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DJI(大疆)のドローン、防疫体制下の中国各地で活躍中、新たな地平を開くのに成功か

新型肺炎の防疫体制は、市民生活に大きな制約を加える一方、ハイテク企業には、広大な実験場を提供している。その典型は今のところ無人配送車である。そしてドローン世界最大手のDJI(大疆)にも、チャンスは、めぐってきたようだ。各地で積極的な活動を見せている。

2月4日、DJIは農業の“疆軍戦疫”をスローガンに「1000万戦疫基金」を設立した。ドローンで各地の安全防疫サポートに当たる。2月8日には、DJI社内のボランティア組織が発足、深圳市龍崗区の工業園(66万平米)で防疫消毒活動を行った。2月12日時点で、すでに全国6億平米の消毒作業を行っている。湖北省、湖南省、河南省、山東省など広範囲にわたる。

春節のUターンでは、広東省交通管理局と協力し、高効率の交通誘導と防疫のためドローンを展開した。交通要衝や港湾区等重点地区で空中に待機し、交通警察へ違法車両や交通事故の通報を行った。

江蘇省泰州市の公安は、DJIのドローンを交差点に飛ばし、マスクをかけていない人のチェックと警告を行った。黒竜江省ハルビン市の警備部門も、道路車両の安全と防疫状況チェックのために導入している。浙江省台州市の民警はドローンで麻雀を“摘発”したり、防疫情報の放送等に使用した。

またDJIは、検温効率化のため、体温測量応急ソリューションを提出した。生産活動が回復しつつある安徽省合肥市では、最前線の検温スタッフをサポートしている。1本の綿棒とデュアルライトを利用した簡易システムだが、標準的な条件下ならプラスマイナス0.5度の精度で測量できる。DJIは、さらにバージョンアップ版の研究を、安徽省の代理店と進めている。

さらに防疫体制への貢献のため、新サービス政策をネット上に発表した。1つめはドローン保証期間の延長。1月23日~3月31までに保証期間の切れるドローンは、すべて3月31日まで一律延長する。もう1つは、防疫用の利用を意識した2つのマニュアルを公開した。プログラミング等、活用の参考にしてもらう。

中国では現在、ネット通販やフードデリバリー、オンライン教育などが、新型肺炎特需に沸いている。ドローン業界も直接の経済的利益はともかく、大きな宣伝効果が得られたのは間違いない。ドローン新時代の契機となったかどうかは、これからの検証次第だろう。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/