バスローブ

湯気の立ち込める部屋に
落ちるしずくが冷たい
柔らかい布につつまれて
君の体が扉ごしに美しい

鍵を閉め忘れたことで
よりいっそう注意深くなった
その警戒心 紐をほどいて
裸にしてみたい

残り10分に秘められた想いに
満足そうに泣いている
服を着ているその動作を見て
立ち尽くしてしまう

リモート操作で操られる
震える体から漏れる声
毛玉だらけの服を脱ぎ
柔らかい布につつまれて
君の姿は美しい

車の窓から手をふって
ビルの隙間へ消えてゆく
森を抜けたら穴の中
少し急ぎ過ぎたんだ

とはいえ日は差してくる
遠ざかる君をみている
車の窓はしまっていく
振った手をそのままに

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