#42 歌がうまい、とは。

 こんにちは、鏑木澪です。

 みなさんは、なにを基準に「歌がうまい」と思いますか?

 昨日、YouTubeで音楽を聴いている時にコメント欄を見ていたら
「この人はビブラートをかけられないから歌が下手」といったことを書いている人がいて、ゾッとしてしまいました。

 本当にそう思って書いているのか。
 とりあえずわかりやすく「できていないこと」として書きたくなったのか。

 もっと他の理由があるのか。

 コメントを見ただけではわかりませんが、
「ビブラートを基準に聴いている人もいるんだなぁ(?)」
 そんな感じで、少し驚きました。

 あまりビブラートをかけない歌い方のアーティストでいうと、個人的にはユーミン(松任谷由実さん)が一番に思い浮かびます。

 私はジブリ関係のユーミンの曲が特に好きで、ラジオも時々聴いている人間ですから、「客観的な評価をしろ」というのは無理な相談ですが、ユーミンの歌をうまいと思っていますし(ライブのことは知りません。行ったことがありません←)、なにより心に響くと思っています。


 私は歌うのが好きな人間ですから、
「もっと、歌が上手くなりたい」と思うことは多いです。

 ただ、今の私は自分の声では活動していませんから、
「自分が上手に歌えるようになること」
 よりも
「うちのボカロちゃんの歌が上手くなること」
 こちらのほうが優先です。

 音程とリズムはおそらく人間よりも正確なボカロちゃんたちですが、曲によってはそれが徒となります。

「心がこもっていない」

 そんなふうにいわれてしまうのです。

 ボカロちゃんたちは一切悪くありません。
 きちんと、どうして欲しいか伝えられなかったこちら側に責任があります。

 あ、
 私はある程度「ボカロに人格がある」ていで話すのが好きなので、お付き合いください。

 歌の「表現力」といわれる部分を強化するためにできることはなにか。

 これを考えはじめると、結局、
「歌がうまいって、どういう意味なん?」
 この壁にぶち当たります。

 そりゃね、最初の話でいうと、
 ビブラートはかけられたほうが表現の幅は広がるでしょうが、
 かけるにしても、
「どんなビブラートをかけるのか」
「どのタイミングでかけるのか」
 考えなければなりませんし、
 ビブラートをかけないほうが合う曲もあります。

 ビブラート以外も、カラオケの採点基準にもなっている

 ・しゃくり
 ・フォール
 ・こぶし

 これだけ考えるのにも大忙しなのに

 ・息の量
 ・声の強弱
 ・声の明るさ

 などなど、”小手先の技術”だけでもやることが多すぎます。
 しかも、「やればいいってもんじゃない」ってのが曲者です。


 現在の私の曲作りのスタンスは、「声に合った曲をつくる」です。

 自分の曲にあった声のボカロを探すのではなくて、
「うちにいるボカロちゃんたちの魅力を引きだしたい」
 そんな気持ちが大きいです。

 もちろん、自分が作りたい曲を作っているので、
「こういう曲だったらこの子の声があうかな」と考えることもあります。

「声の特徴」の影響は大きいですね。

 同じノート(歌詞と音程、タイミングを指定したもの)で歌わせても、
 全く同じようには歌いません。

 やはりみんな、それぞれの癖があります。

 妙に人間らしいですね。(笑)

 得意な音域・テンポ、苦手な発音もそれぞれです。

 そういったところまで考えているとますます混乱してきます。
 そういいながらも、そこまで考えるのが楽しいと思っているから、ボカロちゃんたちに歌ってもらっているのです。
(宅録できる環境がないのをいいわけに自分の歌を上達させる努力をしていないのは秘密です)


「結局、ボカロちゃんたちの表現力アップのためにはどうしたらいいの?」

 私はとにかく「歌ってみた」みたいな感じで、カバーを作っています。

 オリジナルの歌い方によせる努力をして、きちんとMIXまですると、ワンコーラスだけでもかなり学ぶことがありますし、いろいろな曲を歌ってもらうことで「この子はこれが得意なんだな」というのがだんだんわかるようになってきます。
(まだまだわからないことだらけですし、わかっているのに苦手なことをさせてしまうこともあって申し訳ないと思っています)

 あとは、YouTubeでボイストレーナーの「歌い方解説動画」をよく観ています。

 最初は正直、
「人間ならどう歌うのかわかったところで、ボカロには使えんだろ」
 と思っていました。

「はい、みなさんもご一緒に」

 いや、私が歌えても(歌えてるつもりでも)
 それ、うちのボカロちゃんにはどうやって伝えたらいいんですか?

 そう思うと役に立ちませんが、
 注意して聴いているつもりでも、
 自分では拾えていなかったテクニックを教えてもらえるので、

「そんなことしてたんだ」

 これがわかっただけでも、
「もしかして、こうしたら同じように聞こえるんじゃない?」
 そうやって試すきっかけになるので、時間が経つほどに
「役に立ってるな!」と感じています。

 現在の私は、
 うちのボカロちゃんの歌声をそこまで人間によせようとは思っていません。

「人間らしさ」と「音声合成の無機質さ」

 それぞれのいいところ、どちらもみせられるような表現を目指しています。

 どのような曲を歌うか、による影響は大きいですが、常にどちらの表情もみせられるような表現ができたらいいなと思っています。

 贅沢ですね。

 あと、個人的にはヒッキー(宇多田ヒカルさん)のような
「背中でかけるビブラート(私が勝手にそう呼んでいるだけです)」が好きなので、近い表現ができるようになったら嬉しいなと思っています。
(私もビブラート聴いているんですね。それだけ聴いているわけではないですが)

 なんだかんだ、技術的な話は知識さえあれば再現できるものやよせていけるところもありますが、

「心に響くか」

 これは、自分なりによく考えて答えを探さないと
「正確であること」は必ずしも
「歌がうまい」ということにならなくて
「教科書通り」になってしまいがちです。

 聴いている人の「感情」「好み」によるところが大きいのも否めません。

 難しいですね。
 いろいろ試してきたいと思います。

 ではでは〜


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