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中国の医療健康業界、新型肺炎で一層オンライン依存強める。成長の原動力は医薬品ネット通販

中国では、欧米型医療を「西医」、漢方医を「中医」と呼ぶ。西医はかつて中国的混乱の代表格で、大型総合病院でさえとんでもエピソードには事欠かなかった。それが2010年代、スマホ時代到来とともに、急速に改善した。2020年代に入りAIが普及、ついに「中医」の神業をも再現されようとしている。

2019年、中国の医療・衛生支出は、6兆5,057億元(98兆8,000億円)前年比6.7%増だった。これはGDPの6.2%に相当する。米国の17.1%、日本の10.9%に比べまだまだ低く、成長余地は大きいはずだ。その源動力となるのはなんだろうか。

それはやはりオンライン診療と通販である。中国医薬品ネット通販の歴史は以下の通り。

・始動期(2005~2012年)2005年、「互聯網薬品交易服務批暫業服務規程」施行、最初の薬品ネット通販免許は「京衛大薬房」

・成長期(2013~2015年)「天猫医館」(アリババ)スタート。オンライン薬局345社に増加

・発展期(2016~2018年)2016年オンライン薬局672社。2017年、その1社「大参林医薬集団」株式上場。

・安定期(2018年~)2019年の医薬品ネット通販規模1,000億元(1兆5200億円)に。医薬品売上のネット通販シェア20%に上昇。

直近の平均増加率は17%で、2021年には1,400億元(2兆1,300億円)が見込まれている。安定期というには高い成長率だ。慢性病患者の増加、さらに新型肺炎も追い風にしている。

2018年の慢性病患者は3億人を超えた。60歳以上が60%を占める。慢性病と診断された人は、高血圧94.2%、脂肪肝62.8%、血脂異常38.6%、糖尿病34.0%だった。

新型肺炎もプラスに作用した。春節期間の医薬品通販のデイリーアクティブユーザーは、武漢封鎖緒日1月23日の115万人から1月30日のピークには149万人に増加した。

中国の医療資源は大都市に集中している。オンライン診療と医薬品通販の発展は、地方と大都市の極端なギャップを埋めるプロセスでもあった。この流れは高齢化進行の後押しもあり、当面途切れることはない。その証拠にオンライン診療・通販トップ、阿里健康の株価は上期の半年間で2.4倍に上昇、時価総額は380億ドルに近い。これは三井住友FGやJTに匹敵する。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/