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中国、音声コンテンツアプリが新たなネットインフラに。トップ企業・喜馬垃雅FMに注目

正確な音声を補足するベンチャー企業が紹介された。中国語には四声という音楽的声調があり、これを間違えると違う意味になるか、全く通じない。長江以南の多くの住民は、上海語、広東語など、標準中国語と違う母語をもち、おおむねバイリンガルだ。漢字は正確に書かれていることが大事で、どう発音してもよい、という考えだ。一方、“普通話(標準中国語)を使おう”というスローガンもある。このように中国の言語事情は、単純ではない。

その中国に、音声コンテンツ業界というものが存在する。オンラインのラジオ局ともいえるが、TikTokのようなショートビデオアプリにも似ている。ビデオ同様、コンテンツ作成、投稿、シェアを行う、共有プラットフォームでもあるからだ。この業界は繁栄を続け、新たなネットインフラとなりつつある。代表的企業を見て行こう。

●蜻蜒FM

蜻蜒FMは、中国初の音声コンテンツ配信アプリ。2011年11月スタート。IT大手の百度、中国文化産業投資基金やベンチャー投資機構の出資を受け、順調に成長した。公式サイトは、ユーザーとコンテンツ制作者が、共同構築するプラットフォームと規定している。カテゴリ―は、小説、逸品、評論、小品、トークショー、出版、歴史、児童、など27にも細分されている。スローガンは「自らMCとなり、あなたの声を世界に届けよう。」ファーウェイ、VIVO、シャオミ、百度やバイトダンスなどIT大手と提携している。ユーザー数は4億7000万。

●喜馬垃雅(ヒマラヤ)FM

2013年3月スタート。喜馬垃雅FMの使命は、音声シェアを用い人類の叡智を共有することと規定している。多くのクリエーターを引き付けるPUGC(プロフェッショナルユーザー生成コンテンツ)の構築に成功、出版社、作家、MC、ファンがしっかり結びついたプラットフォームとなった。また喜馬垃雅は人気の音声著作権の70%を所持しているという。ユーザー数は6億7000万。
iiMedia「2020中国ユニコーン企業トップ100」25位、企業価値は推定34億ドル。

この2社の以外にも企鵝FM(テンセント系)、考垃FM、などがあり、2019年にもテレビ局が新たにこの分野に進出した。トップ企業の喜馬垃雅は、大型イベントを開催し、さまざまな“知識コンテンツ”の販売を手掛けている。非常にユニークな企業である。日本では見られない業態だけに、将来を見通すのは難しいが、今後には大いに注目しておきたい。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/