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bilibili(ビリビリ動画)Q1決算絶好調、ライブコマースプラットフォームとしても大躍進

中国IT大手の2020年第一四半期決算が出そろった。軒並み市場予想を上回る内容である。宅経済(巣ごもり消費)によって生活全般のオンライン依存が進み、多くのIT企業にとってプラス要因となった。特にテンセント、ネットイース等のゲーム系は良かった。ここではbilibili(B站)に注目したい。現在のネット界を集約したような内容である。

■ビリビリ決算好調

ビリビリの第1四半期決算は、売上23億2000万(352億円)前年比69%増と、市場予想を大きく上回った。MAUは1億7000万人、70%増、DAUは5000万人だった。主力はゲーム(売上構成比49.6%)、とライブ配信(同34.2%)この2つで84%を占める。

・モバイルゲーム部門は11億5000万元(174億円)、32%増だった。配信権を持つ日本の「Fate/Grand Order」が売上をけん引した。

・付加価値サービスとライブ配信部門は7億9360万元(120億円)、172%増だった。クリエイター数とコンテンツ投稿数は、前年同期比の2倍となった。

・広告事業部門は2億1430万元(32億円)、90%増だった。

・ネット通販部門は1億5710万元(24億円)、64%増だった。

ビリビリは2009年に設立、当初はACG(アニメ、コミック、ゲーム)関連コンテンツの創作&シェアプラットフォームだった。弾幕(コメント)と投げ銭(クリエイター応援)機能によって、若者に圧倒的な人気を博した。

現在では、ACGプラス音楽、舞踏、科学技術、生活、ファッション、情報、映画等、コンテンツカテゴリ―は15部門に拡大している。

付加価値サービスとライブ配信部門の伸長率が、ゲーム部門を大きく上回った。ここが重要なポイントである。

■直播電商(ライブコマース)

現在、中国ネット界は、直播電商(ライブコマース)、直播帯貨(有名人によるライブコマース)一色である。網紅(KOL、インフルエンサー)や有名人によるライブが、日々進化を遂げている。どのプラットフォームで発表するかは、成功の可否を握る。現在の主要メンバー(カッコ内出自)は、以下の通り。

淘宝直播、京東直播(ネット通販)
抖音(海外名TikTok)、快手 (ショートビデオ)
小紅書(口コミ、ネット通販)
WeChatミニプログラム(SNS)

オンライン広告分析サイト「青瓜伝媒」による10大ショートビデオアプリランキングは、

1位 抖音     4億(DAU=デイリーアクティブユーザー)
2位 快手     3億
3位 抖音火山版  5000万
4位 西瓜視頻   5000万
5位 ビリビリ   3800万(Q1決算では5,000万)

とビリビリは5位にランクされている。ユーザー特性には、“二次元文化垂直類人群”90后、00后主力、とある。抖音、抖音火山版、西瓜視頻は、いずれもバイトダンス系だ。つまりバイトダンス、快手に次ぐ存在という評価だ。ただし実質的なトップは、アリババの淘宝直播である。

■まとめ

中国は交渉社会のため、中国人は自己表現に長けている。自己主張にためらいはなく、動画投稿向きの国民といえる。有名人、プロのKOLから、工場長、職人、不動産屋、商店主まで、誰もがライブコマースを行う時代になった。いかにも中国的な情景といってよい。

中でも、若者に強いビリビリでのライブパフォーマンスは、先進的な印象を身にまとう。これが強い発信力となる。こうしたライブコマースの風を、しっかり受け止める限り、ビリビリの業績に不安はなさそうだ。

またビリビリは、アリババ、テンセントの双方から出資を受けている珍しい企業でもある。テンセント13.3%、アリババは7.2%と、それぞれ第2位、第4位の株主である。また今年4月には、ソニーが4億ドルの出資を発表した。世界の巨頭が出資を競っている。成長性の高いモデルとして期待を集めている証拠である。


コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/