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中国のAI医療、新型肺炎でステージアップ、中心はやはりテンセントVSアリババ戦か?

AIは医療のさまざまな分野に進出した。今回紹介された不眠症分野もその1つだ。中国では2017年11月、国家AI四大プロジェクトにテンセントの医療映像「騰訊覓影」が選ばれ、有望な事業と世間に知らしめた。

その後2018年4月、国務院は「“インターネット+医療健康”促進に関する発展的意見」を発表、インターネット+人工智能応用サービス、人工智能臨床診療のサポートシステム開発、研究データのシェア及び応用などを提議した。

新型肺炎は、これらAI化のプロセスを大きく前進させた。武漢では4万人の医療関係者が集中して緊急事態に対応した結果、実際に有用な診断技術が明確となったからである。

ビッグデータモニタリング、医療映像スクリーニングによる診断補助、智能体温測定などは幅広く採用された。

テンセントは、新型肺炎防疫の指揮官・鐘南山氏と提携し、共同でビッグデータAIラボを設立した。目的は、伝染病、呼吸器疾患、胸部疾患のスクリーニングと予防、早期警戒体制の取り組みである。「騰訊覓影」は、湖北省の多くの病院に設置され、医師の新型肺炎診断に参考資料を提供し、診断の効率アップに貢献した。これまでの4~5年にわたる映像データの集積が役立った。

アリババの研究機関「達磨院」は、ウイルス変異を分析する、遺伝子AIアルゴリズムを開発、武漢火神山病院をはじめとする全国168病院に提供した。診断例は29万に及んだ。

またテンセントの医療百科全書「騰訊医典」への訪問者は6億を超え、中国人必携となった接触確認アプリ「騰訊健康碼(健康コード)」のユーザーは9億を超えた。オンライン診療の「平安好医生」の訪問者は11.1億、平時の9倍だった。新型肺炎は、AI医療に多くの新ユーザーを供給した。

AI医療分野では、テンセントとアリババの差は小さいとされる。先行の国家プロジェクト騰訊覓影に対し、アリババも新しい画像識別法の開発で、分析時間を大幅に短縮した。

こうしたテンセントVSアリババの対決を中心に、やはり医療映像と新部門「百度霊医」を持つ百度、「平安好医生」を持つ中国平安が加わる。さらに今年4月には、ファーウェイもグローバルな防疫活動への参加を表明している。患者のデータセキュリティなど、重要課題は残っているが、有力企業同士の開発競争により、中国AI医療の発展は間違いない。業界筋は今年の戦いが、次の10年の趨勢を決めるだろう、と予測している。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/