと感じる日も、悪いと感じる日もある。
しかし、どの1日も、なにかの気付きや学びを得ている、貴重な1日である。
それに気づくことができると、どんな日も好日となる。

仕事をしていれば、調子がいい日も悪い日もあります。

  • 新規の問合せが立て続けに来た!

  • お客様に感謝の言葉を頂いた!

そんな日もあれば、

  • 受注寸前で失注してしまった…

  • 安易なミスで、やり直すことになってしまった…

のような日もあります。

でも、どんな日であったとしても、そこから何かを得ているのです。
目に見えるお金や人間関係だけでなく、いろいろな気付きや学びも得ているものです。

ベストセラー作家のひすいこたろうさんの本に「晴れた日は花開き、雨の日は根が伸びる」といった言葉があったのですが、まさにその通り。

どんな1日も、自分を成長させてくれる「好日」なのです。

そして、1日1日を好日にできるかどうか?は、自分自身にかかっています。

これを示す、こんなお話を紹介させていただきます。

【ジャナカ王とアシュタバクラ】

昔、インドにジャナカ王という王様がいました。
ジャナカ王は、アシュタバクラという家臣をとても可愛がっていました。
どこへ行くにも、ジャナカ王は必ず、アシュタバクラを連れて行きました。

というのも、アシュタバクラは、何を言われてもいつも「起こることは最高の出来事でございます。」と言ってくれたからです。

そして王様が何を相談しても、アシュタバクラはいつも「起こることは最高の出来事でございます。」と言っていたので、王様はそんなアシュタバクラを信頼し、いつも傍に置いていたのです。

それに嫉妬したのは、他の家臣たち。
そこで、アシュタバクラに嫉妬した家臣たちは、あることを企みます。

ある日、王様が手にケガをしてしまいました。
王様の手のケガのことを、他の家臣たちが、アシュタバクラに伝えたところ、アシュタバクラはまた「起こることは最高の出来事でございます。」と言ったのです。

それを聞いた家臣達は、王様に告げ口しました。
「王様!アシュタバクラは、王様が手にケガをされたことを"最高の出来事"と申しておりました!」

それを聞いたジャナカ王は激怒し、アシュタバクラを牢屋に閉じ込めてしまいました。

それから、しばらく経って。

王様は他の家臣を連れて、狩りに出かけました。
そこで他の部族との争いが起こり、王様はその部族に捕まり、儀式の生贄にされることになってしまったのです。

しかしその部族は、王様が手にケガをしていることに気づきました。
すると、「ケガをしている人間は、傷物で、生贄にならない」と言って、王様を解放してくれたのです。

そうして命拾いした王様は、アシュタバクラの牢屋に行き、謝りました。

「アシュタバクラよ、私が悪かった。
お前が言った通り、わしが手に怪我をしたことは最高の出来事であった。
なのに、あろうことか、お前を投獄してしまった。許しておくれ」

すると、アシュタバクラは言いました。

「いいえ王様、そんなことはありません。
もし王様が私を投獄していなかったら、私は王様と共に狩りに行ったでしょう。
私はケガをしておりませんでしたので、きっと王様の代わりに、私がその部族の生贄になっていたでしょう。
王様、私が牢屋に入れられたことは、最高の出来事だったのです」

そして王様は、アシュタバクラを解放しました。

上の話の中で、アシュタバクラは、いつも「起こることは最高である」ととらえていました。

どんな出来事に対しても、こういう捉え方をしていれば、「日々是好日」ですね。

(4)少欲知足(しょうよく ちそく)

【少欲知足】

欲しいものを貪るように求めても、欲は次から次へと出てくる。
大切なことは、足ることを知ることであり、自分自身の心をコントロールすることだ。

幸せを数式で現すと、「幸せ=財÷欲」と言えそうです。
つまり、欲が小さくなれば、幸福度は増していく、ということ。

こういう話をすると、「少欲知足=諦める」だと思いがちです。

実際、私も以前は、そう捉えていました。
「少欲知足というのは、自分の目標や夢を諦めて、今の状況に妥協して生きることなんだ」と勘違いしていました。

しかし、そうではないのです。

そもそも「諦める」というのは、もともと仏教用語で、その本来の意味は「明らかにする」なのです。
つまり、「諦める=Give up」ではなく、「Clarify」ということ。

別の言葉で言えば、「腹八分目」とも言えるかと思います。

もっと!もっと!と欲を追い求めると、いつか身を滅ぼすことになる。
そうではなく、自分の腹八分目(ちょうどいいサイズ)を知り、満足・幸せを感じよう、ということです。

以下のnoteにも書きましたが、私は起業した当初、年商10億!という大きな目標を掲げ、一心不乱に仕事に励んでいましたが…

これは、私の心からの目標ではなく、「ただ単に、周りに認められたかっただけ」の、偽りの目標でした。

無理に拡大を目指し、苦しんでいた私は、まったく「腹八分目」ではありませんでした。

この不毛さに気づき、自分のサイズを明らかにできたおかげで、今は楽しく仕事できています。

以下のような言葉もあります。

たとえ貨幣の雨を降らすとも、欲望が満たされることはない。

仏典:ダンマパダ

貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ

南米ウルグアイ元大統領:ホセ・ムヒカ

少欲知足になると、余計な"力み"がなくなり、自然体でいられます。

これが、仕事をスムーズに前進させてくれている。
そう感じます。

(5)七走一座(しちそう いちざ)

