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キャッシュレスインフラの違いで、日本はスマートショッピングカートの運用も周回遅れ?

労働分配率の高い日本の小売業は、不断の省力化投資を続けてきた。決済改革は、その中心である。主な内容は、レジスターの進化と、値札の進化の2つである。これこそ日本人の考える正常な流れだった。

しかし、中国の様相は少し違ってきた。モバイル決済の普及によって、ほとんどの人がスマホを持ち、WechatPay(微信支付)と、Alipay(支付宝)を装備した。新しい財布の登場であり、進化論的にいえば、突然変異が起こったのである。

実際,アリババ傘下に入り、OMO(Online Merges Offline)型への改装を行った家具チェーン「居然之家」の店では、レジがなくなっている。タブレットを持った店員がレジの代わりとなった。

値札側からのアプローチも日本と中国では、異なっている。日本ではバーコードに代わり、RFID(Radio Frequency Identification)の研究開発と普及に力を入れた。メモリーを内在させたタグを商品に付ける。商品側の情報量を増やして、レジ側の負担を減らそうというのである。しかし、コスト高や、読み取り上の欠点があり、経済産業省が音頭をとるものの、普及は進んでいない。とにかく、レジスターにしろ、ゲートにしろ、読み取り機を通す方式だ。

中国の方式は、値札には関わりなく、読み取り機そのものを不要にしようとしている。しかも今回のベンチャーは、商品値札でもなく、レジそのものでもない。ショッピングカートをレジにしてしまおうというのだ。何もかもデジタル化、という中国IT界ならではの構想である。中国では、すでに国民総モバイル決済というインフラが整備され、さらに時代は、虹彩認証へ進みつつある。レジの消える日は近そうだ。

記事中にあるヨークベニマルは、「スキャンカート」と名付けた実験を行っていた。しかしその名の通りスキャンするだけで、最後は専用レジを通らなければならない。そこでこれまで通り支払いを行う。同じ機器を利用しても、インフラの違いで、周回遅れの利用方法となってしまう。日本はキャッシュレスのその先が見えていない。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/