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SNSを駆使する中国の高齢者たち、養老産業は設備やサービスの充実から、精神的サポートへ転換

中国の高齢者市場は、熱気を孕んでいる。さまざまな調査機関が、競うようにレポートを発表しているのだ。ベンチャー投資で名を馳せた「紅杉資本(セコイア・キャピタル)」もその1つである。2010年代の中国モバイルイノベーションを、資金面からサポートしたセコイアが「2019年中国城市養老消費洞察報告」という最新研究を発表した。ITやハイテクに勝る、大きな投資価値を見出しているからに他ならない。

その報告によれば、中国の高齢者人口は2億5000万人に接近し、大きな“消費ハイランド”を形成した。高齢化は加速中であり、50歳以上の中高年市場は、未来10~20年にわたり爆発し続ける。養老産業はますます細分化し、新業態、新産品、新サービスが登場するという。今回紹介されたスマホ健康管理は、まさにその1つで、時宜にかなっている。

しかし、これからの高齢者は、これまでにない特徴も備えている。そのひとつは、1人っ子政策により核家族化が進んだことだ。家庭だけでは高齢者を支え切れないケースが増え、専門の介護施設と用品、医療関連の市場は拡大する一途である。

もうひとつの特徴は、彼らのインターネットアクセス率だ。非常に高く、モバイルに依存している。もはや若者層と大差ない。今回の調査対象となった高齢者グループの66%は、自由時間の4分の1をインターネットに費やし、92%はSNSアプリを利用していた。ニュースアプリや、ネット通販アプリもしっかり装備していた。彼らの情報源はテレビや新聞ではなく、すでにネットであった。

それにもかかわらず、子供世代の意識は画一的である。両親世代のために選ぶ商品は、施設の手配や、モノの提供ばかりである。あまり手をかけたくないのかもしれないが、精神的充足を求める高齢者の実際の需要とは、ひどくかけ離れている。

こうした意識の改革は、それだけで高齢化社会最大のソリューションとなりそうだ。もう1つの有力なソリューションは、大都市と地方都市の、はなはだしい養老商品やサービスの供給力ギャップを埋めることである。

セコイア・キャピタルは、こうしたポイントに十分留意している養老ベンチャーに、積極投資をしていくのだろう。これからの中国養老産業は、こうした投資ファンドの動きにも注目したい。

コスパ・テクノロジーズCEO / BtoB企業のブランディングと海外向け施策が得意なWeb制作会社 / SNS総フォロワー5万 / HP→ https://cospa-tech.com/