【七走一座】

七回走ったら、一回休んでみよ。
休むことで、走っていては見えないものが見えてくる。

日本では、「働くこと=正義」「休むこと=悪(サボり)」みたいなイメージが強いように感じます。

日本は、働くことを特に美化しがち。
そんなふうにも感じます。

しかし、働き続けていれば当然、仕事のパフォーマンスは落ちていきます。
健康にも悪いですし、燃え尽き症候群にもなりかねません。

この「働きすぎな現代」にたいして、ステファン・アーストルは、以下のように話しています。

ナレッジワーカーにとっての8時間労働は、肉体労働者にとっての16時間労働と同等だ。
8時間労働は肉体労働のための基準であって、精神のための基準ではない。

本「TIME OFF:戦略的休息術」より、ステファン・アーストルの言葉

実際、偉人の中には、労働時間が短い人が結構います。

例えば、進化論で有名な、チャールズ・ダーウィンは、1日90分×3=4時間30分しか働かなかったそうです。

フランスの数学者・理論物理者であるアンリ・ポアンカレも、1日4時間ほどしか働かなかったそうです。

これらの例を見ると、「短い時間なのに」ではなく、「短い時間だから」こそ、偉業を成し遂げられた、とも言えるかもしれません。

あなたも、「短い時間に集中したら、いつも以上に頑張れて、いい仕事ができた」という経験がありませんか?

私は、しょっちゅうあります。

私自身も、起業当初は、本当に1日中働いていました。
それこそ、1日16時間くらい働いていた日も。

しかし今は、仕事時間はすごく減りました。
平均すると、1日5~6時間くらいでしょうか。

それでも、成果は伸びていることを考えると、労働時間と成果は比例するものではないんだな、と実感します。

(6)人人悉道器(にんにん ことごとく どうきなり)

【人人悉道器】

人はみな誰でも、道を極める可能性を持っている

こんな2人がいるとしましょう。

  • テストの平均点20点の、A君

  • テストの平均点70点の、B君

一見すると、B君のほうが優秀な生徒に見えますよね。
これだけだと、なんとなく、B君のほうが「道を極める」者に近く感じます。

しかし、テストの点数の内訳は、以下の通り。

(A君)
・国語:0点
・数学:100点
・理科:0点
・社会:0点
・英語:0点

(B君)
・国語:70点
・数学:70点
・理科:70点
・社会:70点
・英語:70点

これだと、「平均点」だけを見たときと比べて、見え方が変わってきませんか?

A君は、「数学」に力を入れて、数学を伸ばしたほうが、活躍できる(つまり、道を極める)可能性は高そうですよね。

A君もB君も、それぞれに極める道があるのです。

そしてこれは、仕事ならなおさらです。

仕事において、「どの分野も平均レベル」の人は、(言葉がアレかもしれず恐縮ですが)パッとしない人、と言えます。

得意分野を見つけ、そこを伸ばすことで、その人の魅力が開花するのです。

例えば私は、営業が苦手です。
だからこそ、営業しなくても売上アップできるように、コピーライティングを磨きました。
もともと文章を書くのは得意だったので、コピーライティングは、私の強みを活かせる分野なのです。

また私は、細かいチェック作業も苦手です。
だからこそ、細かいチェック作業が得意なスタッフ:Yさんに、仕事を任せています。

そして私は、得意分野である「人前で話す」「分かりやすく教える」を活かせる、セミナーやポッドキャストをメインに仕事させて頂いています。

これが、私自身の「道」だからです。

あなたにとっての「道」は、何でしょうか?

(7)家和万事成(いえ わして ばんじなる)

愛する妻と、3人の息子たちです^^

【家和万事成】

家が和やかであってこそ、何事もうまく運び繁栄する。

家庭と仕事は、密接にリンクしていると感じます。

よく「家の事情を、仕事に持ち込むな」という人がいますが、ごめんなさい、私には無理です。爆

子供が元気がなければ心配だし、妻が暗い顔をしていたら一日中気になってしまいます。

かのスティーブン・ホーキングも、以下のような言葉を残しています。

宇宙の神秘を解明できても、愛する家族がいなければ価値がない

イギリスの理論物理学者:スティーブン・ホーキング

最近あった、私のエピソードをご紹介します。

以前、私は、子供たちが起きてくる前に仕事に出発していました。
朝早くから仕事できるので、仕事もはかどっていました。

しかし、妻や子供たちと過ごす時間は減ってしまい、妻も思い通りにならない子供たちへのイライラが募ってしまっていました。

そこで、朝は子供たちと一緒に出発するようにしたのです。

子供たちと、公文の宿題を一緒にやり、朝ごはんを食べ、三男のオムツを変えて着替えさせて。

学校や園までの道も、子供たちと話しながら歩き、元気よく「いってらっしゃい!」して、私は仕事に向かう。

当然、以前よりも、仕事が始まる時間は遅くなりました。
そして、以前よりも、仕事時間そのものも短くなりました。

しかし、家族の状態が安定したことで、自分の心も安定し、仕事が今まで以上にスムーズに進むようになったのです。

そして、何より嬉しいのは、幸せな朝の時間を、一緒に過ごせるようになったこと。

まさに「家和して万事なる、だなぁ」と感じた次第です

まとめ

今日ご紹介した禅語を、以下にまとめます。

  1. 大地黄金

  2. 結果自然成

  3. 日々是好日

  4. 少欲知足

  5. 七走一座

  6. 人人悉道器

  7. 家和万事成

ちなみに今日も、このnoteを書いた後に、もともとは「ポッドキャストを収録する」予定にしていたのですが…

今週一週間、仕事をけっこう頑張った影響か、ちょっと気分が乗らない感じがしています。

そういうときこそ、そうだ、七走一座だ。

いったん立ち止まり、スケジュールを整理してみようと思います。

仕事は、気分が乗った時にするのが一番。

今日の午後は、書斎の整理がしたい気分なので、書斎の整理をしよう。
ポッドキャストは、別の機会にリスケしよう。

そんな感じで、今この瞬間も、禅語に救われた私でした^^

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