中国のオンライン教育業界は生き残りが険しい?
4月末、中国各地で学校再開のニュースが相次いだ。1月24日以降、ほぼ3ヶ月ぶりである。この間、彼らはオンライン学習を行った。1月末、教育部(文部科学省相当)は、春季新学期の延期を通達した上で“停課不停学”(休校でも学習は止めない)の実践、つまりオンライン学習を推奨した。そのためオンライン教育界は活況を呈した。今回紹介された教育ロボット産業の拡大も、こうした追い風を受けてのものだろう。
この3ヶ月、さまざま出来事があった。例えば、アリババのオンラインビジネスツール・釘釘(DingTalk)のダウンロード数が急増した。当然テレワークの拡大に伴う現象だが、オンライン教育の影響も大きかった。広東省、河南省、山東省、山西省、湖北省等、220の地方教育局が、釘釘の“在宅学習計画”に参加を表明したからである。これが普及の大きな後押しとなった。ただし、生徒たちからは忌み嫌われ、彼らは、釘釘のアプリ評価に、星1つの最低を付けた。
もともと中国ではオンライン教育が発達し、すでに“業界”が形成されている。上場企業の「好未来(TAL)」「新東方教育」、ユニコーン規模の「猿補導」「VIPKID」「作業幇」「掌門1対1」「作業盒子」「一起学」「有道精品課」「企鵲補導」「跟誰学」等の有力企業があり、激しい生徒の争奪戦を行っていた。これが新型肺炎により再発火、その結果、防疫期間中の教育学習アプリのデイリーアクティブユーザー数は、それまでの1日平均8700万から、1億2700万へ46%増加した。主な新規ユーザーは、教育資源の乏しい三~五線級、地方都市から流入した。
そしてこの怒涛の3ヶ月を終え、評価段階に入る。浙江省の消費者権益保護委員会が、12のオンライン教育プラットフォームの調査を行った。「情報開示度」「カリキュラムの質」「サービスの質」の3大要素に加え「営業範囲」「課程の紹介」「価格透明性」「ユーザー評価」「教師の資質」「授業ルール」「質問への答え」等により評価した。
それによると12プラットフォームの平均点は78.25点であった。90点を超えたのは、「VIPKID英語」と「DaDa英語」の2つ。有力企業の「新東方」、テンセント系「騰訊課堂」は平均以下にとどまった。
とにかく、この3ヶ月、中国のオンライン教育界は、日本よりはるかに濃密な時間を過ごしたのは間違いない。学校再開の後は、生き残り競争が待っている。今後の成り行きに注目である。
コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/