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テンセント、新型肺炎制圧の提携パートナーに。中国IT巨頭のスケールと使命感とは?

2月末、新型肺炎の防疫体制を指導する、鐘南山グループとテンセントが提携で合意した。ビッグデータ、人工智能の連合実験室を設立し、共同で新型肺炎の制圧に当たる。鐘南山氏は2003年SARS制圧の指揮をとった呼吸器専門医で、知らぬ者のない有名人だ。今回も制圧の指揮をとる鐘氏が、パートナーに選んだのはテンセントだった。

なぜゲームとSNSで知られるテンセントなのだろうか。ここには中国IT巨頭の本質がよく現れている。

テンセントは2011年に“移動医療”というコンセプトを提出した。すべて自前ではなく、医療ベンチャーに投資をしつつ、AI+医療産品のサービスプラットフォーム構築を宣言した。

2014年、「微信智慧医院」をアップロードした。すでにこの時点で全国数千の病院と提携、微信を通じた予約、支払い等を可能とした。

2016年4月、AI実験室を設立。医学映像サービス「騰訊覓影」サービスを開始。

同年6月、「企鵝医生」オンライン医療企業の力を結集したオフライン診療所を、北京、深圳、成都、香港に設立。

2017年11月、「騰訊覓影」国家AIプロジェクトに選出。人工智能で肺癌、食道癌、眼底疾病、結直腸癌、子宮頸癌、乳腺癌等の分析サポートを行う。映像は160万人、2億7000万枚に達した。

同年、「微保(Wesure)」発売。テンセントと泰安保険の提携による医療保険。Wechatの歩数計機能も、Wesureとの連携から始まった。

国内外の医療ベンチャーへの投資も活発だ。広範囲に医療健康畑を耕している。

2014年、微医、丁香園など3社
2015年、妙手医生、卓健科技、医聯など15社
2016年、企鵝医生、思派網絡など9社
2017年、好大夫在線、体素科技など7社
2018年、妙手医生、思派網絡など4社
2019年、企鵝杏仁、量子健康など3社

そして2019年5月には、オンライン医療提供企業、医療情報サービス企業、保険会社、製薬会社、医療設備メーカー等と共同で「数字(デジタル)医療創新連盟」を設立した。

テンセントは2018年の組織改革で、雲(クラウド)&智慧産業事業群を増設した。ここで小売、医療、教育、交通等のデジタル化戦略を統括している。そのうちの医療部門だけでも、上記のスケールだ。デジタル・チャイナの建設に貢献する、という大きな使命感で動いている。どの分野でも、決して疎かにすることのできない存在なのだ。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/